シャイで臆病な性格を持った犬を飼うとき、飼い主はその特徴と注意点を把握し、尊重してあげる必要があります。

どうすればシャイな犬と上手に付き合っていくことができるのか、いくつかの方法を確認してみましょう。

犬にとって安心できるスペースを確保する

シャイな犬とって、慣れないうちは身の回りにあるものの多くがストレスの原因となり、神経をすり減らすことになりかねません。

お迎えした犬がシャイで臆病な性格だと感じたら、まずその犬にとって落ちついて安心できるスペースを作ってあげることからはじめましょう。

静かでやや暗めな空間を用意して、犬が自然とそこに足を運びやすいように工夫してみてください。

犬にとって間違いなく安全だと思える空間があれば、その後の生活を楽に過ごさせてあげられるでしょう。

いきなり懐いてもらおうとか、仲良くなろうという気持ちを抑え、犬の心境を一番大事にしてあげてください。

怖くなったとき、誰にもかまわれたくないと思ったとき、犬が避難できるスペースを確保しておけば、シャイな性格でも大きなストレスを与えることなく飼育していくことができます。

敏感に反応するものを把握する

シャイな犬は、環境の変化にとても敏感な反応をします。

嗅ぎなれないにおいや、聞き慣れない音は心を疲れさせてしまうでしょう。

そういったシャイな感情を引き起こす原因は、少しずつ取り除いてあげてください。

何に怖がり、敏感な反応を見せるのかは、その犬によってまちまちです。

犬は気持ちを言葉にできないので、飼い主が毎日犬の様子を観察し、周囲への反応を把握しておく必要があります。

人や物を避けるような仕草を見せるなら、犬の生活圏から外してしまえばそれで済むでしょう。

しかし音や匂いとなると、完全に切り離すことはできません。

少しずつでいいので、それらに驚いたりする必要がないということを教えてあげましょう。

いつまでも戸惑う生活をさせていたら、犬との間に本当の信頼関係を築く時間を作ることもできません。

安全で安心な環境が用意できていることを、飼い主が自ら率先して証明してみせることもときには必要となります。

無理して他の犬に近づけさせない

犬同士が走りまわり、仲良く遊んでいるシーンはよく見られます。

ですがシャイな性格を持つ犬にとって、それはとてもハードルが高く、気後れしてしまうような行動であることを理解してあげましょう。

他の犬に対して必要以上に怯えたり、敵対するような反応を見せるなら、無理して近づけさせる必要はありません。

犬にも相性があり、どんな相手とも仲良くするというわけではないのです。

ましてシャイな犬なら、よりそういった傾向が強くなるでしょう。

とにかく不特定多数の犬と交流を持たせようとするのは、飼い主のエゴになります。

いつも一匹でいることを、かわいそうだと思う必要はありません。

犬には飼い主という立派な友人がいます。

飼い主は、そういった立ち位置から犬を見守ることもできます。

そしていつか気の合う犬に出会うことがあったとき、上手にコミュニケーションが取れるように手伝ってあげることも、飼い主の役割の一つだといえるでしょう。

逃げたり、噛まれたりすることを想定しておく

シャイな犬は対象にどのようなリアクションをすべきなのか判断できず、その場から逃げだしてしまったり、威嚇のために噛みついてしまったりということがよくあります。

そのときにしっかり犬を制止し、フォローしてあげられるように、飼い主として常に心構えをしておく必要があるでしょう。

散歩の際には強くリードを持ち、突然違う方向に走り出したとしても引っ張られないように注意をします。

犬に接触しようとする人が来たとき、犬が攻撃的な反応をしないように身体を触って安心させましょう。

シャイな性格だからこそしてしまう間違いを、事前に察知することを訓練してください。

そしてその後はただ叱るのではなく、犬の心のケアに努めましょう。

飼い主がいれば安心だと犬に思わせることで、人見知りによる過度な反応を抑えることができます。

いつだって犬にペースを合わせる

急激な環境の変化や、急かすような雰囲気は、シャイな犬がもっとも苦手とすることです。

自分のペースが乱れると、内気な性格が悪い方向に出てしまい、周囲に迷惑をかけることになるでしょう。

そのためには、今その瞬間に、犬がどういうことを考え、何を望んでいるのかを知りましょう。

誰とも顔を合わせたくないときや、静かにじっとしていたい気分のときに、散歩の時間だから、遊びたいからと犬を引っ張りだすことは、マイナスの結果しか生み出しません。

違う生きものである犬のペースを完全に把握することは、大変難しいことです。

ですがゆっくりと時間をかけ、犬の準備が整うのを待ってあげてください。

犬の気持ちと生活リズムを何よりも優先してあげることで、シャイな性格の多くは美徳となります。

シャイな犬との生活は、飼い主として大きな成長につながる

シャイな犬と生活していくためには、何よりも相手も気持ちを考え、理解しようという心構えが重要になります。

ただ上手に犬をコントロールして、思うように動かそうとするのとは、まったく違うことです。

シャイな犬と上手に付き合っていくためには、まずそういったエゴを捨て、そのやや内気で引っ込み思案な性格を尊重してあげることからはじめましょう。