皮膜を広げて忍者みたいに飛ぶ姿が愛くるしい、モモンガとムササビ。

モモンガはペットとしても密かに人気があります。

でも、どう違うかと聞かれると、はっきり分かる人は意外と少ないです。

よく似た二種類の動物には、名前以外に違いがあるのでしょうか。

ムササビはモモンガ族のうちの一種

ムササビもモモンガも、リス科に属する同じ仲間です。

リス科の種族の中に「モモンガ族」と呼ばれるカテゴリがあり、さらにその中で細かく分類された内の一つに、「ムササビ属」が存在します。

世界中に15種類ほど確認されています。

以前はムササビとモモンガは、はっきりと区別されておらず、全てひっくるめて「モミ」や「ムササビ」と通称されていました。

モミという呼び名がだんだん変化して、江戸時代頃に「モモンガ」と呼び分けがされるようになりました。

どちらも樹上で生活します。

夜行性で、暗闇の中で活発に行動する習性があります。

脇の下から足にかけて皮膜が発達しており、それを風呂敷みたいに広げて空中を滑空することができます。

樹上で食べられる植物を好み、果実や樹皮、若葉、花などを好んで食します。

外見の違い

モモンガとムササビ、見た目は非常に良く似ていますが、全体的にいくつもの相違があります。

・体のサイズ:モモンガの全長は、大人で約20センチほど。
対してムササビは40センチ以上になる固体もいて、2倍も大きさが違います。
体重になると、200グラムと2000グラムなど、10倍くらい差が出る場合もあります。

・目の大きさ:モモンガの目は、大きくてクリクリしています。
顔の大半を占めていて、目立ちます。
ムササビは目が小さめで、バランスの取れたすっきりした顔立ちが特徴です。

・尻尾の形:ムササビの尻尾は、細長い棒状の形をしています。
モモンガの尻尾は平べったく、靴べらみたいな形状です。

・鳴き声:ムササビは威嚇するような唸り声を上げます。
モモンガは小動物らしい、少し高めの鳴き声を発します。
そのため、ムササビは居所を発見しやすく、モモンガは難しいという違いもあります。

・頭の模様:ムササビの頭部の左右には、白い筋のような模様が入っています。
モモンガはないため、大きさで見分けられない時は頭を見ると良いでしょう。

身体能力の違い

モモンガもムササビも、木から木へと滑空して飛び渡る動物ですが、体の大きさの差があるためか、飛距離も大きく違ってきます。

モモンガは体重が軽いので飛ぶのに適していそうですが、皮膜の面積が小さいため、あまり長い距離を飛ぶことができません。

せいぜい20~30メートルの距離が限界です。

一方、ムササビの皮膜はとても大きく、手足だけでなく尻尾の側まで広がっています。

そのため、体重は重いけれど、かなり遠くの木まで飛んで行くことができます。

100メートル以上飛んだ記録も確認されています。

基本的に、空を飛ぶ生き物は歩く能力が低いと言われています。

モモンガやムササビも、地上での歩行や木に登る動きはあまり俊敏ではありません。

あえて比べてみると、モモンガの方が素早く動き回れます。

生息地や活動の違い

モモンガは世界中の森林地帯、平野や高地などに広く生息しています。

日本ではニホンモモンガ、エゾモモンガが確認されています。

ムササビは日本固有の種のため、海外に野生種はいません。

国内の高山(標高2000メートル以上)や山岳地帯で多く確認されています。

互いに棲み分けはできているようで、種族同士の縄張り争いなどはなく、互いに似た環境の場所で共存して生活しています。

ムササビは単独で行動することが多いですが、モモンガは冬などになると10匹くらいの群れを作って、互いに寄り添いながら寒い季節を乗り切ります。

ペットとしての扱われ方

かつてはタイリクモモンガ、アメリカモモンガがペット用として輸入されていましたが、現在では規制が厳しくなり、アメリカモモンガのみが流通しています。

値段は3万~6万程度で、流通量はあまり多くありません。

最近ではカンガルーやコアラの仲間である有袋動物・フクロモモンガの方が手頃な値段で販売されていますが、これはモモンガの仲間ではありませんので、飼育を検討する時は注意が必要です。

日本産のモモンガは個体の数が少ない野生動物のため、個人の捕獲や飼育は許可されていません。

同様に、ムササビも基本は鳥獣保護法によって定められているため、捕獲・飼育はできません。

モモンガとムササビは基本的に大きな違いはない

大きさや部分的な違いがある程度で、モモンガとムササビは原則的には同じ生態系や活動習慣を持つ仲間です。

ムササビの方が馴染みが少なく、見る機会があまりないので、少し貴重な扱いをされている場合もあります。

ですが、基本的には変わらないので、細かな違いをしっかりと認識しておきましょう。