猫は狩猟をする動物ですから、爪は大切な道具。
でも人間にとっては、恐ろしい凶器になってしまうことがあります。
ひっかかれたときは、猫を憎まず、傷の治療に取り組みましょう。
そこで、早く治すための方法をご紹介します。
傷口をよく洗う
水道水で傷口を洗浄します。
病院では生理食塩水で洗いますが、家庭なら水道で問題ありません。
ただ傷にしみるからといって、チョロチョロかけるぐらいでは、細菌の数を減らしたり、皮膚についた異物を取り除いたりすることはできません。
水圧を上げて、傷口を洗い流してください。
よく消毒する
傷口を乾燥させて、かさぶたにするのではなく、傷口を湿らせたまま、かさぶたを作らないようにして治しましょう。
これをモイストヒーリングという治療法で、たしかにこの方が早く治って、傷跡が目立ちません。
モイストヒーリングにおいては、消毒はご法度です。
消毒液が傷を治そうと働く細胞まで破壊してしまうので、消毒しない方が良いというのです。
しかし、これは一般的な擦過傷の場合です。
動物がからんだ傷では、よく消毒することが、一番重要な処置になります。
猫の爪には細菌がたくさんいて、これらが傷の中に入ると、感染してひどい炎症を起こす危険があるからです。
掃除の行き届いた部屋の中で飼っている猫でも例外ではありません。
アルコールやオキシドールで傷を消毒して、感染の危険をなくしてから、モイストヒーリングをすることはできます。
その場合は消毒をしたあと、水道水で消毒液を洗い流してください。
消毒液がない場合は、せっけんでも効果が期待できます。
出血がある場合はすぐに止血せず、少し流れるままにしておく
従来は出血したら、すぐ止血と言われていましたが、最近は違います。
流れ出してくる血には、菌を殺す成分があるので、止めてしまうのは良くないと言われています。
忍耐が必要ですが、少し時間をおいてから止血します。
清潔なガーゼを傷口に当てて、上から押さえれば、血は止まります。
傷口が乾燥する前に、その上からモイストヒーリング用の絆創膏を貼ってください。
絆創膏は三、四日貼ったままにします。
傷の治りを悪くするものを減らす
傷に力が加わると治りが遅くなるので、触らないことが大切です。
それから乾燥させないことも大事になります。
体の調子が悪くなると治癒力が落ちるので、規則正しい健康的な生活を心がけます。
そして一番大事なことは、感染を防ぐことです。
ひっかき傷でも化膿してしまうことはよくあります。
傷の周りが赤くなって腫れてきたら、病院で診てもらった方が良いでしょう。
何科の病院で診てもらえば良いのか迷うかもしれませんが、動物病院ではありません。
ひっかき傷が深い場合は外科、それほど深くないときは、整形外科、形成外科、皮膚科になります。
病院では、傷の処置と感染に対する処置をしてもらうことになります。
猫はバルトネラ・ヘンセラ菌という細菌を持っていて、これが傷口から入ると、リンパ節の炎症を起こして、患部が腫れてきます。
発熱や吐き気、頭痛が伴うこともあります。
これは「猫ひっかき症」と呼ばれる病気です。
感染しても症状が軽ければ、自然治癒で治ってしまうこともありますが、体が弱っているときや、免疫力のない小さな子ども、お年寄りの場合は、病院に行った方が良いでしょう。
治療は抗生剤で行います。
後でトラブルになりたくないときは、最初から病院へ
モイストヒーリングによる傷の治療は、従来のものに比べて、早くキレイになります。
ただし、感染の兆候があるときや、ひっかき傷が深いときは、それが適さないこともあります。
その判断は素人には難しいので、形成外科や外科にかかって、傷を見てもらいましょう。
また、どの程度の消毒が必要なのか、どんな消毒剤を使うのかというのも、医者の判断に従うのが正解です。
病院に行こうかどうかで悩んだときは、迷わず行ってください。
絆創膏を取った後は日焼け対策
傷が治った後に、そこがミミズ腫れのようになることがあります。
これは傷口をくっつける接着剤のような役割をする組織が次第に盛り上がってくるからです。
時間が経てば体の中に吸収されて平らになりますが、完全に無くなることはありません。
傷跡が残るのは仕方がないのです。
それでも10年ぐらいしたら、目立たなくはなりますよ。
できるだけ早くキレイにしたいのなら、1年ぐらいは日焼け止めクリームを塗っておきましょう。
新しくできた皮膚は色素沈着しやすいからです。
外傷の治療は、外側の皮膚がつながったところで完了するわけではありません。
そこから傷跡が目立たなくなるように適切にケアしていくことが必要になってきます。
ひっかき傷を早く治そう
猫のひっかき傷はなかなかやっかいです。
それでも適切な治療法で対処すれば、早く治すことはできます。
傷跡がどうしても気になる人は、整形外科で相談してくださいね。
なにはともあれ、顔だけはひっかかれないようにすることです。