金魚を飼育するときには定期的な水換えが必要です。

しかし、水道水をそのまま使うと含まれる塩素のために金魚が死んでしまうことがあります。

この塩素を除去する、いわゆるカルキ抜きの仕方をご紹介します。

くみ置きする

水道水に含まれるカルキは、ドイツ語でさらし粉のことを「クロールカルキ」と呼んでいたことが語源となっています。

さらし粉は塩素を含み、消毒や漂白で使われます。

プールの消毒で使われているのもこのさらし粉です。

また、さらし粉は塩素を含むことから、水道水の塩素もカルキと呼ばれるようになりました。

水道水のカルキ、つまり塩素はそれほど水と強く結びついているわけではないため、放っておくだけでだんだんと空気中へと逃げていきます。

そのため、水道水を密閉されていない容器にいれておくだけで塩素は抜けてしまいます。

時間は気温などの条件で変わりますが、屋外なら半日程度、屋内だと数日と言われています。

しかし、容器が密閉されていると塩素が逃げる場所がなくなってしまうので、時間をおいてもカルキはあまり抜けません。

早くカルキを抜くためには、屋外の風通しの良い場所でバケツやたらいなどに水道水を入れるのが良いでしょう。

昔からの定番塩素中和剤「ハイポ」

カルキ抜きにはくみ置きをするのが簡単ですが、水の量が多い時ではこの方法だと水を入れた大きな容器をずっと置いておかなければならないのでいささか面倒です。

水の量が少ない時でもすぐに水を替えたいときはあるでしょう。

そんな時には市販の塩素中和剤を使うのが便利です。

金魚のカルキ抜きには固形の「ハイポ」と呼ばれる中和剤が昔からの定番で、よくペットショップなどで販売されています。

これはチオ硫酸ナトリウムという物質で塩素を中和する働きがあります。

ハイポは安全で安価なので今でも人気がありますが、固形なので溶けるまで少し時間がかかります。

また、多く入れ過ぎると敏感なエビなどを一緒に飼育していると影響を受ける場合があります。

そのため、早く溶けて量が調整しやすい液体タイプの塩素中和剤もよく使われます。

新しい定番.液状タイプの塩素中和剤

今では液体の塩素中和剤がいろいろなメーカーから販売されています。

液体タイプの方が水に早く溶けるので、水槽が大きくて水の量が多いという場合や、水槽の数が多く頻繁に水換えを行うという時にはこちらの液体タイプの方が良いでしょう。

また、微妙な量の調整も簡単にできるので、金魚以外に水質に敏感なエビなどの甲殻類などを一緒に飼っている場合は液体タイプの方が安全です。

最近ではだんだんと熱帯魚などの水槽が大型化しており、またいろいろな種類の魚を飼う人が多くなっていることから、こちらの液体タイプを使う人がかなり多くなっています。

しかし、小さな水槽で金魚だけを飼育しているような状況なら、塩素中和剤は固体タイプでも液体タイプでもそれほど変わりありません。

麦飯石溶液

水質を改善することを目的とした製品の中にはカルキも抜いてくれるものがあります。

有名なものとして麦飯石溶液があります。

麦飯石溶液は麦飯石という多孔質で吸着能力の高い石を砕いて溶かした溶液で、水の中のさまざまな物質を吸着してくれるため、水の透明度が非常に高くなるということから人気があります。

麦飯石溶液は塩素も取り除いてくれるので、水換え時に使用する場合はカルキ抜きを別にする必要はありません。

麦飯石溶液を入れた直後は水槽内の水が白く濁りますが、数日で濁りが取れて前よりも透明度の高い水となります。

ただし、吸着性があるので魚が病気で薬浴しているときには薬を吸着してしまうため、使うべきではありません。

また、通常のカルキ抜きよりも高価ですので、カルキを抜く目的で使うというより、水質改善が主でそちらはおまけのようなものと思った方が良いでしょう。

湯冷ましや浄水器は使わないように

塩素は水道水を沸かしても抜くことができるということは聞いたことがあると思います。

しかし、金魚の水槽で使うような大量の水を、沸かして再び金魚の水槽と同じ温度に冷ますというのはかなりの手間です。

その上沸騰を数分続けなければ塩素は完全には抜けません。

さらに沸騰中に水の中の酸素が少なくなるので、その水で大量に水換えすると金魚が窒息する可能性があるという説もあります。

金魚の水換えに湯冷ましは使わない方が無難です。

浄水器にも塩素を除去する製品がありますが、こちらも金魚などの観賞魚のための水には使わないようにしましょう。

一つは塩素を除去すると言っても100パーセントの除去率とは限りません。

魚は敏感なので、わずかな塩素で影響を受けることがあります。

また浄水器には少ないながらも抗菌剤など他の薬品も使われていることがあります。

そのため、多くの浄水器には「観賞魚用の水には使わないでください」と注意書きがあります。

手軽だからといって浄水器の水を金魚などに使うのは止めておきましょう。

金魚の水槽の状態ごとにカルキ抜きの方法を変えよう

金魚を元気に飼うためには定期的にカルキを抜いた水で水槽の水を入れ替えるのが重要です。

カルキ抜きには小さな水槽なら固形の塩素中和剤のハイポで十分でしょう。

カルキ抜きする水の量が多い場合や他に水質に敏感な生き物を飼っているときには、液体タイプの塩素中和剤が便利です。

水質改善なども行いたいときは麦飯石溶液などの製品を使うと良いでしょう。