カマキリ

大きな鎌を構える姿は、これぞ肉食昆虫という風格のあるカマキリ。

子供の頃に捕まえたり飼育した経験がある人も多いのではないでしょうか。

では、草原のハンターであるカマキリについて紹介します。

1、カマキリの生態

カマキリは全世界でおよそ2,000種前後もの種類がいると言われており、熱帯地方・亜熱帯地方に特に多くの種類がいます。

しかし、まだまだ研究が進んでいないというのが実情です。

一般的にはメスの方がオスよりも体が大きくて力も強いです。

成虫には細長い前翅と扇形に広がる後翅があるものの、ほとんどのカマキリは飛行が苦手であり、短距離を真っ直ぐに飛ぶことしかできません。

メスにいたっては、自分の体の大きさと重さのためにほとんど飛ぶことができず、翅は威嚇に使われることがほとんどです。

中には翅が退化をした種類のカマキリもいます。

頭部と前胸の境目は比較的柔らかく連結されているため、頭はぐるりと回転できるほどに柔軟です。

そして夜目もきくので、夜間にも獲物を襲うこともあります。

複眼の色を黒くすることによって集光力を上げ、暗闇での視界を維持しています。

2、カマキリのエサ

カマキリは肉食性の昆虫であり、自分よりも小さな昆虫や小動物をエサとしています。

大きさによってはスズメバチやオニヤンマなどの大型の肉食昆虫をもエサとします。

またヘビやカエルなどの爬虫類やミミズなど、昆虫以外の小動物を捕食する場合もあります。

そして共食いをすると言われているカマキリですが、エサが豊富にある時には好んで共食いをすることはありません。

しかし、秋や冬になりエサとなる昆虫の数が減ってくると、他のカマキリも重要な食料となってきます。

交尾中にメスがオスを捕食するというイメージも強くあるかもしれませんが、ほとんどの種は自ら好んでメスに食べられようとはしません。

カマキリは自分より体が小さくて動くものをエサとして認識をする習性があるため、自分よりも小さなオスをメスがエサと認識してしまうだけです。

ただ、ある特定の種においてのみ、交尾中にオスがメスに頭部を食べられる刺激で精子嚢をメスの体内に送り込むものもいます。

3、カマキリの一生

カマキリは卵→幼虫→成虫という不完全変態を行います。

不完全変態とは、幼虫期にすでに成虫に近い形をしていて、明確な蛹の時期がなく脱皮を繰り返して成長をしていく形式のことです。

メスは交尾を行うと数百個の卵を卵鞘の中に産み付けます。

卵鞘とは、卵と同時に分泌される粘液が泡立ったものです。

卵鞘の中は多数の気泡に包まれており、気温の変化や乾燥、外からの衝撃や外敵から卵を守っています。

孵化した幼虫には翅がありませんが、それ以外は成虫とよく似た形をしています。

一つの卵鞘から成虫になれるカマキリの数は、わずかに数匹程度だと言われています。

4月〜5月にかけて卵から孵化をして、8月〜9月頃には成虫になります。

そして交尾と産卵を行い、冬になってエサとなる昆虫が少なくなる季節には死んでしまい、ほとんどの個体が冬を越すことはありません。

卵はそのまま越冬して春に孵化をし、新しい世代がスタートします。

4、カマキリに寄生するハリガネムシ

カマキリにハリガネムシという寄生虫がつくというのは有名な話です。

ハリガネムシは水生生物であり、太さは1ミリ〜2ミリ、体長は数センチのものから1メートルを超すものまでおり、その詳しい生態はよく分かっていません。

ハリガネムシの幼生は、まずは水中で生活をしているカゲロウやユスリカなどの幼虫に捕食されます。

その腹腔内で居場所を見つけてシストと呼ばれる殻を作り休眠状態に入ります。

そしてカゲロウやユスリカが成虫になり、それをカマキリが捕食することによりカマキリの体内に入り込みます。

そのまま2、3か月間は宿主の腹の中で成長をして、成虫になると宿主の脳に特殊な生理活性物質(たんぱく質)を注入し、宿主を操作して水に飛び込ませて尻から脱出をします。

脱出後は池や沼、流れの緩やかな川で生活をして、交尾や産卵を行います。

ハリガネムシが脱出した後のカマキリは生殖能力を奪われて衰弱してしまいます。

そしてそのまま魚や水生昆虫に食べられてしまう場合がほとんどです。

ハリガネムシが寄生するのはカマキリだけではなく、バッタやカマドウマ、ゴミムシやコオロギ等も確認されています。

5、カマキリの飼育方法

カマキリを飼育する際には共食いを避けるために1匹で飼育をしましょう。

2匹以上飼育する場合には、それぞれ別の飼育ケースに入れて飼います。

飼育ケースの床には土を敷き、木の枝や葉を入れてあげると良いですが、なくても大丈夫です。

エサは動く昆虫類であれば基本的に何でも食べます。

動かないものは食べないので注意しましょう。

捕まえてきた昆虫を与えても構いませんが、寄生虫がついている可能性もあるので、ペットショップで購入したエサ用コウロギなどを与える方が良いです。

またカマキリは肉であれば何でも食べるので、ササミや鶏胸肉、魚肉ソーセージや魚の切り身も食べます。

ただし動かないものをエサと認識しないため、糸で吊って動かしてみたり、ピンセットで口の近くまで持っていくなどをしないと食べません。

エサは2、3日に1回与える程度で十分です。

与えすぎてしまうとそれが原因で死んでしまう場合もあるので気をつけて下さい。

水飲み場も必要なので、脱脂綿などに水を含ませて置いておきます。

室温は特に気をつける必要はありませんが、15℃〜20℃前後がカマキリには過ごしやすい気温です。

エサの与え方や温度管理に気を配れば12月下旬頃までは飼育できるでしょう。

カマキリの特徴を知ろう

カマキリについて紹介をしてきましたがいかがでしたか?環境の変化もあり、カマキリを見かける機会も年々減ってきてしまいました。

彼らを見つけたときは、少し足を止めて観察してみてはいかがでしょうか。

少し怖い見た目をしてはいますが、環境を整えて飼育してみるのも面白いかもしれませんね。