金魚の病気は数多ありますが、その中でも尾ぐされ病は決して珍しい病気ではありません。
金魚を飼い始めると、一度は経験する病気の一つではないでしょうか。
しかし、その認知度ゆえに、薬浴しておけば治ると簡単に対処されてしまいがちです。
原因を突き止め、改善しないことには病気を繰り返すばかりです。
ここでは金魚の尾ぐされ病の原因から治療法・予防法までをまとめました。
尾ぐされ病の原因・症状
尾ぐされ病を発症する多く原因は、水質悪化、水温の変化やストレスからの体調不良、そして、怪我や傷を負い弱くなっている部分から尾ぐされ病の原因菌であるカラムナリス菌に感染し、発症します。
主な症状は、くされ病と名が付いている通り、ヒレがボロボロと溶けたようになっていきます。
初期なら元気が無くなったりヒレの先端が白っぽくなり充血したりする程度ですが、症状が進行していくと鰭条(きじょう)と呼ばれるヒレの骨組の部分まで溶けていき、しまいには完全になくなってしまう事もあります。
尾ぐされ病は進行が早い病気で、昨晩までなんともないように見えていた金魚が一夜にしてボロボロの無残な状態になっていた、なんて話は少なくありません。
尾ぐされ病の原因菌・カラムナリス菌
尾ぐされ病はカラムナリス菌という病原菌が原因で発症します。
口ぐされ病、鰓ぐされ病も、このカラムナリス菌が原因で発症する病気です。
この菌は水槽内に常に存在している常在菌と言われていますので、病気が心配だからといって根絶することは出来ません。
水温25℃程度で最もよく活動し、塩にも耐性を持っています。
塩分濃度2%を超えると死滅できますが、高濃度の食塩浴は扱いが難しいので安易には行えません。
感染力が強く、水槽内の一匹が発症したら他の金魚も発症する可能性があります。
また、カラムナリス菌は好気性の細菌ですので酸素が豊富にある場所で活発になります。
そのため、ヒレの先端や鰓などの部分が良く感染するのです。
尾ぐされ病の治療法
初期の尾ぐされ病なら、半分程度の水替えや食塩浴、フィルターの洗浄を行う事で治療できることが多いです。
カラムナリス菌は0.5%の食塩水で良く活動するのですが、軽度の体調不良から発症したのなら、食塩浴で金魚の体力を回復させてあげた方が治りやすくなります。
水質を改善し、金魚の体力を回復させることで治療する方法です。
上記の方法では回復傾向が見られない、もっと進行しているという時には薬浴をするのが効果的です。
薬浴と食塩を併用することでさらに効果が上がることもありますが、薬の中には元から塩が入っているものや併用すると害が出る薬もありますので、よく注意書きを読んで行ってください。
さらに、水槽のリセットを行う事も有効です。
どうしても回復しない尾ぐされ病の最終手段として挙げられるのは、イソジン浴です。
これはいわば民間療法で、人のうがい薬のイソジンを溶かした水に金魚を入れてカラムナリス菌を殺菌する方法です。
しかし水量に対して入れるイソジンの量や薬浴時間がまちまちで、取り扱いが難しく、場合によっては逆に金魚を弱らせてしまう事もあります。
カラムナリス菌は水温25℃程度で良く活動するので、治療中はヒーターを入れないようにします。
もしヒーターを入れていて発症したのなら、金魚に負担がかからないよう徐々に水温を下げるようにしましょう。
また、感染力が強い菌ですので、一匹が発症したら他の金魚も発症する可能性を考えて、水替えやフィルターの洗浄、薬浴を行う事で尾ぐされ病の大発生を防ぐことができます。
尾ぐされ病の予防
尾ぐされ病の一番の予防法は定期的な水替えです。
尾ぐされ病は水質悪化からの体調不良による発症が多いので、これだけでもかなりの予防法になります。
水替えは週に一度、水温が低い冬場などでしたら最低でも二週間に一度、行うようにしてください。
また、ストレスのかからない環境を整える、怪我の原因になるアクセサリーは撤去する、相性が悪い個体同士は水槽を分けるなども予防法として挙げられます。
カラムナリス菌は好気性の病原菌ですので、過剰なエアーはしないことも予防に繋がるでしょう。
人間も体調不良になると病気にかかりやすくなるのと同じで、金魚も体調が悪くなれば病気にかかりやすくなります。
その代表的な病気の一つが尾ぐされ病だと考えてください。
金魚が健康であれば、尾ぐされ病にもかかり難くなります。
金魚の尾ぐされ病を予防しよう
こうしてみると尾ぐされ病は大変怖い病気のように思われますが、初期の段階で適切に治療出来ればそんなに怖い病気ではありません。
また、見た目はボロボロで悲惨な状態でも意外に金魚自身は元気で、回復までの時間はかかりますが治療は難しくないことも多いです。
どんな治療をしても効果があまり見られないというケースでは、カラムナリス菌による病気ではなく、他の細菌、寄生虫によるものの場合があります。
他の病気である可能性はないのか、金魚をよく観察してみましょう。