クワガタの寿命と言うと、カブトムシなどと同じで夏しか生きられないと思っている人も多いようです。
しかし、実際にはクワガタによっては冬越しして数年間成虫のままで生きられるものもいます。
ここでは、様々な国産のクワガタの寿命についてご紹介します。
成虫の寿命が3~4カ月のタイプ
クワガタの寿命は種類によってさまざまです。
しかし、成虫の寿命に限ると大きくは活動後に越冬するタイプとそうでないものに分かれます。
越冬しないものにはノコギリクワガタやミヤマクワガタ、マルバネクワガタがいます。
これらの種類のクワガタは、夏に成虫となり秋には死んでしまいます。
そのため、成虫の寿命は活動後3~4カ月程度です。
ここで「活動後」と言ったのは、実は成虫の寿命には例外があるためです。
クワガタは秋ごろにふ化すると成虫のまま動かずに越冬し、次の年の夏に活動を始めることがあります。
この場合、越冬の期間を合わせると成虫の寿命は1年程度となります。
しかし次の年の秋には死んでしまうので、寿命は活動後1~3カ月となります。
成虫の寿命が1~2年のタイプ
カブトムシやノコギリクワガタなど、よく飼育される夏の昆虫が秋には死んでしまうことから、クワガタもそうだと思われがちですが、実はクワガタには成虫で越冬するタイプも多くいます。
そのうち1~2度の越冬の可能なタイプがヒラタクワガタやスジクワガタです。
クワガタは通常朽木の中などで越冬します。
飼育下ではマットの中や止まり木の下などで越冬します。
ちなみに「冬眠」とは、厳密には恒温動物である哺乳類や鳥類が冬場に活動を停止して休眠状態になることです。
それ以外の動物でも慣習的に冬眠と呼ぶこともありますが、実際には寝ているわけではありません。
クワガタの場合も単に温度が低いと行動できないだけなので、越冬中も温かい日には活動することがあります。
また、冬場でも高温を維持するとそのまま活動を続けます。
しかし、越冬する種類では冬場は自然な低温を維持した方が寿命は長くなります。
成虫の寿命が2~3年のタイプ
クワガタの中でも特に長命なコクワガタやオオクワガタは、成虫で2~3度越冬することがあります。
飼育下のオオクワガタでは、最長で7年生きたとも言われています。
オオクワガタは比較的高額なクワガタですが、長く生きてその間楽しめると思えばその分お得かもしれません。
コクワガタは人家の近くの雑木林などに生息するため、クワガタの中でも最も身近な種類の一つでしょう。
クワガタは一般的に摂氏15度を下回ると活動を止めて越冬状態になります。
前述のように越冬させた方が寿命が長くなりますので、秋から冬にかけてこの温度以下になる場所で飼育すると良いでしょう。
また、ブリーディングを楽しむ場合は越冬させた方が多く産卵しやすいとも言われています。
オオクワガタやコクワガタを飼育している場合は、何年も長く生きられるように世話するようにしましょう。
成虫の寿命が2カ月以下のタイプ
あまり馴染みのない種類が多いのですが、高山に生息する小型のクワガタには成虫で2週間から2カ月程度で寿命を迎えるものもいます。
ルリクワガタやオニクワガタの仲間がそれに当たります。
ルリクワガタの仲間は小型で春先に成虫となり、高山のブナの新芽などに飛来します。
ルリクワガタの仲間は一般的なクワガタと異なり、大きなアゴはありません。
しかし名前の通り輝くようなるり色の体色をしており、しかも個体によってその色味が異なります。
オニクワガタは夏場に成虫となり、ブナ林の倒木などで見られます。
成虫となってからはほとんどものを食べず、寿命も1カ月以下です。
これらはあまり一般的ではありませんが、狙って採集するマニアもいます。
幼虫の期間はどれも1~3年
ここまではクワガタの成虫の寿命をご紹介してきました。
では幼虫の期間がどれくらいかというと、実は種類によってそれほど変わりなく1~3年が一般的です。
1~3年と大きく開きがあるのは、同じ種類でも幼虫の成長ペースによってその期間が変わるからです。
例えば暖かい地方でエサも十分にあると、ほとんどの種類で1年で幼虫から成虫となります。
一方、寒冷地などでは成虫になるまでに3年かかることもあります。
幼虫の成長具合によっては秋ごろ成虫になってしまい、成虫のまま冬越しして翌年の初夏から活動を始めることもあります。
このように、幼虫でいる間は環境によって大きく異なります。
飼育下では温度やエサなどを幼虫の成長に適した条件を用意できるので、1年以内、遅くとも2年でに幼虫からさなぎになるのが普通です。
幼虫は一般的に高温で管理した方が、早く成虫となります。
クワガタの寿命を知ろう
クワガタ、特にコクワガタやオオクワガタは本来3年以上の寿命があります。
秋になってこれらのクワガタの動きが鈍くなっても、死んでしまったとは思わないで冬越しの準備をしましょう。
越冬中は動きが鈍くなるので、飼育のための手間もほとんどかかりません。
うまく育てて翌年もクワガタの飼育を楽しんでみてはいかがでしょう。