犬には短毛種長毛種がいるものの、ほとんどの犬種に毛が生えています。

それぞれの犬種が、もともとの起源の地域に合う体質や毛質などを持って生まれてきます。

今回は犬の被毛の役割についてご紹介します。

暑さ寒さから体を守る

最近夏になると流行るのが犬のサマーカットです。

サマーカットは犬の被毛を短くして、暑い夏をさっぱり涼しく過ごせるというイメージがあります。

実はこのサマーカット、賛否両論あるのをご存知でしょうか。

その理由は、サマーカットによって被毛を短くし過ぎてしまうことで、散歩の時に犬の体に直射日光が当たり、皮膚に直接強い日差しがあたってしまうからです。

その結果、犬が熱中症になりやすくなってしまったり、長い時間日差しに当たることで日焼けをしてしまったりするようになっています。

犬の被毛には日差しをカットして、直接皮膚に日光が当たらないようにする役割もあります。

安易なサマーカットは逆効果であることを覚えておきましょう。

暑さから身を守るためには被毛は重要です。

また、寒さから身を守るために被毛が重要な役割を果たしていることは理解しやすいと思います。

冬にはより体を温めるための被毛が生えてくる犬種(ダブルコートの犬)も多く、寒さから犬の体を守っています。

外傷や外敵から身を守る

犬にはほぼ全身に被毛がありますが、いろいろな外傷から身を守るという役割があります。

犬は昔は靴や服を身につけないで外で活動している動物でした。

そのため、生活していく上で様々なケガをしてしまう場面があったのです。

森で生活すれば木の枝やとげなどが落ちてきたり、飛び出していたりします。

そのようなもので犬の体が傷つかないように、犬は全身を被毛で覆われています。

また、敵から攻撃されても、軽い攻撃であれば被毛が吸収してくれます。

被毛が生えていることで、攻撃を受けても直接皮膚を攻撃されるよりはずっと軽く済むのです。

そうした理由からも、被毛には外傷や外敵から身を守るための役割があると考えられます。

病原体や虫などから皮膚を守る

犬の被毛の大切な役割として、病原体や虫などから皮膚を守ることも挙げられます。

長時間空気に触れてしまうと死んでしまうようなウイルスであれば、被毛の表面に長期間付着することで死滅します。

もし何らかの病原体が被毛についてしまい、感染してしまったとしても、被毛が生えていることで感染する病原体の数を減らすこともできます。

症状が軽いうちに病気を発見することができるので、被毛があることで症状を軽減させることにもつながるのです。

また虫刺されなどに対しても、被毛は重要な役割を果たしています。

フィラリアの予防をしていたとしても、やはり蚊やその他に虫に刺さる頻度は少ない方がよいです。

被毛がしっかりと生えている部分では、虫に刺されにくくなります。

ダニやノミなども被毛にくっついて住み着いてしまうという性質を持っている、質の悪いの虫ですが、被毛がなければ即座に刺されてしまいます。

被毛があることで、いろいろな病気からも犬の体は守られています。

体を大きく見せる

これは家庭犬である現代の犬達にはあまり必要ないことかもしれませんが、野生であった頃には少しでも大きく見えることが重要でした。

よく犬のカットをした後に犬を見ると一回り小さくなったような感覚に陥ります。

もちろん犬自体が小さくなったわけではありませんが、それだけ犬の被毛は犬を大きく見せているのだということです。

野生だったころの犬には、相手に自分を大きく見せるという点でも被毛が重要な役割を果たしていたと考えられます。

今のように定期的にカットしたり、シャンプーをしたりする習慣がなかったころには、このような役割もあったのでしょう。

濡れや乾燥から皮膚を守る

犬の皮膚はとても薄いので、雨で濡れてしまえばすぐに体温が下がってしまいます。

乾燥している場所や暑い場所ではすぐに肌が乾燥してしまいます。

犬に被毛があることで、直接的な皮膚への刺激を避けられるように犬の体はできています。

犬は皮膚病になりやすい動物でもあるので、環境などからくる皮膚への刺激からも被毛が守ってくれているのです。

犬の被毛は万能な役割を果たしている

以上のように犬の被毛にはとても重要な役割があることがわかりました。

サマーカットなど短くカットをすることが決して悪いことではありません。

それでも、カットを行う際には、犬の被毛の役割をよく確認してから行うようにしましょう。

被毛は犬にとって大切な鎧のようなものです。

飼い主がブラッシング等の手入れをまめに行ってあげるようにし、いつも清潔に被毛としての役割を損なわないようケアをしてあげましょう。