猫とどういう方法でコミュニケーションを取るかは、初めが肝心です。
要望によって色々な声色を使い分けて鳴いたり、トントンと触ってきて意思を伝える猫がいる一方で、引っ掻いたり、噛み付いたりして困るという問題行動で悩んでいる飼い主さんも多いです。
猫が噛みつく理由を知ることができれば、対処も出来ますし、これから猫とのコミュニケーションの方法を変えることができるかもしれません。
実際にはどういう心理や理由で、猫が飼い主を噛むのでしょうか。
間違った欲求の伝え方を覚えたため
ご飯が欲しい、遊んで欲しい、起きて欲しい…など、猫が欲求を満たすために、人とのコミュニケーションを取る方法を間違って記憶したせいで、猫が噛み付いてくることを繰り返して困っているという話はよくあります。
大抵の場合は、猫が人に欲求を伝えようとした最初の時にどうしたら伝わるのか分からず、飼い主も分かってくれなくて、イライラして噛みついてみたら飼い主が「痛い」など反応したこと。
その後に自分の欲求を満たしてくれたことで、噛み付けばして欲しいことをしてくれるのだと覚えてしまったケースです。
また、基本的に噛まれると痛いということが分からない場合の猫は、必ずではありませんが一匹で飼われているケースが多いです。
多頭飼いだと、猫同士でコミュニケーションの方法を学習しますので、噛まれると痛い、あるいは、どの程度の力で噛めば相手は痛くないのかということを経験から学んで理解しています。
しかし、一匹で飼われている猫はそれを学習する機会がないまま育っているため、力加減も分からないという場合が多いのです。
怒りを伝えるため
ワクチン接種等、最低年に一回は動物病院に連れていくためにキャリーケースに入れるために、捕まえようと追いかけまわし、捕まえられたところで噛みつかれた、という事例があります。
また、動物病院に着いて、今度はキャリーケースから出すのも一苦労でしょう。
ここでまた噛みつかれたとのこと。
それは猫が嫌なことをされたことに怒っているからです。
他にも爪を切ろうとしている時やお風呂に入れようとしている時、薬を飲ませようとしている時など、想定される猫が嫌がる行動を人がせざるを得ない際に噛みつかれる可能性があります。
爪切りがどうしても難しい場合は動物病院でお願いすればやってもらえますし、噛まれずに爪切りが出来るようにするため、洗濯ネットなどに入れて爪を切る方法もあります。
猫がキャリーケースに入るのを嫌がるのは震災や火災などの非常時のためにも、是非ともクリアしておきたい問題です。
そのためには、日頃から猫をキャリーケースに慣らしておくことが必要です。
部屋のどこか、猫の視界に入るところに常にキャリーケースを開けたまま置いて、中に入っても、そこで寝ていても問題ないと猫に安心させることが必要です。
慣れてくれれば、「キャリーケース=嫌な場所に行く」という猫の恐怖心が消えるので、比較的スムーズに入ってくれるようになるでしょう。
痛みを伝えるため
猫は具合が悪い時、身体のどこかが痛い場合は必ずしもぐったりしているとは限らず、知らずに痛い場所などを触った時に強く噛みつかれることがあります。
猫としては、痛いから触らないで。と言っているのですが、だからと言って放っておくわけにはいきません。
このような場合は、なんとか病院に連れて行かなくてはならないため、出来るだけ痛がる部分には触らないようにして、タオルやタオルケットなどで、そっと包んで病院に連れて行くようにしましょう。
痛い、苦しいなどと言葉で言えない猫は、噛みつくしか伝える方法がないので、この場合は仕方がないと思いますが、普段飼い主を噛まない猫でも、この時ばかりは噛みつきますから、充分注意が必要です。
猫が噛むときは、何かを伝えようとしている
いずれの場合も、猫が噛みつく理由は上手くコミュニケーションがとれないことが原因です。
もしも、問題があるならば日頃の猫との関係から改善方法を見出すしかありません。
上手にコミュニケーションがとれるようになれば、猫は人を噛む必要がなくなるので、噛みつかれるという機会は減っていくでしょう。
また、噛まれた場合の注意点は、たとえ完全室内飼であっても、噛まれた場所が腫れてきたら、すぐに病院に行って破傷風のワクチンを接種することをオススメします。
噛まれることでお悩みでしたら、猫との関係を再構築する絶好の機会ですので、観察してみてください。
噛みつく前に、耳、目、ひげ、しっぽ、声の何かでコミュニケーションを取ろうとしてくれているかもしれません。