小型犬から大型犬まで、犬の性格や力には個体差があります。

力の強い犬だと、ちょっと引っ張られただけでも転倒したり、リードが手から離れたり、事故につながる恐れもあります。

散歩中、ずっと引っ張られていると飼い主も大変ですよね。

では、犬の引っ張りグセはどのように直せば良いのでしょうか。

犬よりも先に誘惑を予測する

犬が引っ張る理由の一つとして、興味のあるものに対して我慢ができないということがあります。

前から歩いてくる人や犬を見かけると、つい側へ寄ってみたくなる。

ボールを見ると追いかけたくなる。

など、自分への誘惑を抑えることができず、本能のまま走り出してしまいます。

この行動より飼い主の気付きが遅いとき、制止が間に合わずに引っ張られたと感じるのです。

つまり、犬より飼い主の方が誘惑に早く気付くことができれば、事前に引っ張りを制止する準備ができます。

「引っ張られたらどうしよう」では準備はできません。

犬よりも先を見る必要があります。

「引っ張られるかも」と感じたら、両足でグッと踏ん張り、リードを持つ手を自分の体に引き付けます。

そしてリードはなるべく短く持つようにしましょう。

引っ張りグセを直すというよりは、引っ張られないように心掛けるといった感じです。

早めの指示で犬の気を引く

1.でも述べたように、犬よりも早く誘惑になると思われる出来事を見極める必要があります。

そして犬が誘惑に気付く前に「オスワリ」と言って落ち着かせたり、アイコンタクトができる犬は、リードを持った飼い主に注目させたりするのも効果的です。

アイコンタクトができない犬は、座らせてご褒美をあげても良いでしょう。

「よしよし」「良い子」と声をかけてあげるのも良いでしょう。

そして、誘惑の素がなくなる(視界から消える)まで続けます。

結果的に誘惑に負けた負けなかったは関係なく、日ごろから早めの指示で犬を誘導してあげるようにします。

飼い主の誘導が犬の誘惑よりも先ならば、誘惑には気は取られず、急に引っ張って飛び出すことは少なくなるでしょう。

メリハリをつける

常に緊張している状態ではなく、引っ張ってほしくないときには横につき、それ以外のときには自由にさせてあげることも大切です。

例えば、散歩に行くためにリードをつけてすぐの犬の場合、散歩に行けることの嬉しさと排泄したい気持ちであふれていると思います。

トイレを我慢している状況で「引っ張るな、ゆっくり歩け」ではちょっとかわいそうですよね。

1回目のオシッコが済むまでは自由に歩かせてあげ、ひと段落したら横につけて歩き出す、前から誘惑が近づいてきたら横につけて止まるなど、メリハリをつけましょう。

解放の言葉を教える

解放の言葉とは、犬に「好きにしても良いよ」という意味で使います。

例えば、「ヨシ」という言葉はしつけにおいて色々な場面で使われていることと思いますが、3.で述べたメリハリをつけるに関しても、これを解放の言葉に使ったとすると、この言葉一つで「自由に歩いても良いよ」と犬の緊張を解いてあげることができます。

犬は解放の言葉をかけられることで自由になれる時間があるとわかれば、引っ張らない時間があること(我慢すること)も苦にはならなくなります。

むしろ、解放=ご褒美となり、喜んで指示に従うようになるでしょう。

解放した時には一緒に走ってあげたり、スキンシップをとったりすると良いでしょう。

飼い主が引っ張りグセをつけている可能性も

引っ張る犬に負けないように、無意識のうちにリードを引っ張っていませんか?

リードがピンと張った状態が続くと、いつの間にか犬と綱引きごっこになり、お互い余計に引っ張られ、余計に引っ張り返すという状態になってしまいます。

引っ張りグセを直したいはずなのに、知らないうちに飼い主が原因を作ってしまっていることもあります。

リードがピンと張ってしまう状態が続くときは、いったん立ち止まって犬が振り返るまで待ってみるなど、その場の空気を変えてみるのも良いでしょう。

立ち止まってみることで、自分のそばに寄ってきてくれる犬もいますので、その時にはたっぷり褒めてあげてください。

犬と飼い主の信頼関係が大切

何よりも大切なことは犬との信頼関係です。

前述の「早めの指示」や「アイコンタクト」も、信頼関係がなくては成り立ちません。

引っ張りグセを直すために、犬との関係を築くことが大切です。

また、誘惑の事前予測により、引っ張らない環境を作ってあげることも大切です。

そして、飼い主の緊張はリードを通して犬に伝わりますので、リラックスして対応することも意識すると良いでしょう。

犬をうまくコントロールして、飼い主も犬もストレスなく過ごせるようになると良いですね。