元気な犬たちは、家の中でもはしゃいで走り回ることがありますよね。
しかし、家の中は土や芝生の上とは違い、硬くすべりやすくなっていることが多いでしょう。
そうした場所では、足や腰に負担がかかるということは多くの人が知っていることと思います。
今回は、すべりやすい床が実際にどう良くないのか、また、具体的にどういったリスクが考えられるのか紹介します。
1.滑る床だと爪で踏ん張ることができない
まず、すべりやすい床にはどういった危険性があるのか考えてみましょう。
簡単に言ってしまえば、犬が爪を立てて踏ん張ることができないという点が重要なポイントになります。
そのため、不自然な体勢になったり、変な風に力が入ってしまったりすることが日常的に起こります。
結果として、そうしたことが膝や股関節、腰に負担がかかるようになってしまいます。
実際に、家の中での普段の犬の様子を観察してみてください。
そうすると、走りはじめたり、方向転換をするときに、カチカチと爪が床に当たる音がすると思います。
また、階段を降りたり登ったり、ソファなどの高いところからジャンプするときも同様です。
踏ん張ることで体のバランスを取っているようなシチュエーションは多く存在しています。
2.滑る床だとケガをする危険性がある
床がすべりやすいということは、とにもかくにも、まずケガをする危険性があることを認識しておきましょう。
人間でも、意外と簡単なことで手の指を突き指したりしますよね。
また、階段を踏み外してしまったり、足を取られたりすると捻挫をすることもあります。
こうした筋を痛めたりするようなケガというのは、犬にも共通して起こります。
予期せぬ方向に筋が伸びてしまったり、無理のある姿勢を取れば体を痛めることになるのは当然です。
また、単純にすべったりすることで、体をぶつけてしまうこともあるでしょう。
しかし、犬の場合には、足や腰をケガして歩けないと、非常にストレスが強くかかります。
ケガをすることで二次的な影響もあるので、そうしたリスクを放置しているということにもなります。
3.強い負担が続くとヘルニアに
毎日のちょっとした負担でも、長いあいだ続いていれば大きなケガとなることがあります。
特にダックスフントやコーギーなどの胴が長い体型の犬は、腰への負担が大きくなると言われています。
また、プードルやパグ、ビーグルなどの犬種も、先天的に腰の軟骨に異常を持つ可能性が高い犬種です。
こうした犬種では、特に椎間板ヘルニアの原因となることがあります。
人間にも起こる椎間板ヘルニアの過酷さは、もしかしたら耳にしたことがあるかもしれません。
ヘルニアになるとなかなか完治するのは難しく、それ以降の運動には制約を受けることもあります。
また、状態によっては歩行障害が残ることもあり、かわいそうな思いをさせてしまうことになるでしょう。
継続的な負担が原因となることが多いので、日頃からの過ごし方が大切になるのはいうまでもありません。
4.小型犬に多い膝蓋骨脱臼
すべりやすい床というのは、腰だけでなく膝にも強い負担がかかります。
力を入れて踏ん張ろうとしたときに、床にうまく力が伝わらず足が空回りしてしまいます。
そうすると、力の抜き場所を失った足はそのまま伸びてしまい、その衝動が膝や股関節に伝わります。
こうしたことが続くと、膝蓋骨脱臼を引き起こすことがあります。
膝蓋骨脱臼は、要は膝にあるお皿が外れてしまうものですが、軽度なものから重度なものまであります。
また、小型犬やそれほど筋肉量のない犬は、関節も弱くとても起こしやすい体型です。
多くは遺伝的などの先天的な要因を持っていますが、後天的な要因でも起こるので注意する必要があります。
繰り返すことで癖になってしまう場合もあるので、軽度でも看過できないものです。
5.発育が未熟な犬は股関節形成不全に
また、すべりやすい床が危険なのは、小型犬だけではありません。
大型犬には股関節形成不全になる犬もあり、膝や股関節にかかる負担との関係が懸念されています。
股関節形成不全も先天的な要因で発症することが多いのですが、家での過ごし方によっても起こりうる病気です。
特に注意したいのは、体や骨格がまだ未熟な子犬の時期です。
床ですべってしまい、足や腰を痛めたりすることがあるとします。
そうすると、痛い箇所をかばうようになり、歩行や姿勢が不自然になったりします。
こうした状態が続き、通常とは違う筋肉や筋の使われ方をしているうちに、関節の異常をきたすようになります。
こうした異常というのはなかなか気付きにくいものなので、なるべくリスクは取り除いておきたいものです。
犬のためにもすべりやすい床には対策を行おう
フローリングは犬の抜け毛なども掃除しやすく、見た目もよいかもしれません。
しかし、犬にとってはこうしたすべりやすい床というのは、決して快適とは言えません。
ちょっとしたことですが、積もり積もれば後になって大きな影響を与える可能性があります。
犬のことを考えてあげるのであれば、なるべく早めに対策を講じておくのがよいのではないでしょうか。