中国のフナをルーツに持つ金魚。

長い歴史の中で中国から日本へと渡来し、交配が進んだ結果、現在ではかなり多様な種類の金魚へと進化を遂げています。

今回はその中でも特に生命力が強いとされている種類の金魚をご紹介します。

和金

金魚の中でも最も生命力が強く、長生きするとされているのが和金です。

金魚の祖先にあたる中国原産のフナ、ジイに最も近い品種とされ、ジイと同様の細長い体形を現在に至るまで維持しています。

また水質の悪化などが原因の病気にも強いとされています。

これは多少汚れている水でも生きていけるジイの遺伝子が濃く出た結果であると考えられており、一般的に藻の発生している環境下でも問題なく生育しているケースが多々あります。

また過酷な環境下でも生き延びることが出来る生命力を買われ、縁日で金魚すくいの主流となる品種でもあります。

このため子どものころに金魚すくいで得た和金が10年ほどで大きく成長し、老魚になって白内障にかかったにもかかわらず生き続けているといったケースも少なくありません。

更に水中を泳ぐ際にも、長細い体形であることでシャープな泳ぎが出来るため、後世に人工的に作出された丸々とした体形の金魚よりもエサを得るうえで有利だと言えます。

コメット

和金と似た長細い形でありながら、実は琉金の変異種であるコメット。

琉金譲りの長く美しいヒレと尾を駆使して流れるように泳ぐ姿が特徴的です。

このコメットは、日本や中国で作出された品種ではありません。

アメリカのワシントン水産委員会の琉金が泳ぐ池の中で発見されたことから交配が進み固定化され、逆輸入される形で日本へやってきた金魚です。

緯度が高く冬には雪が降る厳しい北米大陸の気候環境下で自然交配が進んだ結果先祖がえりをした品種であるが故に、その生命力は細長い体形と共にフナに近くいます。

長細い体形と素早い泳ぎのおかげでらんちゅうなどにありがちな転覆病にかかる確率は低く、

水温が一気に上がる春先に多く発生する白点病やマツカサ病などの寄生虫系の病気にはなりにくい為、かなり生命力が強い品種であると言えるでしょう。

朱文金

朱文金は他の中国産のフナ・ジイをルーツとする他の金魚たちとは異なり、明治時代に日本産のフナとキャリコ出目金、更にはキャリコ和金の交雑が繰り返されたことによって出現した唯一の金魚です。

もちろんフナや和金譲りの生命力は強く、イカリ虫や白点病などの病気にも強いため、一般的に良い状態の流通量が多い品種であるともいえます。

またこの丈夫さゆえに長く飼育されている個体も多く、中には30cm程度まで大きく育っているケースが多々あります。

一方でキャリコ出目金の遺伝子による影響はフナ型にはあまり見られない長い尾やひれに見られると言え、大きな個体でも水中をスムーズに泳ぎ回ることが出来ます。

オランダ獅子頭

オランダ獅子頭は琉金の突然変異種として江戸時代寛政年間に中国からやって来た品種です。

頭についている肉瘤だけに着目してしまうと一見重くて何か特殊なケアが必要かと思われてしまいますが、身体全体を俯瞰してみてみるとわかる通り、祖先であるフナの遺伝子を残したやや長細い体形を持っています。

特に季節の変わり目の寄生虫が発生する季節にもあまり影響を受けません。

またどっしりとしているものの長めに伸びている胴体も獅子頭の特徴であり、琉金のように丸く膨れているわけではないため、罹患すると死に至る転覆病の心配もあまりありません。

このように少し丸みを帯びた体形を持ちながらも、丸形の金魚たちと比べると生命力は強いと言えます。

泳ぐ様子を観察するとコメットや朱文金と比べるとややスピードに欠ける部分もありますが、それでも強めの水流にも負けずにエサを得ることが出来る力強さがある品種であると言えます。

琉金

先述の4品種に加え、比較的生命力が強く丈夫な金魚として挙げられるのが琉金です。

琉金は和金が突然変異して出来た品種であり、寄生虫が原因となって引きおこる病気にはあまりかからない生命力の強い品種です。

丸い身体を持っているにも関わらず、長く伸びた腹ヒレと尻尾を上手に使ってスムーズに泳ぎ回ることが出来ます。

ただし琉金の場合は水中で他の長細い体形の金魚よりも丸くて体高のある身体を支えるのが難しいため、

ウイルスや水中での物理衝突によって浮袋の異常が発生したり、或いは水草やエサを食べさせすぎた場合に体内でうまく消化できない状態となると、転覆病の発生率が上がるとされているので注意が必要です。

生命力が強く長生きな金魚たち

以上、特に生命力が強いとされる金魚5品種を紹介してみました。

いずれの品種にも共通するのは、水と水槽機器を清潔に保つなどの基本を守れば容易に飼育できる生命力の強い品種であるということです。

たとえお祭り金魚でも、10年以上生きて飼い主になついてくれる個体の例も多くあります。

唐突に出会ってしまった金魚がいたら、是非大切にして下さいね。