以前は比較的簡単に見つかったクワガタも、最近はクワガタブームなどもあり、だんだんと数が減って採集が難しくなってきています。
ここではそんな中でもクワガタを効率よく採集するための基本的な方法をご紹介します。
生息域や習性を知ろう
クワガタを捕まえるには、何よりもまずクワガタのいる場所に行かなければなりません。
そのためには、まずクワガタの生息域や習性を調べましょう。
例えば、コクワガタやノコギリクワガタは人家に近い雑木林や山などにいます。
そのため、比較的近い場所で採集することができます。
しかし、ミヤマクワガタやアカアシクワガタなどはある程度標高の高いところに生息しています。
もしこれらを採集するなら、少し遠出する必要が出てきます。
オオクワガタの場合は数が少なく、臆病なのでなかなか人目のあるところにはいません。
過去に採れた場所などを調べて、その周辺に行くのが効率の良い方法です。
さらに、クワガタは種類によってクヌギの木を好むものやヤナギの木に集まるものなど、同じ森の中でも現れる場所が違います。
自分が採集したいクワガタがどこに現れるかをまず調べるのが、クワガタを捕まえるための第一歩です。
ルッキング採集
ルッキング採集とは最も基本的な昆虫採集の技法の一つで、目で見て探すことです。
クワガタは夜行性なので採集は夜行われることが多いのですが、そのための下見などで昼間に雑木林などに入ることになります。
その時にクワガタがいそうな場所を探してみましょう。
クワガタは木の皮の下やウロ(幹が空洞になった場所)などによくいます。
そのような場所を覗いてみて、見つかったら長いピンセットなどでクワガタを取り出します。
樹液の出ている木の根本に隠れていることもよくあります。
木の上の方にいる場合は、揺らすと落ちてくることもあります。
また、手の届かない場所にいるのを見つけた時のために、長めの捕虫網を必ず持っていくようにしましょう。
クワガタのルッキング採集で重要なのは、まず山林を歩くための服装をしっかり整え、あまり深く森に入り過ぎないといった安全対策です。
その上でクワガタの習性を考えながら、注意深く探してみましょう。
灯火採集
クワガタには走光性と呼ばれる、光に集まってくる性質があります。
それを利用して、外灯や自動販売機の明かりに寄って来たクワガタを採集するのが灯火採集です。
夜にクワガタの生息地に近い場所の外灯を丹念に回ると、集まってきたクワガタを採集することができます。
夜にいきなり出歩いても周りの様子がわからないので、昼のうちに良さそうな外灯の場所を下見しておきましょう。
この時、オレンジ色の光の外灯は虫が寄り付きにくいのでチェックする必要はありません。
水銀灯や蛍光灯など、白や青っぽい色の光を中心に探してみましょう。
灯火採集の注意点は、夜遅くに歩き回るため、近くの住民の方の迷惑にならないようにすることです。
特に人家の近くではライトの明かりで家を照らしたり、大きな声で話したり、車のエンジンをつけっぱなしにしたりしないようにしましょう。
バナナトラップ
砂糖と強めのアルコール飲料とストッキングに入れたバナナをしばらく漬け込んでおき、それでクワガタをおびき寄せるのがバナナトラップです。
これらをビニール袋などに密封し、暖かい場所で漬け込んで1~2日経つと発酵が進み、クワガタの好む臭いが出ます。
さらにドライイーストを入れると発酵しやすくなるので、手に入るなら入れておきましょう。
バナナが発酵したら明るいうちにクワガタがいそうな場所に仕掛けておき、夜や早朝などに採集しにいきます。
バナナトラップはしかける場所が重要です。
場所によってはアリなど他の昆虫や鳥に食べられてしまったりすることもあります。
仕掛ける高さによっても集まる昆虫の種類が変わってきます。
条件を変えながら何ヶ所か仕掛けておくと良いでしょう。
この時、場所がわからなくならないように、メモしたり目印を置くなどしておきましょう。
ライトトラップ
ライトトラップは灯火採集と同じく、クワガタの走光性を利用する採集方法です。
灯火採集と異なるのは自分で灯りを採集場所に持ち込むことです。
まずクワガタの生息場所に近いところで、明るい内に周りに外灯などがない開けた場所を探します。
場所が見つかったら洗濯ロープなどで、大きな白い布(シーツなど)をスクリーンのように吊るします。
吊るした布の下にも白い布を敷きます。
暗くなったら吊るしたシーツにメタルハライドランプや水銀灯などの強い光を当てます。
あとは光に集まってきたクワガタを採集します。
クワガタがシーツに捕まった場合は簡単に見分けられますが、近くの茂みなどに落ちることもあります。
その場合も探せるように、必ず懐中電灯などの灯りを人数分用意するようにしましょう。
材割り
クワガタには種類によっては朽木の中で一生のほとんどを終えるものがいます。
材割りはそのようなクワガタを採集するためにナタなどで朽木を割り、中から出てきたクワガタを取り出す方法です。
ナタを使うのでどうしても危険がありますし、体力も必要です。
朽木を削ると、その分クワガタの生息場所が減ってしまうことにもなります。
目当てのクワガタが材割りでしか見つからないという場合以外はやらない方が良いでしょう。
しかし、必要な場合はケガをしにくいようにナタを肩や頭よりは振り上げすぎず、少しずつ削っていきます。
クワガタの生息環境を壊さないように、なるべく材割りは少なく済ませるようにしましょう。
クワガタを捕まえよう
採集したクワガタがもし多すぎて逃がす場合は、必ず採集した場所で逃がすようにしてください。
昆虫はあまり大きく移動しないため、山を一つ越えただけで亜種が生息していることがあります。
不要な交雑を産まないためにも、採集したクワガタは責任を持って最後まで飼育しましょう。
また、次の年にもまたクワガタの採集が出来るように、あまり多くのクワガタを採集しないようにしましょう。