「トラツリアブ」は昆虫の一種です。

ハエ目トリアブ科に分類されており、その特徴的な容姿は、虫がどうしても苦手だという人も、思わず可愛いと感じてしまうほどです。

この「トラツリアブ」の具体的な生態や特徴についてご紹介します。

絶滅危惧に瀕している希少な生き物

トラツリアブは非常に数が少ない生き物で、絶滅危惧種の生き物に数えられています。

レッドデータブックにも掲載されており、目撃事例も非常に少ないことで知られています。

原産地は不明ですが、希少ながらもおもにユーラシア地方に生存しているものが多くなっており、日本国内でも複数の地方で目撃されています。

国内の目撃事例は特に岡山県の山奥に集中しており、大阪や兵庫、愛媛などでも発見事例があります。

国内では九州以西で発見された事例はなく、依然として非常に貴重な生き物であることに変わりはありません。

目撃事例が集中している岡山県では、2009年に県内に適応されるレッドデータブックに、トラツリアブを記載しています。

小さく非常にキュートな外見をしている

トラツリアブは、現在インターネット上を中心として、非常に多くの注目や話題を集めている生き物でもあります。

その理由が、昆虫とは思えないほどのキュートなルックスです。

トラツリアブの体長は、個体差はありますが総じて10mm程度のとても小さなものとなっています。

昆虫のイメージからは遠い、もこもこと柔らかそうな毛で全身が覆われているため、写真だけでみるとファンタジー上のマスコットキャラクターのようにも見えるでしょう。

全身における瞳が占める割合も大きく、真っ黒で大きいです。

つぶらな瞳ともこもこものボディとなれば、思わず撫でたくなってしまう人も少なくないでしょう。

飛行時には、トラツリアブは後ろ足を上げて、大の字にボディを開いたようなスタイルを取ります。

そのどこかファニーで愛らしい姿も、話題と人気を集める理由となっているのです。

また、トラツリアブはハチの仲間ではあるものの、基本的に刺すようなことはありません。

警戒心もあまり強くないため、過去には人が手を伸ばすと、そこに寄ってくるような人懐っこい個体が発見されたこともあるほどです。

オスとメスの外見は大きく異なっている

非常にキュートなルックスが話題を呼んでいるものの、こちらはあくまでメスのトラツリアブだけです。

メスのトラツリアブは、黒く大きな瞳同士が離れており、ぬいぐるみのようなルックスですが、オスのトラツリアブは、基本的に目と目がくっついています。

身体における目が占める割合は、メスと変わらず大きいものの、昆虫じみた雰囲気が圧倒的に強くなっています。

全身の毛も、メスのトラツリアブは薄く淡いカラーなのに対して、オスのトラツリアブの毛の色はメスよりずっと濃い茶色となっています。

柔らかいイメージというよりは、硬く強度のある虫の貫録があります。

ハエやハチの仲間であるということを思い出させるその外見の差も特徴的ですね。

植物のミツを食べて暮らしている

トラツリアブのメインの食事は植物のミツです。

顔の中央部分にある長く細いクチバシのような器官を使って、花から直接ミツを吸い取ります。

ストローを使用して、ミツを栄養にしているようなイメージでしょう。

トラツリアブの成虫は、大体秋ごろに目撃されるのですが、シーズン内に小さなボディには似つかわしくないほどのミツを集めて食べます。

過去に発見されたトラツリアブの姿には、花と花を渡り歩いて、ミツを食べる記録も存在しています。

バッタに卵を寄生させて育てる

トラツリアブは、その増え方も特徴的です。

基本的にはバッタなどの生き物の卵鞘に、自分たちの卵を寄生させることで、子孫を増やしています。

岡山県内の倉敷昆虫同好会が発表したところによると、国内で多く目撃されているトラツリアブの生息地は、湿原や山中であり、その周辺にはセグロバッタが多く生息しているとのことです。

そのため、国内で見かけられるトラツリアブは、セグロバッタの卵鞘に寄生して、子孫を増やしているものと過程されています。

人間による生息地荒らしが問題になっている

ここ十数年の間に、インターネットをはじめとした様々なメディアにおいて、トラツリアブの注目度は飛躍的に高まりました。

元々メインシーズンである秋ごろでも、100匹程度しか観測されない珍しい生き物でしたが、話題になったことで、一目トラツリアブを見ようと人々が殺到してしまった背景があります。

今なお数を減らし続けているトラツリアブの生存危機の背景には、人間の勝手な侵入が深く関係している可能性もあります。

可愛くて魅力的なトラツリアブを守っていこう

トラツリアブは、昆虫が苦手な人でも、思わずきゅんとしてしまうようなキュートなルックスが特徴の昆虫です。

しかし、その数は依然として減少の一途を辿っています。

トラツリアブが安心して繁殖出来るような保護活動も重要な課題だと言えるでしょう。