可愛い金魚を、見ているだけじゃなくて、増やしてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。

最近は飼育器具やエサが良くなったので、誰でも挑戦できるようになりました。

そこで今回は、金魚の産卵時期と飼い主がすべきことをご紹介します。

金魚の産卵時期

自然の環境の中では、金魚の産卵は三月から六月です。

日本列島は南北に長いので、南か北へ桜前線が上がっていくように、産卵の時期が変動します。

西日本では、三月下旬から四月、東日本では四月中旬から五月。

その年の気候によって時期は前後します。

産卵時期の目安となる温度は○○度、とはっきり言うことができれば良いのですが、話はそんなに単純ではありません。

というのは、産卵は暖かさによって起こるのではなく、寒さと暖かさの温度の差によって誘発されるからです。

例えば暖冬で春の訪れが早くても、水温の変動が緩やかで急激な差が生じなければ、繁殖行動はなかなか起こりません。

逆に、厳しい寒さが続いても、一気に暖かくなれば産卵します。

実験では、水温を14度から20度へ急上昇させると、ほとんどの金魚が産卵します。

すぐに産卵するものもいれば、時間がかかるものもいますが、水温を上げた二日後までには産卵が確認できます。

エアコンの効いた室内で飼っている場合、こういう急激な水温の上昇が起きにくいので、繁殖は難しくなります。

確実に産卵させたかったら、ヒーターを入れて、人工的に温度差を作り出すことが必要です。

具体的に言うと、産卵させたい日が近づいたらサーモスタットを調節して、水温を3度あげると良いでしょう。

準備

水槽の中にオスとメスを入れたままにしておくと、産卵日の調整が難しくなるので、もうひとつ水槽を用意して、オスとメスを分けます。

オスとメスの区別ですが、オスは繁殖のシーズンになると、胸ビレやエラ蓋のふちに、白くて小さい突起が現れます。

これは追星(おいぼし)と呼ばれるもので、これによってメスの生殖孔付近を刺激し、産卵を誘発します。

ぱっと見、白点病と間違えてしまいそうですが、追星はもっとゴツゴツした感じです。

一方、メスはお腹に卵を持つようになるので、少し膨らんでいます。

オス、メスいずれも三歳から五歳くらいのものが適しています。

産卵

暖かい日を選び、産卵用の大きめのガラス水槽にオスとメスを放流します。

金魚はオスが多い方が受精しやすいので、一匹のメスに対してオスを二、三匹の割合で入れます。

ほとんどの場合、早朝に産卵するので、お昼頃に魚を入れて、翌日の午前中までに産卵を終わらせるようにします。

水温は20度前後。

産卵する場所になる金魚藻か、市販の人工魚巣を入れておきます。

オスはメスを追い回し、産卵場所に追い込もうとします。

しばらくすると、メスはそこで産卵し、そのすぐ後にオスが精子をかけます。

産卵を確認したら、親魚を取り出してください。

少しの卵に見えてもおびただしい数の稚魚が生まれてくるので、欲張らないことが大切です。

生み残した卵があっても、メスが食べてしまうので心配は要りません。

オスとメスは一緒にせず、一週間ぐらい休養させます。

水槽の中の卵は、六日前後で孵化します。

10度以下になると、卵のままで死んでしまうこともあるので、ヒーターは入れておいた方が良いでしょう。

濾過機やエアは入れる必要はありません

孵化

卵からかえったばかりの仔魚は、金魚藻や水槽のガラス面に張り付いたようになっていますが、心配は要りません。

栄養がたっぷり蓄えられている袋が体についているために、重くて泳げないのです。

一日、二日のうちに袋はなくなり、水面近くを泳ぐようになります。

泳ぎ始めたら、市販の稚魚用のエサを与えましょう。

ただし、この時期にたくさんエサを入れると、水質が悪化して全滅してしまいます。

一度にたくさん与えず、食べ具合を見ながら、数回に分けて少量ずつ与えましょう。

また、産卵に使った金魚藻や人工魚巣を取り出しましょう。

孵化後、5日から7日

孵化して五日から七日だったら、さし水をします。

水槽の水を三分の一ほどコップで汲みだして、汲み置いた水を同量入れます。

仔魚は、一、二週間すると、小さいながらも、尾ビレが開いて金魚らしくなってきます。

ただし、色は真っ黒です。

二週間したら、第一回目の水替えをしましょう。

汲み置きの水を用意して、三分の二ほどの水を入れ替えます。

ヒーターを入れて飼育している場合は、水温を合わせることを忘れないでください。

小さいうちは、濾過機の水流に巻き込まれてしまうので、止水状態で良いのですが、泳ぎっぷりがしっかりしてきたら、稚魚を吸い込む心配のないスポンジ式のフィルターを入れると良いですよ。

水替えの手間が省けて楽になります。

産卵しないときは

オスとメスを一緒にしても一週間以上産卵しないときは、オスかメスを入れ替えてみましょう。

オスとメスを入れたつもりでも、オスだけ、メスだけだったということもありえます。

また、水槽の水替えをすると、それに刺激されて産卵し始めることも。

エサを人工飼料からアカムシなどの生エサに変えてみると、産卵することもあります。

何をやってもだめなときは、暖かくなるのを待って、もう一度仕切り直してみると良いでしょう。

金魚を産卵させよう

稚魚を全滅させないようにするには、水質に気を配ることが大切です。

また、エサの与えすぎは絶対に避けましょう。

熱帯魚と違って、金魚は一度にたくさん生まれてしまいますから、複数の水槽に分けて飼育すると管理やすいですよ。

大きくなるまでしっかりお世話をしてあげてくださいね。