カブトムシの成虫は通常2?3カ月で死んでしまうため、一夏の間だけのペットと思われがちです。
しかし、産卵させてうまく幼虫を育てることが出来れば、何年にも渡って楽しむことができます。
ここでは、日本のカブトムシの幼虫を育てる方法をご紹介します。
カブトムシの幼虫の生態を知っておく
カブトムシの幼虫を育てるためには、まずその生態を知っておきましょう。
カブトムシの成虫は夏の間に腐葉土などの中に20?30個程度の卵を産み付け、しばらくすると死んでしまいます。
卵は2週間程度で孵化し、1齢幼虫となります。
幼虫は腐葉土を食べながら脱皮を行い、2齢幼虫、3齢幼虫と成長していきます。
2~3度の脱皮の後、前蛹(ぜんよう)というサナギの準備段階に入ります。
幼虫が前蛹の段階になるまではおよそ8~9カ月間かかり、前蛹からサナギまでは1~2週間です。
カブトムシは成虫になってからは体長が大きくならないので、大きくて立派なカブトムシを育てるには幼虫の段階で十分に成長させる必要があります。
そのため、カブトムシ飼育ではとりわけ幼虫時代の世話が重要となります。
大きめの容器を用意する
カブトムシの幼虫は過密状態ではなかなか大きくなりません。
また、エサとなるマットの交換も頻繁に行わなくてはならないため、手間がかかります。
カブトムシの幼虫の飼育には、なるべく大きめの容器を用意するようにしましょう。
具体的には少なくとも1匹あたり2リットル程度の容積が必要です。
成虫1匹は20個以上の卵を産みます。
もし全て育てるのであれば、成虫を飼育していた容器ではまず大きさが足りません。
幼虫の数に合わせて飼育容器を買い足すようにしましょう。
飼育容器は水分が蒸発しないように、ある程度密封できるものが良いでしょう。
100円ショップやホームセンターで手に入る、フタ付きのプラスチックコンテナに小さな空気穴を開けたものが便利です。
エサは腐葉土や幼虫用マット
カブトムシの幼虫は自然界では腐った木の葉などを食べています。
そのため、エサとしては園芸店で売られている腐葉土がよく用いられます。
しかし、腐葉土には他の虫が入っていたり、化学肥料や殺虫剤が添加されている場合もあります。
腐葉土を使う場合は化学肥料や殺虫剤が入っておらず、乾燥・殺菌されているものを選びましょう。
乾燥・殺菌については自分で天日干ししたり、電子レンジで温めて行うこともできます。
より手軽で確実に安全なエサとしては、幼虫用のマットがペットショップで販売されています。
これはおがくずなどを発酵させたもので、カブトムシの幼虫用として開発されているので安心です。
ただし、成虫用のマットとは異なるので注意してください。
腐葉土やマットは容器の8割程度まで入れると良いでしょう。
腐葉土やマットは定期的に交換を
幼虫は腐葉土やマットを食べて細長い糞を出しながら成長します。
腐葉土やマットがエサなので、たっぷりと用意しないと小さなカブトムシになってしまいます。
そのため、3~4カ月程度で糞が多くなってきたらマットを交換します。
ただし、冬の間で気温が低いと幼虫の活性が低くなり、ほとんど動かなくなります。
この間はマットも交換する必要はありません。
つまり冬眠前と冬眠明けの、最低2回程度マットを交換することになります。
ただし、5月半ば~6月半ば頃に幼虫は蛹になる前の前蛹と呼ばれる状態になります。
このとき幼虫がかなりデリケートな状態となっていて、あまり動かすと最悪死んでしまいます。
また、前蛹以降はもう幼虫はエサを食べないのでマット交換に意味がありません。
冬眠明けのマット交換はそうなる前、春先には済ませてしまうようにしましょう。
湿度と温度管理をしっかりと
国内のカブトムシは日本の気候に適応しているため、外国産のカブトムシに比べて高温や低温、乾燥に比較的強いと言われています。
しかし、摂氏30度以上の高温や5度以下の低温に晒されると死んでしまう場合があります。
直射日光を避けて夏場ある程度涼しく、かつ冬は凍りついたりすることのないような場所にケースを保管しなければなりません。
また、もしマットが乾燥してきたら霧吹きなどで水分を補うようにしましょう。
しかし、水分があまり多いと幼虫は死んでしまいます。
マットを強く握ると軽く固まる程度の水分が良いでしょう。
握って水が出るようなら、水分が多すぎます。
ある程度密閉されている飼育容器なら、ほとんど水分を補給する必要はないかもしれません。
空気が多く入れ替わるような容器を使っている場合は注意が必要です。
成虫や幼虫同士が接触して傷つかないように配慮を
カブトムシは同じ種類で互いに接触などを避けるような配慮は全く持ち合わせていません。
幼虫同士が互いの体をかじってしまったり、成虫が卵や幼虫に接触して傷つけてしまったりということが起こります。
幼虫が傷つくと成長が悪くなったり、そのまま死んでしまうこともあります。
そのため、幼虫は互いに、また成虫とも接触しないようにした方が良いでしょう。
成虫が産卵したら卵の方を動かすのは難しいので、できれば成虫を他の飼育容器に移した方が無難です。
それが難しい時は、卵が孵化してから幼虫を別の飼育容器に移します。
ある程度大きな飼育容器であれば、幼虫同士が接触することはあまりありません。
しかし、マットの交換などで幼虫を取り出した時は互いに接触しないように、仕切りのある場所に別々に置くなどの配慮をしたほうがよいでしょう。
カブトムシの幼虫を育てよう
カブトムシの幼虫は育てる期間は8~9カ月間と長いですが、その間の手間はマットの交換ぐらいで飼育自体はそれほど難しくありません。
ペットショップなどでは夏に成虫が売られているのををよく目にしますが、店によっては幼虫も購入できます。
成虫だけでなく、幼虫を大きく育てて立派なカブトムシを作り出すのを楽しんでみてはいかかでしょうか。