いつも手元に置きたいかわいいペットですが、ペットから人間に病気がうつることもあるので要注意です。

「人獣共通感染症」(ズーノーシス)と言われる病気があり、ウィルス、細菌、寄生虫など原因は様々です。

特にペット(犬や猫中心)から感染しやすいものについてご紹介します。

狂犬病

狂犬病ウィルスによる病気です。

日本では犬の狂犬病ワクチン接種が普及しているのでめったに起こることはありませんが、海外ではまだあります。

感染すると死亡率はほぼ100%の恐ろしい病気です。

発熱、精神錯乱、水を恐れる症状などを起こして死に至ります。

犬や猫に嚙まれたりひっかかれたりするほか、コウモリなど他の哺乳類との接触で起こることもあります。

パスツレラ症

ほとんどの犬や猫の口内に潜んでいる細菌によっておこる病気です。

ペットは感染していても無症状のことが多いですが、時々肺炎や皮膚の化膿を起こすことがあります。

飼い主が感染すると肺炎その他呼吸器の症状や皮膚炎を起こします。

ペットに噛まれたりひっかかれて感染することが特に多く、どのペットも感染源になりうるので注意が必要です。

猫ひっかき病

猫だけでなく犬にひっかかれたり噛みつかれたりしても感染します。

猫の1割くらいがこの病原菌を持っていると言われていますが、動物はほとんどの場合無症状です。

人間の場合、ひっかかれた傷が赤く腫れ、次に近くのリンパ節が腫れて痛んで、発熱、倦怠感などの症状が2-3週間続きます。

重症化すると脳症を起こすこともあります。

猫ノミから感染することもあるので、ノミの駆除をすることが予防になります。

サルモネラ症

サルモネラ菌による病気で、猫や犬、その他のペット(爬虫類やうさぎなど)の排泄物から感染します。

激しい下痢、腹痛、嘔吐などの症状が起きます。

ペットと接触した後の手洗いで防ぐことができます。

ペットの排泄物の始末には手袋を使用して、手洗いも特に厳重に行う必要があります。

トキソプラズマ症

トキソプラズマ原虫が引き起こす病気で、特に猫の排泄物からうつります。

トキソプラズマ原虫は猫以外の哺乳類にも感染しますが、猫の体内でだけ増殖します。

感染しても猫は無症状ですが、人間にうつると、発熱、リンパ節の腫れ、倦怠感などの症状が現れて、重症化すると神経障害が現れることもあります。

特に気を付けたいのは妊娠中の感染です。

流産や先天性異常など、胎児に影響を及ぼすこともありますので、妊娠中の方は猫の糞には触れないようにしましょう。

できればペットと過度の接触は避けるように気を付けましょう。

回虫症

回虫は体内に入ると移動して様々な症状を起こす寄生虫です。

猫や犬の糞から感染します。

感染するとペットは下痢、腹痛、嘔吐、発育不良などを起こし、大量に寄生した場合は腹部が膨張します。

人間に寄生すると、移動した体内の場所によって症状は様々ですが、特に危険なのは肺、脳、目に入った場合です。

呼吸障害、てんかん、視力低下などを招くこともあり、厳重な注意が必要です。

感染しないためにはいつも手洗いを心がけるように気を付ける必要があります。

疥癬症

ペットのダニによっておこる皮膚の病気です。

感染すると、患部にふけ、皮膚の肥厚、脱毛が現れます。

ペットはしばしば強いかゆみによって、患部を引っ搔いて皮膚を傷つけます。

それによってさらに感染を広げたり、傷ついた皮膚が化膿したり、別の病気に感染することもあります。

動物のダニは人間に感染しても長く生きられないと言われますが、それでも人間に症状が起きることがあります。

人間は感染部分が赤くなったりしてアレルギーと似た症状が現れます。

特に猫の耳付近がダニ疥癬に感染しやすいのでチェックしましょう。

ペットから飼い主に病気が感染するのをどうやって防ぐか

これらの病気を防ぐためには以下のようなことが大切です。

•ペットと接触したら必ず石鹸で手洗いをする
•子供がペットと触れ合っているときに手指をなめないように気を付ける
•糞の始末をするときには手袋、マスクを着用して、必ずあとで石鹸で手を洗う
•ペットのトイレは家のキッチンから遠い場所にする
•ペットと人間の食器をいっしょに洗わない
•ペットとキスをしたり口移しで食べ物を与えない
•犬や猫の爪は切っておく
•ペットの寝床はきちんと掃除して日光に当てて乾燥させる
•妊娠中の人はペットの排泄物の始末はできるだけ他の人に任せる

特に大事なポイントは、ペットの排泄物の始末に気を付けて手洗いをきちんとする、そしてペットとの過剰なスキンシップは避ける、という点です。

ペットから飼い主に感染しやすい病気を知ろう

以上のような病気のほかにもペットからうつる可能性がある病気はたくさんあります。

またこれらの病気の多くは、ペットは感染していても無症状のものが多いため、ペットの様子から見極めることは困難です。

ペットが健康そうでも、周りの人間に何か疑わしい症状が出たら受診して、医師にペットのことを話して適切な手当てを受けましょう。