一般的に家の中で飼われている猫の寿命は約10年、長く生きる猫だと15年とも言われますが、野良猫の場合には3~4年ほどと半分以下であると言われています。
なぜ飼い猫と野良猫ではこんなにも寿命が違うのでしょうか。
環境の違い
やはり、一番の理由としては環境の違いが挙げられます。
野良猫は外で生活していますから、衛生面が非常に悪いです。
ちょっとした擦り傷から感染症にかかってしまったり、食事が不衛生で具合を悪くしてしまったり、そしてそんな病気にかかっても病院に連れて行ってくれる人はいません。
動物愛護団体などが感染症予防の注射を打ったり病院に連れて行ったりすることもありますが、野良猫は警戒心が強く数も多いので見つけてもらえない猫の方が多いです。
また、寒さにも大変弱い生き物なので、冬には暖かい寝床を確保することができずに命を落とすこともあります。
常に危険がある
野良猫は外で生活をしています。
交通機関が発達している昨今では、交通事故に合う可能性がとても高いです。
また、寒さから逃れるために車のエンジン部分など暖かい場所を求めた結果、危険な場所に自ら潜り込んでしまうこともあります。
さらには、心無い人間から虐待をされて命を落としてしまうケースもあります。
野良猫と言えども、面白半分で命を無下に扱うことは許されることではありません。
野良猫は常に危険と隣り合わせで生きているのです。
食事の不足
野良猫は、飼い猫のようにいつでも栄養満点の食事を確保できるわけではありません。
食べたものが猫にとって毒になるものであったり、衛生状態が悪かったり、全く食事にありつけない日もあるでしょう。
時々、野良猫に食事を与える人がいますが、それもあまり良い環境とは言えません。
中途半端に与えてしまうと、自分で食事を確保する能力が衰えてしまい、食事を与えられなくなったときに自分で生きていくことができなくなります。
そして、食事を与えることにより野良猫の数が増えてしまうと、迷惑に思う人も出てきて保健所に連絡してしまったり退治をしようとしたりする人が出てくると思います。
可哀そうだからと安易に野良猫をエサ付けするのは、逆に猫にとって良くない結果になるかもしれません。
子育ての放棄
もし野良の子猫を見つけた場合には、引き取って育てる気がないのであれば触らないように気を付けましょう。
子猫の体に触ってしまうと、子猫に人のニオイがついてしまいます。
そうすると、ニオイが違ってしまうので母親猫は子猫を育てなくなってしまう可能性があります。
猫は愛情深い生き物なので、母親猫とはぐれてしまっていただけだとしても、探しにくることがあるので、保護する場合でも母親猫が近くにいないかどうか一度様子を見ると良いでしょう。
子猫は免疫力がなく弱いので、野良猫の場合には2匹に1匹ほどしか大人になることが出来ません。
野良猫の寿命は3~4年と冒頭で述べましたが、それは成猫の場合で子猫となると1年も生きられないこともあります。
ストレス
野良猫は、飼い猫と比べて縛られることなく自由に生きているように見え、飼い猫よりもストレスがないように思えますが、果たして本当にそうでしょうか。
過酷な生活環境に耐え、常に他の野良猫との縄張り争いの中にいて、近づいてくる人間にも警戒心をもっていなければなりません。
飼い猫は快適な生活環境にいて縄張り争いもなく、安心のできる限られた人間の傍で暮らすというストレスが少ない状況で過ごすことで、寿命が延びたと言われています。
正反対の環境にいて常に気の休まらない野良猫のストレスは相当なものでしょう。
そんなストレスも寿命を縮める要因の一つとなっています。
医療の進歩
これは医療の進歩によって飼い猫の寿命が延びたことで、野良猫の寿命との差が大きくなり、野良猫の寿命は短いと言われる理由になるという見方です。
医療がまだあまり発展していない時代では、飼い猫だったとしても治療が出来ずに短い寿命で終わってしまうことや、予防接種がない時代では飼い猫も野良猫も関係なく感染症は恐怖であったと思います。
医療の発展と共に人間の寿命が延びてきているのと同じように、猫の寿命もまた医療の力によって延びているのでしょう。
野良猫は厳しい環境で生きているから寿命が短い
このように、飼い猫と野良猫では色々な面で雲泥の差があるのです。
とはいえ、野良猫も好きで野良猫になったわけではありません。
もしも猫を新しい家族として迎え入れようと考えている人がいるならば、最後まで面倒をみてあげましょう。