犬の品種改良の歴史。オオカミから犬への変遷を知ろう

最終更新日:2016年10月6日

人間は目的に沿った犬を生み出すため、ある能力に秀でた個体同士を交配させることで、様々な品種を作り出しました。

それは人間の生活を便利にするためであり、従って品種改良の歴史は、そのまま人間の生活史と、密接に関わっているのです。

1.野生のオオカミから家畜としてのイヌへ

そもそも、犬という生物のルーツは、元を辿れば野生のオオカミに行き着きます。

近年の研究において、犬のDNAを分析した結果、犬の祖先が家畜化したオオカミであるという結論が出ています。

その意味では、犬そのものがオオカミからの品種改良で生まれた種だとも言えます。

おそらく人間が食べ残した食料などを目的に近づいた個体が、人間の集団の中で、あるいはごく近い位置で生活するようになったのが、1万2千年~1万4千年前と考えられています。

それらを人間が選別し、交配させていったのが、現代まで続く犬の「品種改良」の最初の一歩です。

これ以降、犬は最も人間に身近な家畜として、様々な役割を背負うべく改良されていきます。


2.狩りに役立つ狩猟犬

原始時代と呼ばれる頃、人々は平原や森に出かけて食物を手に入れる狩猟生活を送っていました。

最初に犬が飼われ始めたのもこの時代であり、その目的は狩りにおける活躍です。

犬の鋭敏な嗅覚は、微かな匂いさえも感知することができ、種によっては遠くの獲物を発見できる視力を備えてもいます。

これらは用心深い野生動物を相手にする狩りにあたって大きなメリットとなり、いわゆる「狩猟犬」の誕生へ繋がりました。

獲物の探索だけでなく、捕獲ポイントへの追い込みや、場合によっては獲物を仕留める最終局面でも頼られることがありました。

これらの性質を最も残しているのが、強靭な脚力と走力を持つハウンド種です。

更に、そこから、小動物を狩るのに特化した、テリアのような小型狩猟犬も生まれました。

3.牧畜のための牧羊犬

人間の生活に牧畜が加わると、獲物を追跡することよりも、貴重な資産である家畜や農作物をきちんと管理し、守る役割が犬に求められるようになります。

この点で知られるのが「牧羊犬」です。

家畜がバラバラに散っていかないように見張り、群れをきちんとした状態に保つのはもちろん、家畜を盗もうとする侵入者への威嚇という意味合いもありました。

このようなルーツを持つ犬としては、シェパードやコリアがよく知られています。

これらの品種が、「飼う時には長めの散歩が必須」と言われる程の体力を持つのは、この名残です。

他にも、現在は愛玩用として飼われてはいても、実は牧羊犬としての品種改良で生み出されたという種は多いのです。


4.農耕社会における犬の役割

農業が発展すると、人間は定住生活を基本とするようになり、作物やそれによって生み出される富は何箇所かに蓄積されるようになりました。

集められた資産は、それを奪おうとする人間との争いの元となり、資産を確実に守ってくれる「番犬」が登場します。

また、これらの変化は貧富の差も生むことになり、権力者は自分の財産を守ってくれると同時に戦争にも貢献できる、「軍用犬」を求めるようになりました。

厳しい訓練を得て戦争に投入された軍用犬は、剣や弓矢といった武器で接近して行うしかない戦争において、貴重な戦力となりました。

現在で言えば、例えばブラッド・ハウンドのような種は、この目的のために改良されたものです。

これらは嗅覚が素晴らしく発達しており、囚人や反逆者の追跡などにも活躍しました。

5.社会構造の変化と品種改良

貧富の差が拡大したことで、生活に余裕のできた権力者は、犬にも実用面以外での役割が期待するようになります。

即ち、自分の身近に置く犬に警戒心や闘争心よりも、飼い主に対する人懐っこさや従順さ、そして愛らしさを重視したのです。

また、貴婦人が膝に抱いたりできるように、小型のものが好まれました。

こうして、現代のペットに最も近い役割の「愛玩犬」が作り出されていきます。

例えば、この種の代表格であるプードルは、元は鴨猟の回収犬として使われていました。

その後、16世紀頃からフランスで愛玩用として改良されていき、トイやミニチュアのような派生種の誕生にも繋がっています。

更に時が流れ、王族や貴族が力を失い、代わりに裕福な市民階級が台頭してくると、それまで上流階級のみで行われていた犬の品種改良は一般にも広がっていきました。

イギリスでは1859年に最初のドッグショーが開かれています。

こうして、個々のブリーダーに任せるだけだった改良に、広範囲に渡る基準が生まれていくのです。


6.現代における犬の品種改良と役割

過去、品種改良によって生み出されてきた犬たちは、現代においては、それぞれ新しい役割を負うことが多くなりました。

例えば、狩猟犬として生まれたゴールデン・レトリバーは、その賢さや忠実さを買われ、家庭用ペットとして愛されています。

また、番犬として重宝されたドーベルマンなどは、「警察犬」として新たな活躍の場を得ました。

更に、20世紀に入り、福祉・介護の概念が重要視されてきたことで、犬がその分野で活躍する場面も増えました。

盲導犬を始めとした「身体障害者補助犬」がこれにあたります。

このように、各々の能力を活かして活躍する犬がいる一方、愛玩用として新たな犬種の誕生を望む声もあります。

ただ、近年の品種改良は、長年の人為的な操作に、更に手を加えてしまうことで、犬の身体に深刻な害を及ぼすこともあります。

このため、動物愛護団体などを中心に、これ以上の品種改良に反対する声も多く挙がっています。

犬の品種改良の歴史を知ろう

犬たちの生き方が、ほぼ人間の都合で左右されてきたのは、残念な点とも言えます。

しかし、品種改良の歴史を知ることは、その犬の特徴を深く知ることでもあり、世話をする際にも適切に接することができます。

彼らが生み出されてきた過程を積極的に学び、身近にいる犬が少しでも快適に過ごせるようにしていきましょう。

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