一言で目が赤いといっても、原因として考えられる病気はたくさんあります。
少し様子を見ても問題がないものから、放置していると悪化してしまう可能性がある病気、そして急がないと失明してしまう可能性のある病気まで重症度は様々です。
もちろん一過性ですぐ治る病気であれば良いですが、「少し様子を見てもいいかな」という飼い主さんの判断が犬の失明につながってしまうこともあります。
少しの充血でも動物病院に早急に連れて行ってあげましょう。
緑内障
緑内障は人間と同じで眼圧が上がる病気です。
白内障は目が白くなるイメージがあると思いますが、緑内障は目が何色になるかというと、真っ赤になる病気です。
白目の部分にとてもきつい充血が起こります。
その他の症状としては「目をとても痛がること」で、頭を触られることを嫌がったり、攻撃的になったり、元気食欲がなくなるというほどです。
涙・目脂も見られます。
原因はレンズの脱臼、外傷、炎症、腫瘍など様々で、眼房水の流れが悪くなることに起因して起こります。
人間にも緑内障はありますが、犬とは全く進行が異なります。
人間は数年かかって視野欠損が進みますが、犬の場合は24~48時間以内に眼圧を下げる処置をしないと失明してしまう病気です。
一度失明してしまうと、視覚は元には戻りません。
家で様子を見ても良化することはないので、動物病院に行って治療を受けるしか方法はありません。
そして異常に気付いてあげるためにも、普段からしっかりと犬の目を見てあげることが大切です。
瞳孔が開いた状態になることも緑内障の特徴です。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎とは、目の眼球を包む膜「ぶどう膜」に起こる炎症です。
あまり耳にしない病気かもしれませんが、放置しておくと緑内障になる可能性も高い怖い病気です。
細菌やウイルスの感染が原因で起こることが多いですが、その他の全身性疾患に続発して起こることもあります。
そして恐ろしいのが、犬の場合はちょっとした結膜炎にも続発してぶどう膜炎がおこる可能性があることです。
ぶどう膜炎の時にもきつい白目の充血が起こりますが、初期の状態では果たして結膜炎なのか、ぶどう膜炎なのかを素人目で判断するのは非常に難しいです。
その他の症状は「目がしょぼしょぼする」「目を気にする、痛がる」「目脂がでる」「涙が出る」などがありますが、特異的なものではありません。
ぶどう膜炎の時は瞳孔が小さくなるので、この点で緑内障とは異なります。
きちっと動物病院で治療を要する病気です。
目の病気ですが、治療には飲み薬を必要とします。
きちんと完治するまで治療を行いましょう。
結膜炎
結膜炎は人間でも一般的に耳にする病気です。
原因も人間と同様で、細菌やウイルスの感染・ほこりや花粉などが目に入って刺激になって、目を開いた時に見えるピンクの膜の部分(=結膜)に炎症が起こる病気です。
睫毛の生え方が変わっていて、目に当たるので結膜炎を繰り返す犬もいます。
目が充血したり、しょぼしょぼして、程度によっては目をつぶってしまったり、目脂・涙が出たり症状は様々です。
結膜炎もきちっと点眼で治療を行えば悪化せずに治りますが、なかなか治らない場合は他の病気の可能性もありますので、きちんと獣医師に相談して治療を見直した方が良いでしょう。
ご自宅で様子を見ずに、動物病院へ行きましょう。
角膜炎
角膜とは目の表面の透明な層のことで、この部分に炎症が起こるのが角膜炎です。
犬の角膜炎には様々な原因によるものがあり、病態も異なり細かく分類されており、一過性ですぐ治るものから自己免疫性でなかなか治らないものまであります。
ただ、どの角膜炎でも白目が充血したり、目をすごく痛がり、目をしょぼしょぼさせたり、という症状が見られます。
こちらは、目脂・涙も伴います。
ひどくなると、目全体が白く濁ったような状態になります。
早期に対応してあげれば治る病態のものもありますが、治療が難航してしまう場合もあります。
ただ共通して言えるのは、早期に異常に気付いて対応してあげることで大事にならずに済むでしょう。
初めはちょっとした角膜炎でも放置して炎症が長引くと、透明な角膜が黒くなってしまったり、血管が新生してきてしまうことがあります。
この病気も早期に病院へ行き、きちっと完治するまで治療をすることが大切です。
前眼房出血
前眼房というのは目のレンズの前の部分で一度、目の断面図をネットで検索していただくと良く分かると思います。
この病気の「目が赤くなる」は前述の病気とは全然違い、目の透明な部分全体が真っ赤になります。
白目のところは白目のままで、前眼房に出血をしている状態です。
このようになる原因には、外傷、血管の異常や血液の凝固異常、網膜剥離、ぶどう膜炎、緑内障などがあり、原因に合った治療が必要になります。
前眼房の出血に対する治療よりは原因となる病気を治療して、出血がおさまるのを待つということです。
犬の目が赤い時はすぐに病院へ
この他にも目が赤くなる病気はあります。
ただ、どの病気にも共通することが「放置しておくと重症化する」「次の重大な病気を引き起こしかねない」「初期の充血の状態ではどの病気か判断できないこともある」ということです。
様子を見ずに病院へ行くことが大切です。
そして、犬は嗅覚や聴覚が優れているので、視覚に頼る部分は少ないということを耳にすることはありますが、犬にとっても視覚情報は大事なウエートを占めているということが最近の研究で明らかになっています。
いつまでもキレイな可愛い目を保てるように日頃からきちっと犬の目を覗いてあげましょう。