みなさんは“マンマルコガネ”という昆虫を知っていますか?これはコガネムシ(甲虫目)の仲間です。
昆虫と聞くと、子どものときは触れたけど、大人になったら触れないという人も多いでしょう。
しかしこの昆虫、見た目はとても可愛らしいのです。
そんなマンマルコガネについてご紹介します。
1.熱帯地方に位置する中米コスタリカに生息
マンマルコガネの生息地は、熱帯に位置する中米のコスタリカです。
北米と南米をつなぐ中米にて、北はニカラグアとカリブ海、南はパナマと太平洋に接する場所です。
九州と四国を合計した面積と同じぐらいの、とても自然環境が豊かな地域です。
どれぐらい豊かというと、そんな小さな面積の中に、地球上の生き物(動物や植物)のおよそ5%が生息していると言われています。
ウミガメが卵を産みに来たり、色彩豊かな鳥が飛んでいたりします。
この彩り豊かな鳥の中には、手塚治虫のマンガ「火の鳥」のモデルになったぐらい美しいものです。
また、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジュラシックパーク」の舞台設定はコスタリカです。
そんな生物の宝庫のような環境の中に、このマンマルコガネは生息しています。
魅惑的で独特な個性的な生き物が多い中で、実はこのマンマルコガネもかなり個性的でユニークな昆虫です。
2.キラキラ輝く、変形自在の身体
普通のコガネムシではあれば、あのややズングリムックリとした体形で、緑色のキラキラ輝く身体を思い浮かべることでしょう。
もちろんコガネムシの色には、ちょっとくぐもった色やそれほど輝いていない個体まで様々ですが、だいたい輝いているキレイな姿をイメージするものです。
コスタリカのマンマルコガネも同様に輝いていて、こちらは黄緑色をした明るい感じの色彩になります。
そのキレイな姿も特筆すべきものですが、さらに面白い特徴があって、このマンマルコガネは“変形”することができます。
どのように変形するのかというと、ダンゴムシのように“真ん丸”になります。
これはダンゴムシと同様に、危険を感じると身を守るために丸くなるというのがその理由です。
しかも、その丸まり方が見事であり、手足を中にしまい込んでキレイにコンパクトな形へと様変わりします。
手でつかもうとしても、ツルツルッと滑って、転げ落ちます。
そしてほんの少し平たくなっている部分があるため、あまり転げ回ることなく、ちょうどよいところで静止します。
その後、これまたダンゴムシと同様に、ニョキニョキと6本の脚を伸ばして、静かに歩き始めるのです。
目も米粒のような形をしており、体長は約5mmと小さく、見ているとその姿は“可愛らしい”と言わざるを得ません。
3.食性は雑食
コガネムシの食性は、基本的に広葉樹の葉っぱを食べる“食葉性”です。
幼虫のときは植物の根っこの部分を土の中で食べながら、スクスクと育っていきます。
これに対して、マンマルコガネの成虫は、キノコやカビなどの菌類や動物のフン、腐敗物、朽ちた木などを見つけて食べます。
たまにアリの巣でマンマルコガネが発見されることもあり、その食性は“雑食”に分類されます。
黄緑色に輝くボディ(お腹は明るい褐色)をしていますので、いかにも葉っぱを食べてそうですが、アクティブに色んなものを食べるのは意外なことです。
同じコガネムシの仲間にフンコロガシがいますが、彼らも動物のフンを器用にまとめあげ、真ん丸にして転がし、それを少しずつ食べていきます。
葉っぱ以外のものを食べることができるマンマルコガネは、たくましい昆虫です。
4.マンマルコガネの種類は豊富
マンマルコガネの生息域はコスタリカだと述べましたが、一口にマンマルコガネといっても、その種類はたくさんのものが存在します。
コスタリカに住んでいるマンマルコガネとは別の種類のマンマルコガネなら、実は世界中の熱帯地方に広く分布しています。
キラキラした黄緑色だけではなく、やや暗めの深緑色したマンマルコガネも存在し、住んでいる環境に適した色になっています。
これはマンマルコガネに限らず、自然界の生き物はそのほとんどが“保護色”という迷彩色したボディカラーをしていて、できるだけ天敵から食べられないようにし、生存確率を高めています。
熱帯といっても様々な環境が存在しますので、マンマルコガネもその環境の微妙な違いに応じた豊富な種類が存在しています。
日本においては沖縄県にある石垣島や西表島などの暑い地域に生息し、そこに行けばその生態をつぶさに観察することが可能です。
マンマルコガネの特徴を知ろう
これまで見てきたように、マンマルコガネはコロコロした愛らしい生き物であることが分かりました。
特にコスタリカのマンマルコガネは、黄緑色の明るいボディカラーをしていますので、より可愛いと思うことができるでしょう。
ただ可愛いと思うだけではなく、このマンマルコガネを通して自然界の不思議を堪能することもできます。