「犬がいつまでたっても寝てくれない」「夜に吠えたり暴れたりして困っている」ときどきこんな困りごとを聞くことがあります。

「元気がありあまっているのかな…」と思っても、昼間はぐっすりと寝ていたりすることがあります。

犬の生活がこうして昼夜逆転してしまっているときには、どのように対処すればよいのでしょうか。

犬が認知症の場合

人間が年を取ると認知症になりやすくなるように、犬も高齢になると認知症を発症することがあります。

認知症にはいろいろな症状があるので、なかなかすぐに見分けることは難しいかもしれません。

しかし、大人の犬が生活サイクルが昼夜逆転している場合には、認知症による影響がまず考えられます。

認知症はいったん発症してしまうと、完治するということは基本的にありません。

ゆっくりと進行していきますが、ストレスや生活環境の変化によって急激に悪化してしまうこともあります。

しかし、認知症とのうまく付き合うことで進行を遅らせることはできます。

生活サイクルが乱れたときには、そのままにせず、きちんと向き合うようにしましょう。

昼間こまめに声をかける

犬が昼間に寝ていることが多くなったときには、なるべく近くにいるようにしてあげましょう。

もともと犬はよく寝る動物ではありますが、基本的には昼間起きて夜に寝る動物です。

こまめに声をかけて、体を触ったり、遊んだりしてなるべく起きているようにしてあげます。

寝ているところを起こすのは、気の毒に思ってしまうかもしれません。

特に10歳を超えるような高齢犬には、ちょっと酷かなと感じる人もいるのではないでしょうか。

しかし、日中に起きていれば自然と夜には眠気がやってくるようになります。

まずは、少しずつ生活リズムを整えるように、飼い主さんが手伝ってあげるようにしましょう。

日光浴をさせる

お部屋の中でうとうとしていると、ついそのままでもよいかなと思ってしまいます。

ですが、できれば散歩などに連れて行って、しっかりと日光浴をさせてあげましょう。

老犬で長時間の散歩が難しい場合には、庭やベランダに出て陽の光を浴びるだけでも良いです。

とにかく昼間に明るい太陽の光を体に浴びるというのが大切です。

多くの生き物は太陽の光を浴びることで生活リズムの調節を行っています。

これは犬だけに限らず、人間にも同じようなことが言えます。

太陽の光を浴びないと、少しずつ生活のリズムが狂ってしまうようにできているのです。

ただ単に日光浴をするだけではなく、そうした目的があるということを意識するようにしましょう。

適度な運動をする

日光浴をさせるのと共通する部分がありますが、ある程度運動をさせることは睡眠のために必要不可欠です。

体を動かせばやはり疲れますし、夜ぐっすり寝ることができるようになります。

散歩には体を使って運動をする以外にも、いろいろな臭いをかいだり、音を聞いたりさせる目的があります。

そうすることによって、自律神経の働きを促し、認知症の進行を抑える効果が見込めます。

認知症になっている場合、運動不足になることで症状が進行してしまうこともあります。

散歩に行きたがらない犬を無理やり連れだすのは気後れしてしまうかもしれません。

しかし、無理のない範囲で散歩をして、自律神経を刺激してあげるようにしましょう。

ひどい場合には動物病院へ

昼夜が逆転するだけならよいものの、そうなってしまうと、犬が夜に吠えたりすることもあります。

ケージの中で暴れたり、物音を立てたりすることもあるでしょう。

飼い犬が原因で飼い主もゆっくり寝れず、近隣への迷惑なども心配になってきます。

そうなると、今度は飼い主の健康にも影響を及ぼします。

あまりにも症状がひどい場合には、動物病院へ相談するべきでしょう。

飼い主もいっしょにノイローゼになってしまっては元も子もありません。

犬には少し可哀そうにも思えますが、症状によっては鎮静剤や睡眠薬などを出してくれます。

カウンセリングを受けて、対処法をよく相談してみましょう。

体の異常がないかもチェック

犬が夜に起きている原因は、すべてが認知症によるものというわけではありません。

もちろん元気がありあまっていたり、昼寝が原因で寝れないという場合もあるでしょう。

その他にも、体の不調で眠れないといったケースもあります。

若い犬で昼夜が逆転が起きているときには、しっかりと観察するようにしましょう。

よくあるのは、皮膚の炎症や疾患で、痒くて起きてしまうというケースです。

また、骨や筋肉の病気やケガで、夜に痛みが疼くということも考えられます。

どちらにしても、夜に起きていたり吠えたりするのは、SOSのサインとも言えます。

急に散歩に行きたがらなくなったとか、よく掻いているところがないかなど、異変がないか気にするようにしましょう。

犬の昼夜逆転状態を改善する方法を知ろう

犬は基本的にはよく寝る動物です。

しかし、犬が夜中に起きていると、吠えたり物音を立てたりして、いろいろと生活に支障が出ます。

飼い主と犬、どちらにとっても、そうした生活リズムが崩れてしまうというのは良いことではありません。

犬は人間よりも年を取るのも早く、8歳を過ぎた頃から認知症の心配になります。

気付かずに放っておくと、進行を早めてしまうことにもなります。

飼い主が早く気が付き、早期治療に取り組むことがいちばんのケアになるのを忘れないようにしましょう。