カブトムシとクワガタが分からない人はいないと思いますが、でもこれが幼虫になると話は別です。
似たような姿をした幼虫は日本にいくつかいて、どれも同じに見えてしまいます。
そこで今回は幼虫の見極め方をご紹介します。
見つけた場所で見分ける
カブトムシとクワガタの幼虫はイモムシではありません。
地虫と書いてジムシと呼ばれるタイプです。
ジムシは漢字で書くと地虫で、土の中にいる虫ということです。
体は白くて柔らかく、カーラーで巻いたように丸まっています。
甲虫の仲間の幼虫は大方このタイプです。
ジムシは活発に動くことはないので、食べ物の近くに生息しています。
幼虫の食べるものはそれぞれ種類によって違うので、どこで何を食べて生息していたのかで区別をすることができます。
日本には甲虫が500種類以上いますが、私たちの身近にいて、かつカブトムシ、クラガタの幼虫に間違えやすいのは、コガネムシ、カナブン、カミキリムシ、タマムシでしょう。
判別するポイントですが、カブトムシの幼虫が食べるのは腐った植物質の土です。
ですから、幼虫は林の中の落ち葉が積もった地面の下や、落ち葉をためてある囲いの中、あるいは、たい肥を作っているような家なら、そのたい肥の中で見つかります。
クワガタの幼虫は、朽ちた木を食べて育つので、枯れたり切られたりして転がっている木や、立ち枯れした木の中にいます。
木の種類も決まっていて、雑木林にあるクヌギやコナラの広葉樹です。
カミキリムシやタマムシの幼虫も木の中に住んでいますが、朽ちた木より生きている木を好みます。
幼虫の形もほっそりしているので区別はつくと思います。
コガネムシの幼虫は、植物の根っこを食べるので、イモやダイズやトウモロコシなどの各種野菜の根元、ショウブやランなどの花の根元、野山ではヒノキやスギの根元にいます。
プランターや家庭農園の畑の土の中でカブトムシの幼虫を見つけたという人がいますが、それはほとんどがコガネムシの幼虫です。
ただカナブンは腐葉土も食べるので、カブトムシと同じところで見つかることがあります。
大きさで見分ける
カブトムシは昆虫の王様と言われるだけあって、幼虫も大型です。
卵から孵化する九月から翌年の六月まで、腐葉土をどんぶり約三杯分たいらげ、脱皮を二度し、生まれたときの300倍の大きさになります。
体長で言うと、最終的には10センチぐらいになります。
頭の幅は1センチ以上あります。
クワガタムシは種類によって大きさに違いがありますが、オオクワガタならそれ以上の大きさになることもあります。
この二つの大型甲虫の幼虫に比べると、コガネムシの幼虫は小ぶりです。
コガネムシにも色々な種類がありますが、幼虫はだいたい5センチで小指の太さぐらい。
カナブン、カミキリムシの幼虫も大きくて5センチです。
もっとも、カブトムシやクワガタムシでも、幼虫が小さいうちは、見た目の大きさだけで見分けるのは困難です。
それでもしばらくの間飼ってみれば、急激な成長ぶりから判別できると思います。
動き方で見分ける
土の中にいる幼虫を取り出すと、体を丸くします。
足は胸のところに六本ついていますが、チョウやガの幼虫のようにお腹のところの足はありません。
ですから、歩くときは太いお腹を引きずっていくしかないわけです。
土の上では、本当に動きづらそうです。
しかし、カナブンの幼虫は違います。
背中を下にして、つまり水泳の背泳ぎの状態で体をうねうねさせて這っていきます。
それもけっこう早く移動します。
ガブトムシやクワガタの幼虫にはそんな芸当はできません。
体の特徴で見分ける
ジムシはだいたいどれも同じような形をしているのですが、頭部や大あごの形、色や体形で種類を区別することができます。
カブトムシの頭はこげ茶色です。
それに比べるとクワガタはずっと明るくて、オレンジ色をしています。
両者とも大きなアゴをもっているのが特徴です。
コガネムシの頭は黄土色。
頭が小さく、アゴも目立つほどの大きさではなく細いのが特徴。
カブトムシとクワガタの頭の表面は少し凸凹していますが、コガネムシの頭には目立った凹みはありません。
カナブンはコガネムシよりさらに頭が小さくなります。
それと、カナブンは体毛がたくさん生えています。
しかし、カブトムシやクワガタの体毛はわずかです。
カミキリムシやタマムシの幼虫は形で判別できます。
身体の色はカブトムシと同じですが、細長いイモムシのような形をしています。
触っても丸まったりはせず、真っすぐです。
足も見えません。
一匹だけだと判別がつかないかもしれませんが、似ているもの同士を比較すると、ある程度正確に判別できるようになります。
カブトムシとクワガタの幼虫を見つけよう
昆虫の中で一番人気があるのが、カブトムシとクワガタです。
幼虫から育てて違う虫だったら、がっかりの度合いも、普通の虫の比ではありません。
判別ポイントをしっかり覚えておくことは、採集する上でも重要です。
ただ、個体差があることだけは頭の隅に入れておいてください。