犬がペロペロと口をなめてくる理由。服従と愛情を証

犬自身の鼻や口先を、人間の鼻、口の近くに近づけて、フンフンとしばらく臭いと嗅いだと思ったら、舐めてくることありますよね?

人懐こい犬は、初対面でもとめどなくペロペロしてくる子も。

そこで今回は、なぜ犬は口を舐めてくるのかをご紹介します。

オオカミの名残

犬の先祖「オオカミ」。

オオカミは子供の時は、母親が狩りに行った先で胃袋に一度入れた物を吐き出したものをエサとして食べていました。

その際に、子供たちは母親が帰ってくるのを今か今かとお腹を空かせて待っているので、母親が帰ってきた時に、母親の口を舐めて、ご飯の催促をします。

そのことが今現在の、犬が人の口や鼻を舐める習性に繋がっている、一つの原因だと言われています。

一番服従している人に対して行う

オオカミは「群れ」で行動する生き物です。

親と子でも、大人になったら「服従する側」と「服従される側」に分かれたり、自分のパートナーを見つけて子孫を残していきます。

その際にも、「自分が個のものが一番大事だ」と思った相手に対して、最大の愛情表現として口の周りを舐めることもあります。

そのオオカミと違い、犬も自分の親ではなく、人間が幼い頃から飼うようになった今では、環境の変化と共に、起源となった頃の習性とはだいぶ変わった行動を取るようになってきました。

ただ、根付いている野生の本能というのは大きく、今は基本的に「自分が一番大事だと感じる相手」=「飼い主」です。

そのため、自分が飼われている家の中で一番世話をしてくれる人に一番愛情を感じ、口を舐めてくる。

それが今の「犬が口を舐めてくる行動」の理由の一つです。

「この人は自分を大切に思ってくれている」と思った人にはきちんと、犬自身からも愛情表現が返ってくるのです。

また、飼い主以外にもこの行動をする犬がいますが、その場合は、その子は人間に対して恐怖心がなく、「この人は犬が好きな人だ」と感じた途端にご挨拶に、口を舐めてきてくれる子もいます。

基本的な起源はありますが、時代や環境と共に、犬も色々な子が増えてきています。

犬が好きな方には、とても楽しいことですよね。

ケンカの仲裁

人間がケンカをしているとき、飼っている犬が世話しなくクンクンと鳴きながら周りを回ったり、割って入ってきて口を舐めてきた経験ありませんか?

実は、その行動もオオカミの習性から来たものです。

オオカミは、自分の群れの、目上の者がケンカをしているとき、それを治めるべく、間に入って「まあまあ、その辺にしましょうよ」と、偉い方のオオカミの口を舐めることがあります。

その行動が、今の人間のケンカ(飼い主=目上の者)の仲裁の役割を果たしています。

中にはもうしゃべれないくらい口を舐めてくる子もいます。

何より、可愛い愛犬にそんなことされたら、気持ちがだんだん落ち着いてきますよね?

犬は人間が思っている以上に、感情を読み取る、感じ取る能力に長けています。

犬を飼っている方は、愛犬をあまりヤキモキさせないように、なるべくケンカをすることなく毎日を過ごせると良いですね。

口を舐めてこなくても嫌われている訳ではない

ご飯をあげない、撫でてあげないなど、よほど虐待に近いくらいの行動をしていなければ、「犬が飼い主を嫌う」ということはまずありません。

では、なぜ自分が飼っている犬が口を舐めてこないのか?

それは、愛情表現が豊かな犬は、人間が息ができなくなるくらい、一杯口の周りを舐めてきてくれる子もいますし、仔犬の頃には顕著にその行動が見られることもあります。

そこで「わかったわかった」と犬の口を手で軽く押し返したり、行動を制したりしていませんか?

意識していなくても、知らず知らずのうちに何度かやっていたこともあると思います。

そこで、犬は「あれ?今やったことは、やってはいけないことだったのかな?」と学習します。

その為に、だんだんと口を舐めるのを辞めてくることがあります。

ただ、「口を舐める習性を辞めてもらう」ことに罪悪感を感じることはありません。

いくら愛情表現、可愛いからとはいえ、口と口の接触は、あまり清潔とは言えない事です。

お互いに、「人間は持っていても良いけれども、犬には必要のない菌、犬は持っていても良いけれども、人間には必要のない菌」があったり、お散歩の時に犬が臭いを嗅いだ土の中から何かが付いてきてしまった、ということもあると思います。

決して「汚い」というのではありませんが、もし今も愛犬に口の周りをいっぱい舐めてもらっている方は、ぜひ、「うがい」をすることをオススメします。

口を舐められることは愛されている証

犬は、人間とコミュニケーションを取るのが大好きです。

犬が口を舐める理由を知ってより一層、愛犬をかわいがってあげましょう。