子どもにお世話を任せるなど飼育しやすそうなイメージのある金魚ですが、実はとてもデリケートな生き物です。
その上「もしかして病気?」と不安に思うことがあっても、動物病院で診察してもらえることはまずないというのが現状です。
自分で金魚をよく観察して、原因を把握し対処してあげるしかありません。
ここでは金魚飼育中によく起こる、金魚が白くなっている時に考えられる理由をご紹介します。
褪色による白化
褪色は、金魚が高齢になるにつれて起こりやすくなる生理現象です。
状態としては、体の色が褪せたようになり、白い色が現れます。
いつ現れ始めるか、またどの程度現れるかは金魚それぞれの個体差によりますし、全く褪色が現れない個体もいます。
何が要因となって起こるのかはまだ詳しく解明されていませんが、病気でないことは確かです。
若い金魚で起きているという場合は、金魚の色素成分が不足していたり、日当たりの悪い場所に水槽を置いているなどの理由によって光量が不足していたり、また環境の変化によるストレスがかかっていたり、などが要因として考えられます。
特に光量不足は、昔のように庭の池で飼育するのではなく、室内の水槽で飼育するのが主流となっている現在ではよく起こりがちです。
水槽を窓際に置いて日光浴を促したり、ライトを購入して昼の間は当てておくなどの対処をすることで、若い金魚の褪色は比較的起こりにくくなります。
褪色ならば、これによって体調を崩すことはありませんので一安心ですが、もちろん病気によって白みが出ている可能性も大いにあります。
病気によっては命に関わりますので、注意深くしっかりと金魚の様子を観察しましょう。
以下に、症状として金魚の体が白くなることのある病気をご紹介します。
白点病
白点病は、白点虫が金魚の体に寄生することによって起こる病気で、「金魚の風邪」と言われるほど金魚の病気としてはメジャーなものです。
風邪と聞くと大したことのないように思えますが、ひどくなると死に至る恐ろしい病気です。
症状としては、とても小さな白い点が体に現れ始め、金魚が水槽に体をこすり付けたり、体を小刻みに震わせたりするなど、かゆそうな仕草が見られるようになります。
白い点は、一度現れたものが消えてしまうこともありますが、病状が進むにつれて範囲も広がり、絶えず体に現れている状態になり、放っておくとやがて死んでしまいます。
治すには、まず水換えをして、メチレンブルーやグリーンFリキッドなどの治療薬による薬浴を治るまで続ける必要があります。
水カビ病
水カビ病は、金魚の体に傷がついていたり抵抗力が落ちていたりする場合に起こりやすい病気です。
体に水カビが付着し、綿のような形に繁殖をしてしまいます。
症状としては、金魚の体の表面に白い綿のようなカビがつきます。
出血を伴うこともあります。
放っておくと、綿のようなカビの範囲がどんどん広がり、やがて体の表面を覆い尽くし金魚が死んでしまいます。
主な治療法は、白点病と同じようにメチレンブルーなどの治療薬による、薬浴かつ塩水浴を続けることです。
また、水カビは水温が20℃を下回ると発生しやすくなるため、ヒーターなどを使用して水温を25℃以上に上げ、その状態を保つことで、薬浴の効果も上がり、回復が早くなる可能性があります。
カビの範囲が小さいうちは、カビが取れそうなら金魚を傷つけないようにピンセットなどで取ってあげるという方法もありますが、万が一金魚を傷つけてしまった場合、新たな傷がさらなる水カビの繁殖源ともなりうるので注意が必要です。
白雲病
白雲病は、金魚の体に寄生虫がついてしまうことによって起こる病気で、特に水質が悪化している時に起こりやすいと言われています。
寄生虫は金魚の体を刺激し、それによって金魚から分泌される粘液を栄養源として、どんどん増殖します。
症状としては、金魚の体に白いモヤモヤした雲のような膜が付着し、時間が経つにつれて少しずつ膜の範囲が広がっていくことが挙げられます。
ちなみにこの雲のような膜は、寄生虫の刺激によって分泌された金魚の粘液です。
その他、金魚が水槽の底の方でじっとしていたり、食欲が低下するなど元気のない様子も見られるようになります。
病状が進むと膜が金魚の全身を覆ってしまい、やがてエラを塞ぎ金魚が窒息死してしまいます。
治療法は、水換えをして水槽に塩を少し加えての塩浴と、メチレンブルーによる薬浴を行うことです。
治療中の水質の悪化は厳禁ですので注意し、常に水槽内は清潔に保てるようにしましょう。
日頃の管理と観察で金魚を守ろう
もし原因が褪色ならば問題はありませんが、寄生虫やカビによる病気が原因だとしたら、大切な金魚の命に関わります。
寄生虫やカビの抵抗力は大変強力なため、治療は根気よく続けなければなりません。
しかし、初期のうちに気付き適切に対処することができればきちんと治ります。
金魚を守るには、日頃の環境の管理と、様子をしっかり観察することがとても大事です。