お腹が大きいメダカ

メダカは程よくお腹が膨らんでいる状態が健康体だと言われています。

しかし、異常にお腹が張っている時や、その状態が長期にわたって続く場合には体の異常を考えなくてはいけません。

メダカのお腹が大きくなってきた時、どのような原因や理由が考えられるのでしょうか。

メスの産卵前・過抱卵病

基本的に、メダカはオスよりもメスのほうがふっくらとした体つきをしています。

加えて、春から秋にかけては繁殖期になるため、お腹に卵を蓄えて産卵の準備をするのでさらに大きくなります。

オスとメスを同じ水槽や容器内で飼育していると、カップルを作って受精を行い、卵を体内に生み出すため、次第にお腹の大きさは元に戻ります。

しかし、相性の良いオスが近くにいない環境にいるメスは、卵を受精することができずに無精卵をずっと体内に持ち続けることになります。

この期間が長く続くと、「過抱卵病」という病気になり、体が卵で圧迫されて短期間で死んでしまう危険があります。

防ぐためには、できるだけオスがたくさんいる環境に移して、相性の良い相手と受精させる必要があります。

できない場合にはお腹が膨らんだままのメスを掬い上げて、柔らかい歯ブラシなどで肛門部分を摩って刺激することで、無精卵を排出させる方法もあります。

腹部に空気が溜まる・転覆病

メダカなどの魚は、腹部の辺りに「浮き袋」という空気を溜めておく袋を持っています。

そこに適度な空気を入れることで体を浮かせて、水の中を泳ぐことができます。

しかし、その浮き袋に異常が起こって空気が入り過ぎると、膨らみが大きくなってうまく泳げなくなり、ひっくり返ってしまいます。

この症状を、「転覆病」と呼びます。

転覆病の症状が起こる原因には、先天性と後天性のものが存在します。

後天性であれば外部の要因による症状が考えられるため、治療すると元に戻る可能性が高いです。

しかし、先天性のものは遺伝子の異常によって起こるため、ほとんど治る見込みがありません。

ひっくり返ってしまった場合は、他のメダカと隔離して安全を確保したうえで、塩水浴をすると症状が改善する場合があります。

少しずつ、水温を上げるのも効果的です。

松かさ病

お腹が膨らんでいるメダカを見つけた際、背中の鱗が逆立っている症状が出ていると、「松かさ病」の可能性が高いです。

松かさ病はメダカなどの淡水魚がエロモナス菌に感染して起こる病気です。

エロモナス菌は淡水の水中に常に存在している細菌の一つで、完全に駆除することができない存在です。

清潔で健康な体には害を及ぼしませんが、水槽の環境が悪くなったりメダカが体調を崩すと、感染して発症する場合があります。

他の個体に感染するため、松かさ病になったメダカは隔離してエサを絶ち、免疫力を下げた上で塩水浴や薬浴をして治療を行います。

メダカの松かさ病は、一度発症すると完治が難しく再発する危険が高いため、発症したメダカは健康なメダカとは別の環境で飼育するほうが安全です。

消化不良で便秘になる

寒い季節にメダカのお腹が膨らんでいる時は、便秘の可能性を考えます。

秋や冬になって水が冷たくなると、変温動物であるメダカは体温が下がり、体の動きが鈍くなります。

胃腸の働きも弱まるため、食べたエサがうまく消化されずに体内に残り、溜まってしまう場合があります。

便秘の状態を長く放っておくと、体内でガスが発生してうまく泳げなくなり、転覆病になる可能性もあります。

また、排泄物はアンモニアなどの毒素を発生させるため、体内で充満して死んでしまう危険もあります。

消化がうまくいっていない場合は、数日エサを絶って様子を見ます。

症状が軽ければ、少しずつ水温を上げることで、消化の働きが活発になって症状が改善します。

頑固な便秘の場合は、ココア浴と呼ばれる、純正ココアの中で沐浴させる方法を用いると、排泄がうまくいくことがあります。

食べ過ぎ・肥満

メダカは暖かい時期になると、体力をつけるためにたくさんエサを食べます。

エサをくれる相手にも懐き、近付くとエサをねだりに水面に集まってきます。

その姿が可愛いからと、ついついエサを与えすぎると、メダカは食べ過ぎて太っていきます。

メダカには脂肪を蓄える機能が少ないため、全体的に太っていくということはありません。

しかし、お腹には際限なくエサを詰め込もうとする個体もいるため、消化が追い付かずにお腹だけが大きくなっていきます。

他のペットなどと同様に、メダカも食べ過ぎは厳禁です。

暴食によって体の機能に異常を来たしたり、消化不良を起こす原因にもなり、長生きしません。

エサは少ないくらいの分量で与えることが望ましいです。

メダカのお腹が大きい時はじっくり観察して、症状を見定める

メダカのお腹が大きくなっている場合には、様々な原因が考えられます。

多くの人は産卵を想像して放置しがちですが、命にかかわる病気に掛かっている危険があるため、よく注意して見る必要があります。

少しでも異常を発見したら、メダカの行動や周囲の環境などを隅々まで観察することで、病気の症状やメダカの体調を正しく把握することができます。

早期に適切な治療を施せば、メダカの体調は改善して元気に長生きしてくれます。