自宅に帰宅したときに、留守番していた愛犬が吠えてしまい困ってしまうというお悩みをお持ちの飼い主さんは、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

その防止方法について、犬の学習理論に基づいてご紹介します。

まずは吠える原因を見つける

犬は過去の経験から学習して行動を起こすと言われています。

飼い主が帰宅時に吠えることが増えたということは、犬が過去に吠えた結果、良いことが起こり「吠える」という行動が増えたのです。

ここで言う良いことというのは、全て犬にとっての良いことと考えてください。

例えば、飼い主が吠えたら近づいてくれた、撫でてくれた、声をかけてくれた、散歩に連れて行ってくれた、フードをくれたなど様々です。

まずは吠えたことによって何か良いことを起こしていないか、日々の行動を振り返ってみましょう。

吠えている間はとにかく無視

一番効果的ですが根気のいる対策が、吠えている間はとにかく無視することです。

犬は、人とコミュニケーションをとることが大好きな動物です。

飼い主に無視されることは犬にとって悪いことになります。

犬の学習理論にあてはめて考えてみましょう。

飼い主が帰ってきたけど、吠えたら無視されるので「吠える」という行動が減るという結果になります。

この時に無視をするということは、ただ単に犬に近づかないというだけではありません。

人間にとって犬を制止する「ダメッ」や「コラッ」などの声かけも、犬は言葉の意味を理解できないので逆効果になる可能性もあります。

目線を合わせることすら犬にとって良いことになる可能性があります。

犬が吠えている間はとにかく良いことを起こさないように無視しましょう。

最初は犬もおかしいなと思い、もっと吠えるかもしれません。

でも、根気よく犬が諦めてくれるまで待ってみましょう。

吠えていない時がほめるタイミング

犬が吠えるのをやめた時が、褒める一番のタイミングです。

褒めるというのは、2.でお話しした犬にとって良いことを起こすことです。

犬が吠えるのを諦めたので、アイコンタクトをとった、ハウスから出してあげた、「良い子」と声をかけてあげたなどもあてはまります。

無視をしてから褒める場合は、諦めきった時を見はからって褒めてあげてください。

犬が吠えるのをやめたので近づこうとしたらまた吠えた場合は、きびすを返すようにまた離れて吠え止むのを待ちましょう。

褒めるのはタイミングが大事です。

無視で「吠える」を求めていないこと、褒めることで静かにすることを求めていることをメリハリ良く、犬にわかりやすいように伝えてあげましょう。

帰宅したときに吠えない練習をする

恐らく、犬が帰宅したときに吠えるというのは、長時間の留守番が終わり、飼い主に早くかまってほしいという欲求吠えが多いと思います。

毎日の帰宅時に対策するのはもちろんですが、お休みの日などを利用して家を出ることと帰宅することを、繰り返し練習してみるのも良いと思います。

まずは、いつものお出かけをする支度をします。

犬は前ぶれを察知する能力に優れています。

鍵を持つ動作、鞄を持つ動作、テレビを消す、鍵を閉める音などあらゆる前ぶれを察知して、飼い主が出かけることを感じ取ります。

その日常の動作をしてから玄関の外に一瞬だけ出ます。

そしてすぐに戻り、吠えていなければ褒めるということを繰り返します。

それに慣れてきたら、少しずつお留守番の時間を長くしていきます。

犬は経験から学び行動を起こすので、どんどん吠えないという経験をさせてあげましょう。

吠える状況を作らない

犬は吠えた経験があればあるほど吠えるようになるでしょう。

吠える状況をあらかじめ作らないということがとても大事になってきます。

出かける姿、帰ってくる姿が見えれば犬は飼い主が出かけて帰ってくるということをより明確に理解すると思います。

ですので、出かける際はハウスに入れて、ハウスに掛け布をするなども良いと思います。

外の様子が見えないので、飼い主が出かけた・帰宅した状況を察知しづらくなります。

また、TVやラジオなどの日常音を鳴らしたまま出かけるのも良いです。

体力が有り余っているようなら、出かける前に散歩やおもちゃ遊びなどでたっぷり遊んでお留守番させるのもオススメです。

吠える以外の行動を結びつける

帰宅したときに吠えることを別の行動に置き換えることによって防止することもできます。

例えば、飼い主が近づいたときにお座りするというルールを作っていれば、吠えることよりお座りを優先するようになるかもしれません。

鍵を開ける音がしたらハウスに入る、飼い主が部屋に入ってきたらマットに伏せるなど、帰宅=吠えるというルールではなく、帰宅と別の行動を結びつけます。

行動を結びつけることは犬が前ぶれを理解するという学習理論を使います。

鍵の音=ハウスの例でお話しします。

まずはハウスに自ら入ることなどを強化してスムーズにできるようになったら、ハウスに入る直前に前ぶれとして鍵の音を聞かせます。

そして、徐々に鍵の音とハウスを結び付けていきます。

これもいきなりできるものではありません。

トレーニングの時間を設けて練習しましょう。

犬にわかりやすく帰宅時に吠えないようにしつけよう

犬は残念ながら人間の言葉の意味を理解することができません。

いくらダメと言っても伝わっていないことが多いです。

犬がどのように学習をしていくのかを人間が理解してあげることが、より犬と飼い主さんの仲を深めさせていくと思います。

吠えてはいけないと叱るのではなく、どうしたら良いかをタイミングよく褒めることで伝えてあげましょう。