信頼関係を結ぶべき飼い犬が、自分の呼び声に反応してくれないとへこんでしまいますよね。
しかし犬はただ無視をしているのではなく、何か深い理由があるのかもしれません。
呼んでも反応しない心の背景には、いったいどんな気持ちが隠れているのでしょうか。
何かに夢中になっている
犬がどんなに呼んでも反応を見せないのなら、その集中が別のものに向けられ、何かに夢中になっているのかもしれません。
面白いものや興味の引かれるものが目の前にあれば、犬はそちらに全神経を注いでしまうことがあります。
返事がないからといって直接体に触れたりすれば、犬は突然のことに驚いて慌ててしまうかもしれません。
夢中になっているものが危険を伴わないならば、しばらく待ってから声をかけるようにしましょう。
特に子犬ほどこういった傾向が見られ、好奇心旺盛な時期は飼い主の声が耳に入らないことがあります。
単純に叱るのではなく、犬の気持ちや行動を尊重してあげてください。
焦らず少しずつ主従関係を理解させ、自分の声に素早く反応できるようにしつけましょう。
自分の名前を理解していない
犬の耳はある程度の言葉を識別し、意味を聴き分けることができます。
しかし名前をつけてから時間があまり経っていなかったり、名前の音が聞き取りづらいものであったりすると、犬は自分が呼ばれていると気づかないことがあります。
悪気はないまま無視してしまっているのかもしれません。
飼い犬に名前をつけたら、まずはそれが犬にとって大切なものであり、常に意味を持つ言葉であると教えてあげましょう。
犬の目を見ながら、はっきりと名前を発音し、反応を見せたら褒めてあげてください。
そうすれば犬は段々名前の響きと自分を結びつけ、やがて名前を自分のものにすることができるでしょう。
中々名前を覚えないからといって、悲観したり、怒ったりはしないでください。
犬は一生懸命、耳にその名前を馴染ませている最中なのかもしれませんよ。
嫌な思い出とリンクしている
もしも犬が呼ばれていることを理解しながら、あえて無視しているのなら、そこには飼い主との信頼関係を揺るがす大きな理由があるのかもしれません。
例えば、驚かせるような大声で名前を呼んだり、叱るときに名前を呼んでいたりはしないでしょうか。
そういった経験は、犬にとって嫌な思い出となり、名前を呼ばれることイコール嫌なことが起こると勘違いしてしまいます。
お風呂や病院など、犬が嫌がることは日常にもたくさんあります。
そういったことと名前を切り離すために、名前を呼んだら必ず何かいいことがあると教え直しましょう。
犬の記憶を楽しい思い出で上書きします。
時間をかけて言葉が浸透すれば、きっと呼ばれたときに元気な反応を見せてくれるようになるでしょう。
体調に異変がある
普段は呼べばすぐに反応し、嬉しそうな素振りを見せる犬が、突然呼びかけを無視するようになった。
それは何か体や心に異変が起こっているのかもしれません。
一目ではわからないような体調の不具合や、見えない部分に怪我をしていないか、慎重に確かめる必要があります。
慌てふためいて落ち着きを失くすのは、犬の心情を思いやるのなら逆効果です。
飼い主として冷静に、犬の様子を観察してみてください。
原因がすぐにわかればいいのですが、素人目では中々それも難しいでしょう。
一人で悩むことはしないで、信頼できる友人や獣医に相談をしてみてください。
早合点で不安を感じることがないように、いつでも話ができる飼い主仲間を持っておくといいですね。
そして病院に行く必要があると思ったら、迷わず素早く動くようにしましょう。
老化現象の一つ
犬の老化は大型犬なら7歳、小型犬なら9歳くらいから始まると言われています。
見た目や雰囲気から老化がわかる場合もあれば、動きや鳴き声を聞いて初めてわかることもあるでしょう。
聴力の衰えも、老化現象の一つです。
最近呼んでも反応が鈍くなったと感じるなら、年齢によっては老化の疑いが考えられるかもしれません。
また老化は聴力の低下だけでなく、身体の痛みや筋力の衰えも引き起こします。
聞こえてはいるけど、動くのが辛いから無視しているのかもしれません。
高齢な犬に対しては、年齢を配慮したお世話が必要になります。
呼ぶばかりではなくこちらから接近し、身体を触れ合わせる機会を減らさないように気を使いましょう。
犬は老化によって体が弱まるのを実感し、落ち込んでいるのかもしれません。
飼い主として、例え反応がないとしても名前を呼び続けてください。
声をかけることで、犬の心はきっと楽になるでしょうから。
犬が呼んでも反応しないのには、それなりの理由がある
犬が呼んでも反応を見せないのには、必ずそれなりの理由があります。
犬だって何かに夢中になり、抗議の意味を込めて無視する権利があります。
犬のリアクションに怒るのではなく、なぜ犬にそんな行動をさせてしまったのかを考えてみましょう。
犬の気持ちを読み取るということは、飼い主にとって一番重要で基本的なお世話です。