フィラリア症はフィラリアと呼ばれるそうめん状の寄生虫が蚊によって媒介され、犬の心臓や肺動脈に寄生することで血液の循環障害を起こし、死に至ってしまう怖い病気です。

フィラリア症は日頃の適切な予防をすることで、100%防ぐことができると言われています。

蚊に刺されないようにする

フィラリアは犬から犬に、蚊を媒介することで広がります。

フィラリアに寄生された犬の血液中にはミクロフィラリアと呼ばれるフィラリアの幼虫がおり、蚊が犬の血を吸う事でミクロフィラリアは蚊の体内に入り込みます。

蚊の体内に入り込んだミクロフィラリアは感染子虫と呼ばれる状態にまで成長し、蚊が再び犬の血を吸ったときに犬の体内に入り込むという感染経路を持ちます。

感染するためには蚊が媒介する必要があり、蚊に刺されなければ感染することはありません。

全ての蚊が感染子虫を持っている訳ではありませんが、見た目では判別がつかないため、蚊の接触自体を避けることで感染する確率を減らす事ができます。

薬による予防

蚊との接触をできるだけ避けても、寄生する確率を減らすだけで全く刺されなくするというのは不可能に近いので、薬による予防が必要になります。

フィラリアの薬は蚊に刺されることを予防するのではなく、犬の体に入ったフィラリアの子虫を駆虫することを目的としています。

薬を飲む前には血液検査が必要

フィラリアの薬を飲ませる前には血液検査をしてフィラリアに既に感染していないか調べる必要があります。

フィラリアに感染している状態で駆虫薬を飲んでしまうと、薬によって死んだフィラリアが血管内に詰まってしまったり、ミクロフィラリアが血液中にいる場合はショックを起こして重篤な状態になってしまったりすることがあります。

薬を飲ませていればフィラリアに感染することはないのですが、犬が飼い主の見ていないところで薬を吐き出してしまうということもあり、知らずに感染していることもあるので検査をしてから投与した方が安全です。

定期的に薬を飲むことが重要

蚊に刺されたことで犬の体に入った感染子虫は、犬の皮下に入り、そこである程度(2~3か月ほど)成長した後に血管内に入り込み、最終的に心臓や肺動脈に移動します。

フィラリアの予防薬は皮下で成長段階の子虫を駆虫することで、血管内に入ることを防止します。

月に一度定期的に薬を飲み続けることで、感染子虫が確実に皮下にいる状態で安全に駆虫することができます。

薬を飲み続ける期間は、蚊の活動が始まって1か月後から蚊の活動が終わってから1か月後までです。

フィラリアの薬は1度飲めば1か月有効というわけではなく、1か月の間に体に入ってきた子虫を一度に駆虫するためのものなので、蚊がいなくなって、最後に体に残っていた子虫を駆虫することがとても重要です。

飲み薬の他にも、注射薬も

一般的なフィラリアの飲み薬は1か月に1度飲ませる必要があります。

対して注射薬は1年に1度の接種で1年間有効なので、お薬を飲むのが苦手な犬であったり、お薬の飲み忘れといったトラブルの危険は少なくなります。

しかし、フィラリアの注射薬はまだ新しい薬であるため、副作用の報告例が少なかったり、取り扱っている病院自体が少ないといった問題はあります。

また、飲み薬は1か月に1度飲ませるので、その間に体調に異変があったり体重の増減があったりした場合はすぐに対処ができますが、注射は一度打つと1年間は効き続けてしまうので、副作用があった場合も1年間は注意しなければいけません。

また、お薬の量は犬の体重によって決まっているので、体重の増減がないよう気をつける必要があります。

成長過程の子犬は体重の増加が激しいため、この方法は向きません。

薬を飲ませ忘れてしまった場合は

フィラリアの検査は、フィラリアに感染してから6か月以上たたないと実際に感染しているかがわかりません。

ですから、飲ませ忘れがあった場合、すぐに検査をしてもあまり意味のないことです。

仮に飲ませ忘れた時に感染してしまっていたとしても、フィラリアの薬を飲むことで重篤な副作用が出てしまうのは、感染してから6か月程度して、犬の血液中にミクロフィラリアが産みだされるようになってからのことです。

先月飲ませるのを忘れてしまったからと次回からも薬を飲ませないのは感染するリスクを上げてしまうだけなので、次回分からはきちんと飲ませるようにしましょう。

ただし、予防していなかったときに感染している可能性もありますので、次の年に新しく薬を飲ませ始める前にはしっかり検査してからになります。

心配な場合は自分の判断で薬を飲ませたり止めたりせず、獣医師の指示に従うようにしましょう。

予防で100%防げるフェラリア

フィラリアは消化管に寄生する寄生虫とは異なり、心臓に寄生するので一度感染してしまうと体外に出すのが困難な寄生虫です。

フィラリアの治療はとても長期的で大変なものになりますし、血管を傷つけてしまうので治療後も後遺症がのこる可能性があります。

予防で100%防ぐことができる病気ですので、適切に予防してあげることがとても重要になります。