珍獣ブームの昨今、つぶらな瞳に手のひらサイズのコンパクトボディ、くわえてモフモフの被毛、そんなペット要素満載であるモグラをペットにしたいと考える方も多いのでは?

しかし残念ながらペットにするのは難しいようです。

そこで今回はなぜモグラを飼うのは難しいのかをご紹介します。

環境を整えるのが難しい

ペットを飼う時、まずは安心出来る寝床(ハウス)を用意してあげなければいけませんよね。

しかしご存じの通り、モグラのハウスは土の中なので、家の中で飼うとなると、水槽などに土を入れて飼う形になります。

モグラは運動量が多いので土の中で十分動き回れるように、かなり大きめの水槽と大量の土を用意しなければいけません。

モグラは環境の変化に弱いため、温度管理も難しく、暑くても寒くてもすぐに弱ってしまいます。

そのため冷暖房の当たらない温度が常に一定の部屋に置いておく必要があります。

また、なるべく弱い光が一定にあたる環境にしておかないと、ストレスですぐに弱ってしまいます。

このように、モグラを飼うための環境作りはとても大変ですし、土の管理などもかなりこまめな配慮が必要になります。

研究室で飼育されているモグラは土でなく金網を丸めたものやパイプで飼育するそうですが、それもかなり大掛かりなものになり、飼育も土で飼う以上に難しく、素人にはかなり困難と言えます。

エサの確保が難しい

モグラはかなりの大食漢で、体重とほぼ同じ量のエサを食べる上、胃の中に12時間以上食べ物が無いと餓死をするという、とても燃費の悪い体をしています。

モグラは肉食動物であり、食べ物といえば地中にいるミミズや幼虫などですが、朝昼晩と一日3回エサを食べ、一日でミミズを少なくとも60匹は食べてしまうようです。

とあるモグラを飼育している動物園によるとミミズの代わりに合いびきミンチを与えていますが、それだけでは十分と言えず、新鮮で良質なたんぱく質を摂取させるには、やはり生きエサは必要不可欠という事で、合いびきミンチだけではなく、生きたミルワームも与えているとの事です。

このように、モグラを飼育するためには、毎日大量の生エサが必要です。

しかし個人でミミズなどの昆虫を毎日大量に確保するのはかなり難しく、ミミズを購入するにしても毎日となると、出費もかさみます。

ちなみに某釣り具屋で売られているミミズは40~45匹入りで400円でした。

これを毎日与え続けるとなると、やはりとても経済的に厳しいですね。

以上の事から、虫に抵抗のある人は勿論の事、抵抗のない人でもミミズや幼虫などを毎日大量に確保するアテ、または購入するだけの財力がなければモグラを飼うのは難しいと言えます。

ケアが難しい

動物園で飼育されているモグラは、野生のモグラと比べて動きが少ません。

そのため前足の爪がすぐに伸びてしまうらしく、定期的な爪切りが必要になります。

しかしモグラは案外と凶暴で、爪切りの際にそうとう暴れ、場合によっては噛まれてしまう事もあります。

モグラは人に懐く訳ではないので、毎回これを覚悟しなければなりません。

また、犬猫同様、病気になれば獣医に連れて行く必要がありますが、モグラのような珍しい動物は動物病院が診療を拒否する可能性もあります。

診てくれたとしても、専門外なので正しい処置をしてくれるのかは分かりません。

また、飲み薬が処方されたとして、素人がモグラに薬をきちんと飲ませる事が出来るのでしょうか。

モグラだけではなく、珍しい動物を飼う時は必ず先に診てくれる動物病院を探しておく必要があります。

以上の事から、モグラを定期的に爪切り出来る根性と診療してくれる動物病院が見つからなければ飼うのは難しいといえます。

許可を取るのが難しい

モグラはペットショップなどで売っているわけではないので、飼うためには捕まえるしかないのですが、2014年の鳥獣保護法の改正によりモグラも「鳥獣」に含まれ、無許可で捕まえると罪になります。

捕獲には各都道府県知事の許可が必要なのですが、その目的も農業や林業の被害を食い止めるためのやむを得ない捕獲、狩猟期間中の狩猟免許者による捕獲、学術研究目的の捕獲というものでない限り残念ながら許可は下りません。

許可なく捕まえると懲役1年または100万円以下の罰金というかなり厳しい裁きを受ける事になります。

また、密猟などにより違法に入手したモグラを飼育した場合も懲役6か月または50万円以下の罰金という罪になりますのでご注意下さい。

以上の事からペットとして飼うには知事の許可が下りそうにないので、飼うのは難しいと言えます。

モグラは飼わずに野生のモグラを見守ろう

モグラの寿命は5年と言われておりますが、人工飼育では一年も経たないうちに死んでしまう事がほとんどなんだとか。

5年という決して長くはない野生のモグラの寿命を更に縮めるような事はせず、なかなか姿は見せてくれなくとも、今日も頑張って土を掘ってミミズを探しているのだろうなと思いながら温かく見守ってあげて下さい。