アンタエウスオオクワガタと言えば、数年前に大ブームを起こした事で知られる人気のクワガタなので、知っている方も多いでしょう。

オオクワガタの中でも特に大型のアンタエウスオオクワガタは、見ていて迫力満点で、飼ってみたいと思っている方も多いはずです。

そこでここではアンタエウスオオクワガタを知らない人でもわかり易く、その特徴をご紹介します。

アンタエウスオオクワガタとは

アンタエウスオオクワガタは、和名を「ミナミオオクワガタ」と呼ばれ、ミャンマーやブータン、ラオス等を始めとする東南アジアに生息する外国産のオオクワガタです。

アンタエウスオオクワガタの「アンタエウス」とは、ギリシャ神話に登場する巨人「アンタイオス」の事を意味し、非常に大型で逞しい姿をしている事からその名が付いたと言われています。

体長は角のない雌でも40㎜を超える個体が多く、雄だと体長80㎜以上にもなり、大きいものだと100㎜近いものまで存在します。

オオクワガタの中で最も重厚で大型とも言われており、特に雄は下顎が太く、体に厚みがあり、横幅も広くて非常に高級感のある逞しい体つきをしています。

他のオオクワガタの様に眼上突起が目立たず、大あごの付け根の裏側にオレンジ色の毛束があるのが特徴です。

標高の高い落葉樹林などに生息しており、元々生息数の少ない希少なクワガタでした。

しかし、その逞しく重厚な姿から日本ではかつて大ブームになり、生息地では乱獲による個体数の減少が問題となっています。

アンタエウスオオクワガタの生態

アンタエウスオオクワガタは主に熱帯・亜熱帯地方の標高1000m以上の落葉樹林に住むことが多く、1年を通して気温の差が少ない涼しい地域に多く生息しています。

生息数は少ない反面、幅広い地域に生息しているため、生息地によって個体差や形状差があるのもこの種の特徴です。

主にインドやブータンなどに生息する「ヒマラヤ系」と、主にマレーシアを原産とする「マレー系」、インドシナを多く生息する「インドシナ系」の3つの系統が知られています。

特にヒマラヤ系は大型の個体が多くいる事で人気の高い系統になります。

アンタエウスオオクワガタは主に樹液の良く出る大木の穴の中を縄張りとしている事が多く、他のクワガタ同様に樹液をエサとしています。

雄は縄張り内でジッとしている事が多いですが、雌は産卵場所を求めて飛び回ることが多く、倒れた大きな落葉樹や枯れ木等を主に産卵場所にします。

夜行性で夜間に活動する事が多いですが、他のクワガタに比べると、活動期間が長く、現地では夏を過ぎても見られる事があります。

アンタエウスオオクワガタの飼育

アンタエウスオオクワガタは幼虫の時期こそ非常にデリケートですが、成虫になれば比較的丈夫で、温度管理などさえ怠らなければ決して飼育が難しい種類のクワガタではありません。

アンタエウスオオクワガタはその大きくて逞しい姿に反して、オオクワガタの中では比較的に大人しくて温和な性格をしています。

そのため他の種と混合すると大きなストレスを与えてしまう事が多く、出来れば単独で飼育する事が望ましいでしょう。

標高の高い場所に生息しているため、高温に弱く、17度~22度くらいが理想的な温度です。

飼育ケージはクーラーのある場所か、日の当たらない涼しい場所に置いておく様にして下さい。

日本産のオオクワガタと違って冬眠はしないので、冬場でも温度を保ちつつ飼育する様にします。

アンタエウスオオクワガタは国内での繁殖例もかなり多く、知識と条件さえ揃えば自宅でブリーディングする事も可能です。

アンタエウスオオクワガタの価格と寿命

アンタエウスオオクワガタは数年前までは非常に高価なクワガタでした。

元々の希少性もあってか、1匹5万円~10万円が相場でした。

しかしその後一気にブームが過ぎ去り低価格化され、国内でのブリーディングも増えたため、現在では価格がかなり値下がりしています。

雌雄や大きさ、入手経路や原産地の違いによって価格はまちまちですが、凡その目安として雄は1000円~8000円程度で販売されている事が多いです。

中には1万円を超える個体もいますが、以前の様に5万円も10万円もすることはなくなった様です。

雌は雄に比べると若干高価な場合が多いですが、それでもやはり1万円をする個体は少ないです。

また最近では雌雄セットで販売されている事も多く、そういった場合であれば安価に入手出来ることが多いです。

アンタエウスオオクワガタの寿命は、羽化後2~3年程で、他のオオクワガタと大して変わりません。

飼育環境によっては若干の上下はありますが、平均的に3年位と考えればいいでしょう。

アンタエウスオオクワガタの特徴を知ろう

アンタエウスオオクワガタは、かつてはブームのせいで生息地で乱獲が起こり、一時は社会問題にまでなる程人気のクワガタでした。

しかし今では比較的値段や流通量も安定していて、入手もし易くなり、国内でもブリーダーが多く見られるようになりました。

アンタエウスオオクワガタはその恰好良さの割には飼育も比較的楽で、繁殖もし易く、初心者でも飼い易いクワガタです。

飼育を考えている方は、是非繁殖も検討してみては如何でしょうか。