犬や猫、小動物などをペットを家族の一員として大切に可愛がっている人が増えている中で、「ペットロス症候群」という言葉もよく耳にするようになってきました。
実際のところ、ほとんどの愛玩動物は人間よりも寿命が短いものです。
愛情を注いでいれば、それだけ喪失感も大きくなります。
それではこの「ペットロス」というのは具体的にどういった症状なのでしょうか。
亡くなった事を理解できない
悲しい事実を受け止められずに、いつも通りの時間にエサの準備をしたり、トイレの掃除をしたり、散歩の準備をしてしまう事があります。
そしてエサが減らなかったり、トイレがキレイなままのなのを確認したり、名前を呼んでも側に来てくれない事を知り、さらに悲嘆してしまいます。
また周りから亡くなった事を聞かされても「そんなはずはない」と怒ってしまうような事もあるのです。
この場合は例えば、きちんとお葬式をする、火葬にするなどの手段を経て、亡くなった事実を客観的に理解することが大切です。
最近はペットの葬儀社も増えているので、人間と同じようにきちんと対応してもらうことが出来ます。
何もする気がおきない
悲しみが大きすぎると、布団から起き上がることすら出来なくなります。
体がだるく重く感じてしまい、家事や仕事をすることも億劫になってしまいます。
ペットが愛用していた毛布やおもちゃ、これまで撮りためた写真や動画を見ながら座り込んで、他の事は何も手につかなくなってしまうようなケースもあるのです。
横になっている時間が増えて、心を閉ざしてしまうことも。
ショックが大きいうちはあまり無理をしなくても良いですが、症状が長期にわたる場合などは心療内科やカウンセリングへの受診も有効です。
カウンセラーに自分の胸の内を聞いてもらうことにより、気持ちが整理できたり、客観的に把握する事ができます。
またネット上には「ペットロス」の掲示板などもあるので、同じような経験をした方とやり取りすることで、悲しみを共有し乗り越えるという方法もあります。
体調の管理が出来なくなる
さらに症状が酷くなると、食事を作ることも食べることも面倒になってしまい、体重が短期間で激減することも。
逆に喪失のストレスから過食に走って、内臓を痛め、体調を崩してしまうこともあります。
また悲しみのせいで横になっても眠れない、すぐに目が覚めてしまうなどの不眠の症状に悩まされるケースもあります。
不眠やストレスが過多になると、めまいや立ちくらみなどの症状にもつながり、その結果日常生活そのものに支障が出て、仕事を休まざるを得ないケースなども出てきます。
この場合も病院に行って軽めの睡眠導入剤を処方してもらい、まずはしっかり眠ることが大事です。
眠ることが出来れば、少しずつ体力が回復し、自然と食欲が回復することが期待できます。
感情がコントロール出来なくなる
「ペットが亡くなった原因が自分にあるのではないか?」「もっと他にしてあげることがあったのではないか?」と自分を責め、感情的に不安定になることもあります。
悲しい気持ちをうまくコントロールすることが出来ず、ふとした瞬間に涙が止まらなくなったり、ちょっとした言葉に反応して感情的になったりすることもあるのです。
家族でペットを可愛がっていた場合は、一番一緒の時間を過ごしていた方のダメージが大きいケースが大半です。
例えば、ずっと一緒に家にいた専業主婦の母親や、エサや散歩などペットの世話をメインに行っていた家族の方などです。
「なんでこの悲しい気持ちを理解、共有してくれないの」と他の家族に当たったり、攻撃的になってしてしまうこともあります。
この場合は家族がきちんと話を聞いてあげて、「出来ることはちゃんとやった」と肯定して、認めてあげることが大事です。
一人暮らしでペットを可愛がっていた場合は、親身に話を聞いてくれる友人や彼を頼り、話を聞いてもらいましょう。
それでも症状が治まらない場合は、心療内科に受診し、軽めの精神安定剤などを処方してもらい様子を見るのもひとつの手段です。
ペットロスの症状を乗り越えよう
生活に欠かせない存在になってきている可愛いペット達。
自分よりも弱く、そして優しい存在だからこそ、人は愛情を注いで可愛がり慈しむのです。
そんな大事な存在を失った時に無理をしたり頑張ったりする必要はありません。
本当に辛い時は、周りの人々や医療機関を上手に頼って、無理せずに時間をかけて乗り越えていくのが大切です。