みなさん、昆虫の寿命はどれぐらいだと思いますか?セミの寿命は一週間しかないと言われたりしますね。
犬や猫のような哺乳類とは違い、非常に短命だと思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、私たちが想像しているよりも意外と昆虫は長生きをしています。
それでは、その中でも特に寿命の長い昆虫をご紹介します。
セミ
セミと言えば、地上に姿を現してからはわずか一週間しか生きられないというのが、一般的なイメージではないでしょうか。
土の中に幼虫としている期間に関しても、5年〜7年程度だと思ってしませんか?しかし、この予想を遥かに越えるご長寿のセミたちが存在します。
それは周期ゼミと呼ばれるセミたちです。
周期ゼミとは複数のセミの種の総称であり、一つの種の呼称ではありません。
周期ゼミは17年で成虫になるグループと、13年で成虫になるグループとに別れています。
17年周期のセミが3種、13年周期のセミは4種います。
成虫の寿命は一ヶ月程度で、その他のセミと同じですが、幼虫として地下で過ごす期間は圧倒的に長期です。
彼らの生息地は北アメリカ東部に限定されており、残念ながら日本には生息していません。
幼虫たちが、地上に出るまでの期間をどのように把握しているのかは未だに解明されておらず、謎のままです。
ブプレスティス・スプレンデンス
昆虫とは思えないような長い名前ですが、タマムシの一種です。
なんと37年も生きたブプレスティス・スプレンデンスがいるのです。
タマムシもセミと同じように幼虫期間の長い昆虫です。
一般的にはおおよそ3年〜5年もの期間を幼虫として、切り株や伐採木の中で過ごします。
その後、約10日ほどを蛹として過ごし成虫になります。
成虫になってからの寿命は約一ヶ月から2ヶ月前後であり、他の昆虫と大差はません。
37年も生きたというブプレスティス・スプレンデンスも、おそらくはその寿命の大半を幼虫として過ごしたのではないかと思います。
なんらかの特殊な環境条件により蛹になることができなかったのではないでしょうか。
そのため、かなりの長期間を幼虫として過ごしたと思われます。
日本のどこにでもいる美しい昆虫ですが、飼育をするにはかなりのテクニックと整った飼育環境が必要なため、家庭での飼育は難しいでしょう。
ナルティテルメスシロアリの女王
ナルティテルメスシロアリの女王蟻は100年も生き、その命のある限り産卵を続けます。
生涯における産卵数はなんと50億個にも達します。
産卵数においても、昆虫の世界でナンバーワンです。
女王アリの体は兵隊アリや働きアリなど巣の他のアリに比べて大きく、その体のほとんどは卵で満たされています。
つまり、卵巣が非常に大きく発達しています。
女王アリは大きな体ゆえに動くこともままならず、夫のアリや従者のアリたちに面倒を見てもらい産卵のみに徹しています。
ちなみにシロアリはアリではなくゴキブリに近い昆虫です。
家屋を食害する種のシロアリもおり、日本では害虫としてのイメージが強い昆虫ですが、自然界においては分解者として非常に重要な役割を持っています。
シロアリの分解者としての能力をヒントに、石油代替のバイオマス資源の研究も進んでいます。
人間に害を与えるだけの存在ではないのです。
クマムシ
クマムシは緩歩動物門に属する動物です。
緩歩動物は4対8脚の脚を持ち、移動速度は極めてゆっくりです。
非常に強い生命力を持つため、チョウメイムシ(長命虫)とも言われます。
クマムシの主な生息地は地中、苔の中など水中に近い環境です。
しかし、高山や深海に生息する個体もおり、地球上のいたるところに存在しています。
そんなクマムシの強さはというと、極度の乾燥状態にも耐え、151℃の高温から絶対零度の極低温まで耐えることができる点。
さらには真空から75,000気圧の高圧まで耐え、極めつけは人間だと致死量にあたる量の放射線を浴びても死なないのです。
そのメカニズムはどうなっているのでしょうか?
彼らは乾眠によって、あらゆる環境に耐えているのです。
乾眠とは、代謝を限りなくゼロに近づけることにより仮死状態になることです。
乾眠個体に水分を与えると、再び活動を始めることができます。
しかしながら、動くことができるだけであって、完全に元通りの活動ができるかどうかは分かっていません。
それにしても凄まじい耐久能力です。
寿命の長い昆虫を知ろう
四種類の寿命が長い昆虫を紹介しましたが、いかがでしたか?
不快な生き物として嫌われることも多い昆虫ですが、知れば知る程に興味深い存在でもあります。
発見されているだけでも100万種、未だに発見されていない未知の種類も含めると、その数は500万種とも1,000万種とも言われています。
地球の生命体の約8割は昆虫であるといわれおり、地球は昆虫の惑星といっても過言ではないのです。
およそ3,000種類もの新種が発見されています。
今回紹介した昆虫たちよりも、さらに長寿の昆虫も存在しているかもしれません。