犬がお尻を床にこすりつける仕草をしているのを見たことはないでしょうか。
お尻に違和感を感じているときにこすりつけますが、その原因は何で、どういう対処をしたら良いのか、代表的な例をご紹介します。
肛門嚢の分泌物が溜まっている
犬の肛門の4時と8時の方向には肛門嚢という袋状の器官があり、そこに臭いのある分泌物が溜まっていき、個体識別(マーキング)の役割を果たしています。
ですので、排泄の時に同時に出たり、ビックリしたときに無意識に分泌物が飛び出してしまうことがあります。
お尻の筋力が弱い小型犬や、筋力が弱ってしまった老犬などでは、自力で分泌物を出すことが出来なく、人間が絞ってあげないと溜まり続けてしまいます。
肛門嚢が炎症を起こしたり、破裂して皮膚に穴が開いてしまったりと大変なことになります。
そうなる前に絞ってあげる必要があります。
そして、肛門嚢の分泌物が溜まると、お尻を床にこすりつけるというような仕草を取ることがあります。
絞り方がわからなければ、ペットサロンや動物病院で絞ってもらいましょう。
この分泌物はかなりの悪臭がするので、飛び散らないように注意して絞ってください。
肛門付近の皮膚がかゆい
肛門周りの皮膚は薄くなっており、皮膚炎を起こしやすい部分でもあります。
細菌性のものやアレルギー性のものなど色々あり、原因によって適切な対処が違いますので、肛門周りの皮膚が赤くなっていたりかぶれていたり腫れたりしている場合、自己判断はせず動物病院で診てもらいましょう。
寄生虫がいるかもしれない
犬の消化器官に寄生する寄生虫の体が肛門から出てきているという事があります。
ノミが媒介したり、ネズミなどの野生動物を食べたり、寄生虫に感染した他の犬の便が口の中にはいってしまったりという経緯で寄生することが多いです。
お散歩の際には他の犬の糞に近づかないように気を付けましょう。
治療には駆虫薬を飲んだり感染源となるようなものを遮断したりする必要があります。
自分の体から出た寄生虫の卵をまた飲み込んでしまうという再感染を起こさないようにも注意します。
ただし、白い糸状のものは寄生虫ではなく、間違って飲み込んだ糸の可能性もあります。
無理に引っ張ると腸のどこかで引っかかって腸を裂いてしまうという重大な事故に繋がりませんので、適切な治療は動物病院の指示のもと行いましょう。
肛門周囲腺腫
去勢していない高齢のオス犬に多い腫瘍です。
良性の腫瘍ですが、時に大きくなって排便の邪魔になって、気にして床にこすって血が出てしまい、化膿してしまうという事があります。
治療は外科的手術を行います。
肛門周囲腺腫は男性ホルモンの影響でなってしまうと言われており、再発を防ぐためには同時に去勢手術も行ったりします。
肛門周囲腺腫は高齢の去勢していしないオス犬に多い良性の腫瘍ですが、去勢しているのに肛門の周りに腫瘍ができていたり、メスなのに腫瘍ができたりしている場合は、悪性の「肛門周囲腺ガン」の可能性があります。
悪性ですから進行も早く、命に関わります。
肛門周囲腺腫だとしても肛門周囲腺ガンだとしても、診察を受けなければ判断はつきませんので、早めに病院に行くようにしましょう。
下痢をしている
下痢をするとうんちの切れが悪く、不快感があったり、肛門の粘膜が荒れて痒くなったりして床にこすりつける仕草を取ることがあります。
下痢をする原因は消化器の異常であったり寄生虫がいたりと様々です。
下痢が続くと脱水症状を起こしてしまう可能性があるので、続くようなら病院で診てもらった方が良いでしょう。
肛門付近をケガしている
肛門付近をケガしてしまい、それがむず痒くてこすってしまっている可能性があります。
まずは外見的にケガをしていないかどうか見て、大きいケガの場合は病院で診てもらいましょう。
便秘で硬い便を出すときに肛門が傷ついてしまうということもあります。
また、トリミング直後に痒がるという場合は、トリミングの際にハサミやバリカンでケガを作ってしまったり、切った毛が肛門に刺さってチクチクするため痒がっているという可能性があります
肛門の異常が主な原因
犬が肛門を痒がる原因をご紹介しましたが、特に多いのが肛門嚢に分泌物が溜まっていることです。
トリミングサロンで定期的にトリミングをしてもらっている場合は一緒に絞ってもらっている場合が多いですが、ご自宅でシャンプーをしている犬は知らずに溜まっていることが多いので、定期的に絞るように気をつけてあげましょう。
無理に絞ろうとすると内出血を起こしてしまい犬に痛い思いをさせてしまうので、最初に動物病院やトリミングサロンでやり方を教えてもらうと良いでしょう。
分泌物が溜まっている以外にも、肛門を痒がる原因はたくさんあります。
まずは肛門をよく観察し、異常がないか見てあげて異常がある場合は病院で診てもらいましょう。