猫草を与えたら、しばらくして猫が吐き始めてビックリした経験はありませんか。

猫草を与えるのをやめた方が良いのかな…と不安になった事がある飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。

ここでは、どうして猫草を食べると猫は吐くのか、猫草の働きとその役割をご紹介します。

猫草を食べるのは毛を体から出すため

まず、猫が猫草を食べるのは栄養補給が目的ではありません。

グルーミングによって口から体内に入り、胃に溜ってしまった毛を猫草の食物繊維で絡めとり、体外へ排出しやすいようにするために食べています。

体内の毛は消化酵素では消化されないため、吐き出すかもしくは便として体外へ排出する必要があります。

猫草は猫が胃の中の毛を便と共に排出したり、毛玉にして上手に吐くための手助けをしてくれているのです。

猫草を食べると吐くというよりは、吐くために猫草を食べていると考えた方が正しいと言えるかもしれません。

猫にとって吐くという行為は、人と違い生理現象の一つです。

猫草を食べて吐いても中毒や病気ではないので、過剰に心配する必要はないのです。

胃に刺激を与え吐きやすく

猫草は、胃に刺激を与えより吐きやすくするという役割を持っています。

一般に猫草と言われている草は、多くはイネ科のエン麦という植物です。

先の尖ったイネ科の葉は、胃に刺激を与えるのにちょうど良い形状と言えます。

他にも猫草の尖った葉による胃の刺激には、消化器官の働きをより活発にする効果もあります。

本来肉食の猫には、草植物は必要ないように思いがちですが、栄養補給以外に体の健康を保つために重要な役割を果たしています。

同じネコ科の動物であるライオンや虎にも、植物を食べて吐くという行為は見られます。

猫が好んで猫草を食べるのは、本能的に植物のこの効果を知っているからかもしれません。

食物繊維でより楽に吐ける

猫草には胃に刺激を与えて吐きやすくする他に、食物繊維によって胃の中の毛や要らないものを絡めとって、体外へ排出しやすいように毛玉にまとめる働きもあります。

体内の毛は毛玉にまとめられたおかげで、一度でスッキリと吐けるようになります。

人が便秘やダイエットのために食物繊維を摂取するのと同じように、猫草は猫の消化器官をキレイに保ってくれるのです。

猫にとっての便秘は、人間とは比べ物にならないほどの大問題です。

消化器官をキレイに保つためにも、毛を体外へ排出する行為はとても大切です。

吐くのは毛球症予防のため

では、逆に毛玉を吐かない場合はどうでしょう。

便と一緒に毛が排出されていれば問題はありませんが、もし毛が上手く排出されていないと体内に毛が溜まりすぎる事になり、毛球症という病気の原因になります。

毛球症とは、毛が体内に溜り過ぎ、腸内に毛玉が形成されてしまう症状です。

食欲不振や便秘等の原因になり、悪化すると腸閉塞となる場合もあります。

毛球症になってしまうと軽度であれば毛球除去剤、非常に稀ではありますが、酷い時には開腹手術が必要になってしまいます。

猫にとって毛玉を吐く事は、健康を保つ大事な行為の一つと言えるのです。

もし猫が毛玉を吐かず、お腹の辺りを触ると嫌がるようでしたら、上手く毛が排出できていないのかもしれません。

猫草は毛球症予防に大切な役割を担っています。

猫草は本当に必要?

もし猫が猫草を食べなくても無理に与える必要はありません。

毛を体外に排出さえ出来ていれば、猫草は必ず与えなければいけないものではありません。

野良猫のように外に住む猫達は、雑草を食べる事で猫草と同じ効果を得ています。

猫草は室内飼いの猫が、身近に無い雑草の代わりに手軽に食物繊維を得るためのものです。

もし猫草を食べなくても、野菜を好んで食べていたり、毛玉除去用サプリメントや毛玉除去作用のあるキャットフードを与えていれば、猫草と同じ効果が得られています。

食物繊維が摂れているようなら、猫草は絶対にあげる必要があるものというわけではないのです。

だからといって、猫草の代わりに庭等の適当な植物を与えるような事は絶対にしてはいけません。

人間には無害な植物でも、猫には有毒なものは多くあります。

無闇に適当な植物を与える行為は、場合によっては本当に中毒の原因となってしまう恐れがあります。

腸内の毛を出すために猫草を食べて吐く猫

猫が猫草を食べると吐くのは、吐くために猫草を食べているからです。

元々ネコは吐きのスペシャリスト。

吐いた後にケロッとしているようなら何の問題も無いので心配要りません。

もしどうしても吐く姿が辛そう、吐かれると困るという場合は、猫草を止め毛玉除去作用のあるキャットフードを与えるか、こまめにブラッシングをかけてあげて体内に入る毛を減らしてあげてください。

吐く量はずっと少なくなります。