犬を飼っていたら、何度は吐いたり下痢をしたりしているのを見たことがあると思います。

軽い症状の時もありますが、中には重篤な場合もあります。

様々な病気の症状となる嘔吐・下痢ですが、今回は主に考えられる原因をご紹介します。

膵炎

膵炎は膵臓の病気で、急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。

肥満や高カルシウム血症、膵臓の外傷、手術時の膵臓の損傷などが原因となる可能性もあると考えられていますが、はっきりした原因は分かっていません。

急性膵炎では、突然の激しい嘔吐や血混じりの下痢発生、また、お腹もかなり痛みますし、熱が出てぐったりしてしまいます。

重篤な場合は亡くなってしまうこともあります。

慢性膵炎は、急性膵炎ほどの激しい症状はないですが、嘔吐や下痢が繰り返され、体重が減っていくなどの消化吸収がしっかり出来なくなります。

膵炎の初期は、胃腸炎の症状とかなり似ているので診断が難しい場合があります。

カロリーの高いフードを食べ続けている肥満のメスの犬に多い傾向にありますので、しっかりした食事管理と運動をさせましょう。

尿毒症

尿毒症とは、腎不全が進行して腎臓の機能が低下し、おしっことして体外に排出されなければいけない毒素が十分に排出されなくなり、毒素が体内に溜まってしまい、その結果全身に色々な障害を与える状態のことを言います。

いわゆる、腎不全の末期の症状です。

嘔吐や下痢を繰り返す症状の他にも、貧血や体重減少・痙攣などをおこすなど、様々な症状が強く現れてしまうので、大変危険な状態と言えます。

尿毒症になってしまう前の腎不全での早期発見・早期治療が大切になってきます。

寄生虫症

寄生虫症とは、犬の体内に色々な種類の寄生虫が寄生する事で引き起こす症状のことです。

下痢や嘔吐を引き起こすのは、主に小腸に寄生する寄生虫で、犬回虫・犬鉤虫・糞線虫・瓜実条虫・コクシジウム・ジアルジアなどがいます。

これらの寄生虫によって、消化吸収に影響を受けてしまって消化不良で下痢を引き起こしたり、小腸の粘膜を傷つけて血を栄養源とする寄生虫もいるために血便を引き起こしたりします。

基本的には便の中に虫卵が含まれていて、それを食べることによって感染してしまいます。

また、嘔吐物や下痢便の中に寄生している寄生虫が出てくる場合もあります。

生後6ヶ月未満の犬に多く見られます。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、子宮内に膿が溜まる病気です。

子宮蓄膿症は、避妊手術をしていなくて、出産経験のない5.6歳以上のメス犬に見られます。

発症初期は自覚症状がない子が多いですが、膿が溜まってくると、陰部からおりものや膿がでてきたり、お腹が張ってきたりします。

悪化すると、食欲や元気がなくなり、嘔吐や下痢をするようになってきます。

陰部からのおりものの量も増えてきます。

治療法としては、手術で子宮を取ることが一般的に挙げられます。

出産を希望しないのであれば、若いうちに避妊手術をすることで予防になります。

犬パルボウィルス感染症

パルボウィルスに感染することによって、激しい嘔吐や下痢を引き起こします。

また、脱水や体重もへってしまってぐったりしてしまう子が多いです。

パルボウィルスは感染力が強く、犬同士の接触や、感染している犬を触った手で他の犬を触ると感染してしまう恐れもあります。

複数犬を飼っている場合は必ず隔離しないといけません。

発症しやすいのは、6カ月未満の子犬で、治ればパルボウィルスの抗体がついて今後感染することはなくなりますが、激しい症状のため弱っていき、亡くなってしまう場合もあります。

ワクチンを打つことで予防ができる病気ですので、母親からの免疫が消える頃になったらきちんと打ってあげましょう。

ストレス

ストレスからくる下痢や嘔吐は犬にもあります。

環境の変化だったり、精神的な不安があったりするとストレスを感じて、体に出てしまいます。

その代表的な症状として下痢や嘔吐があります。

元々の性格が、神経質だったり、寂しがり屋だったり、怖がりやすい子に多く見られやすいです。

こういった性格の子は、マイペースな子よりもストレスを感じやすいので、ストレスを与えすぎないようにしなければいけません。

一時的に嘔吐や下痢をするようなら、1日絶食をするなりして胃腸を休ませ、様子を見ていると症状が落ち着くことが多いですが、慢性的にストレスを感じているようなときは繰り返しますので、ストレスの原因を取り除き、病院で診てもらいましょう。

フードや薬が体に合っていない

フードを変えたり、変わった食べ物を与えたり、何らかの病気にかかっていて薬を飲み始めたりしたときに、突然嘔吐や下痢をするようになる子がいます。

フードに関しても、薬に関しても、体に合わないと嘔吐や下痢の消化器症状が出てきてしまいます。

体に合っていない物を与え続けるわけにもいかないので、症状が出てきたら元のフードや胃腸に優しいフードに変えたり、普段与えない物は積極的に与えたりしないようにしましょう。

薬も、体に合わなければかかりつけの先生に相談して、種類を変えてもらったりしましょう。

嘔吐や下痢の理由を掴もう

嘔吐や下痢は、ここでご紹介した原因や病気以外にも様々なことで起こりうる症状です。

嘔吐や下痢は見た目では軽くても、検査をしたら重い病気にかかっている可能性もありますので、あまりにも繰り返し続くようなら、すぐに動物病院で診てもらいましょう。