「パイプフィッシュ」とは「ヨウジウオ」などの魚全般をさす言葉で、水族館の人気者である「タツノオトシゴ」もまた「パイプフィッシュ」の仲間です。

こう聞くと「パイプフィッシュ」は非常に飼育難易度が高い魚のように思われます。

これから「パイプフィッシュ」の飼育をしたいと思っている方のために、パイプフィッシュの特徴をご紹介します。

パイプフィッシュとはどんな魚か

パイプフィッシュとは、上記したように「ヨウジウオ」全般を指す言葉です。

パイプのように細長い身体つきをしていることからそう呼ばれるようになったと言います。

ヨウジウオとはトゲウオ目ヨウジウオ科に属する魚で、あまり知られてはいませんが「タツノオトシゴ」の仲間です。

パイプフィッシュは主に温暖な海水域に生息する魚で、アマモ等の海藻が生い茂る場所を好んで住処とします。

体長は最大で30㎝前後にもなり、主にプランクトンや小型の甲殻類を捕食します。

ほとんどのパイプフィッシュは海水域に住んでいますが、種類によっては汽水域に住むもの、完全な淡水に住む種類のものも存在します。

特に淡水性のパイプフィッシュはペットとしても人気が高く、熱帯魚ショップで取り扱われていることもあります。

パイプフィッシュの性格と生態

パイプフィッシュは「ヨウジウオ」の名の通り、非常に細長い身体つきをしていて、尾の部分が扇形になっているのが特徴です。

基本的に温暖な水域を好み、またその身体つき故に泳ぎが得意ではないので、海藻の生い茂る場所に住んで、海流から身を守ります。

その細長い身体つきは狭い隙間に入り込むのに適しており、また海藻に擬態する能力の高さにも一役買っています。

基本的に活発に泳ぎ回ることを好まず、海底でじっとしていることが多い魚です。

食性は主に肉食性・甲殻類食性で、長く突き出た口でプランクトンや甲殻類を吸い込んで捕食します。

パイプフィッシュは体のほとんどが骨だけで、肉の部分がほとんどないため、所謂「食い溜め」ができず、エサを捕食する行動が多く見られます。

パイプフィッシュは肉食性の魚ですが、性格は基本的に大人しく、穏やかな個体が多いと言います。

あまり活発に動き回るわけでもないので、他の魚を害する行動を取ることはほとんどないでしょう。

パイプフィッシュ独自の特徴

パイプフィッシュは「タツノオトシゴ」の仲間ですので、類似した特徴を多く持っています。

特に顔立ちや食性はタツノオトシゴと酷似しており、顔だけ見ればタツノオトシゴそのものと言っても良いくらいです。

またパイプフィッシュは他の魚には見られない繁殖方法が有名で、雌ではなく雄が出産するという変わった繁殖方法を取ります。

勿論雄が産卵するわけではなく、繁殖期になると雌は雄のお腹にある「育児嚢」という袋に産卵し、その卵を雄が孵化させるのです。

このような繁殖行動を取る魚は世界中でパイプフィッシュとタツノオトシゴだけだと言われています。

何故このような繁殖行動を取るのかというと、雄が育児をすることで、雌が再び産卵できるようにエネルギーを温存させるためだと言います。

一見すると奥さん思いの旦那さんのように思われます。

しかしその反面、あまり魅力的ではない雌の卵を産み付けられてしまった場合は、雄自ら「中絶」をして育児嚢を保持する場合があるそうです。

パイプフィッシュの価格と寿命

パイプフィッシュは大きく分けて海水性の種と淡水性の種があります。

多くのパイプフィッシュは海水性ですので、出回っているパイプフィッシュもそれに比例して海水性のものがほとんどです。

海水性のパイプフィッシュであれば、種類にもよりますがメジャーな種類のものであれば価格は1000円~2000円位のものがほとんどです。

対して淡水性のパイプフィッシュは流通量も少ない上に個体数も海水性に比べて少ないため、高価な傾向にあります。

パイプフィッシュは種類が多く、それによって値段は大きく上下しますが、純淡水性のパイプフィッシュは大体5000円位を目安に考えれば良いでしょう。

パイプフィッシュの寿命については不明な点が多いですが、飼育下であれば2~3年程が多いようです。

しかし飼育環境が良ければ5年前後生きるものや、長ければ10年近く生きる個体もいます。

なるべくその種類のパイプフィッシュに合った環境を整えてあげるようにしましょう。

パイプフィッシュの飼育について

パイプフィッシュは種類や入手経路によって飼育難易度が大きく異なります。

基本的に海水性のパイプフィッシュは生エサしか食べません。

そのためエサの確保が飼育においては最重要課題となります。

特に野生で採集されたパイプフィッシュはその傾向が強く、エサを食べずに死亡した、なんて話はよく聞きます。

海水性のパイプフィッシュに比べて淡水性のパイプフィッシュの方が飼育はし易いようです。

淡水性の場合は、ベランダなどでミジンコを湧かす等してエサを供給することが可能ですので、飼育のハードルは低くなります。

生エサの入手が難しい場合は、ブリード個体(養殖もの)を購入することをオススメします。

養殖された個体は人工エサでも食べるので、飼育は非常に楽になります。

パイプフィッシュはエサの問題さえどうにかできれば、丈夫な種類の魚ですので、あまり経験のない方でも飼育は可能になるでしょう。

パイプフィッシュのことを知ろう

パイプフィッシュはそのユニークな姿から水族館やペットとしても愛される魚です。

しかし飼育が難しそうだ、と嫌煙されてしまい、あまり飼育している人が少ないのもまた事実です。

一見するとハードルの高いパイプフィッシュですが、エサの問題さえクリアできればそれほど飼育は難しくありません。

一度飼育を検討してみてはいかがでしょうか。