犬にもインフルエンザがあると聞いて、驚かれる飼い主の方も多いのではないでしょうか。

一般には馴染みがありませんが、対処によっては命に関わることもあります。

愛犬をインフルエンザから守る為に、その詳しい症状と注意点をご紹介します。

犬インフルエンザとは

犬のインフルエンザを引き起こすウィルスには、「A-H3N8型」と「A-H3N2型」の二種類があり、感染した犬のくしゃみや咳による飛沫感染、唾液や排泄物による接触感染などによって犬の体内に入ります。

これらは、元々は馬のウィルスだったものが、犬に感染して変異したと考えられています。

その為、犬の病気となってからの日が浅く、免疫を持っている個体が少ない為、発症率が非常に高いのです。

現在のところ、日本では流行は確認されていませんが、アメリカでは大量の感染例が報告されていますので、今から対策を取っておく事は必要でしょう。

ちなみに、近年問題になっている鳥インフルエンザなどとは違い、犬から人への感染は確認されていません。

犬のインフルエンザの症状

基本的な症状は、人間のインフルエンザと共通する部分が多いです。

具体的には、くしゃみや咳、鼻水が頻繁に出るようになり、食欲の減退や高熱などの症状も見られるようになります。

どの場合も、犬の動きには明らかに元気がなくなりますので、もしそのような兆候が出たら一度は発症の可能性を検討しましょう。

犬は人間のように、具合が悪く無くても咳払いなどをするという生き物ではありませんから、咳をしていたら何かの病気、と疑うくらいでちょうど良いと言えます。

これらの状態までは、症状としては軽症型に分類され、栄養をきちんと供給して休養を取らせれば、自然と回復に向かいます。

ただし、重症型のものでは肺炎を併発している事もあり、確率は非常に低いものの、死亡する例も海外で報告されています。

特に、子犬や老犬といった、抵抗力の弱い個体は、専門の医師による診察をきちんと受けて、迅速に対処しなければなりません。

感染した犬との接触に気をつける

上記のように、感染経路は犬から犬へというのが一般的な為、予防策もそこに重点を置いたものとなります。

最も確実なのは、既に感染している犬と接触しない事です。

外から見て明らかに咳やくしゃみをしている犬はもちろん、犬が集団になりやすい場所への外出も、予防を考えれば最小限に留めておくのが良いでしょう。

例えば、トリミングサロンやペットホテルといった場所では、感染している犬との接触の可能性が高くなります。

特に、海外のニュースなどをチェックしていて、大量の感染例が報道されている時期などは、どこに感染ルートがあるかわかりませんから、厳重に注意するようにしましょう。

ストレスを減らして免疫力を保つ

どんなに他の犬との接触に気をつけたとしても、やはり生き物である以上、全てを制限するというのは無理な話です。

ですから、運悪く感染してしまった場合に備え、ウィルスに対抗できるようにしておくお事も、予防策として重要です。

つまり、犬自身に備わっている免疫力を下げないようにする事で、感染後の発症を防ぐのです。

犬に限らず、ほとんどの動物に言える事ですが、免疫力を下げる大きな要因は、ストレスの蓄積です。

ですから、散歩などの犬が喜ぶ行動にはできるだけ付き合ってあげるようにすれば、犬もストレスを溜め込まず、発症の可能性を下げる事に繋がります。

ワクチンの接種は副作用に注意

第三は、ワクチンの接種でウィルスに対抗する手段です。

個体差にもよりますが、効果が持続している間は、高確率で発症を防ぐ事ができます。

ただし現在、犬インフルエンザの予防に用いられているのは、様々なウィルスへのワクチンが含まれた混合タイプです。

その為、一つの成分の効果が切れても、他の成分は持続している事も多く、どれくらいの間隔を空けるのか、2回目以降に何種類のワクチンを使用するべきか、など判断が難しい面があります。

ワクチンはあまり立て続けに用いると、逆に副作用を起こしてしまう危険もありますので、摂取の間隔については必ず医師の判断を仰ぎましょう。

発症後の治療法

犬のインフルエンザは、人間のそれと同じく、原因であるウィルスそのものを直接殺す治療はありません。

従って発症後は、犬の肉体を回復させて本来の治癒能力に任せる、対症療法が基本となります。

インフルエンザにおいて最も消耗しやすいのは、体力と水分ですので、この二つに対しては十分な補給が必要です。

同時に、タバコの煙やハウスダストといった、呼吸器に影響を与えるものからは、必ず距離を取らせるようにしましょう。

症状が深刻な場合は、獣医の指示のもとで薬の処方が必要となります。

咳を鎮めて楽にしてあげる為の咳止め薬の他、ウィルスではなく細菌の二次感染が疑われる場合は、抗生物質の処方が必要な事もあります。

いずれにせよ、人間の場合と同じく、焦らずじっくりと回復を待つ事が基本となります。

犬がインフルエンザに伝染する前に予防しよう

インフルエンザは、犬特有の伝染病などと異なり、それ単体で即座に死に至るようなものではありません。

しかし、それによって体が弱った結果、より重大な別の疾患に対する抵抗力が落ち、本当に命取りになってしまう可能性もあります。

それ程深刻にはなっていないうちに、しっかりと予防と治療の方法を知り、愛犬を守ってあげましょう。