魚を飼うのが趣味、という人なら、「フラワーホーン」という観賞魚の存在をご存知のはず。
調べれば調べるほど、その不思議さと面白さの虜になるフラワーホーンについてまとめてみました。
自然界には存在しない魚「フラワーホーン」
頭にある大きなコブと、赤いグラデーションを帯びた身体。
そして、体に広がる黒い斑点。
一度見たら忘れることができないほどのインパクトを持つこのフラワーホーンは、実は自然界には存在しません。
フラワーホーンは、「フラミンゴシクリッド」「トリマクラートゥス」という魚を人工的に交配させて生まれた品種で、2001年から日本に輸入されはじめました。
まだ新しい品種であること、見た目のカラーが非常に美しいことなどから、現在はアロワナと同じくらいの人気があるそうで、観賞魚としてはかなりの支持を集めています。
わりと飼いやすい魚であることも人気の一因に
フラワーホーンが人気の理由に、「飼育が非常に簡単である」というものがあります。
水の質にこだわらない魚なので、日本であればカルキを抜いた水道水をそのまま使っても大丈夫。
自宅にカルキ抜きの装置を取り付けている家庭なら、そのお水があれば十分に飼育が可能です。
もちろん、phの調整も必要ありませんので、「魚を飼ったことがない」という人でも十分に飼うことができる魚です。
また、成長すれば30センチほどになる中型の魚ではありますが、60センチの一般的な水槽で飼うことも可能。
これは、狭いところでもストレスを感じないというフラワーホーンの性格があるからこそです。
フラワーホーンの性格的に混泳は向かない
飼いやすいと言われるフラワーホーンですが、実は「混泳には向かない」という習性があります。
「混泳」というのは、他の魚なり同じフラワーホーンなりと一緒に泳がせるということ。
フラワーホーンは気性が大人しいとはいえず、他の魚を見ると攻撃を仕掛ける習性があるため、他の魚と一緒の水槽に入れることは相手にとってストレスになります。
また、フラワーホーンは体長が30センチとかなり大きめの魚です。
ケンカを仕掛ければ他の魚が死んでしまうこともあり、「水槽の中にフラワーホーンを一匹だけ入れて飼う」という方法をとられることをオススメします。
フラワーホーンは見た目がとっても華やかなので、この魚を一匹入れておくだけでも十分に観賞魚としての役割を果たしてくれます。
雑食のフラワーホーン。基本的に何でも食べます
フラワーホーンは基本的に雑食なので、どんなエサでもしっかり食べてくれます。
普通に飼育をするだけならこれでいいのですが、「できるだけキレイな発色の魚に育てたい」という場合は、エサにもきちんとこだわらなければなりません。
エサには冷凍飼料と生エサがありますが、冷凍飼料をあげる場合は「ピンクマウス」もしくは「赤虫」がオススメ。
ピンクマウスはあげるのにちょっと勇気が必要なエサではありますが、インターネットのオンラインショップなどで簡単に手に入れることが可能ですし、フラワーホーンも喜びます。
生エサの場合は、昆虫をはじめメダカ・金魚などがオススメのエサ。
生エサだと、エサが生きている状態なので、フラワーホーンが追いかけると逃げます。
これを追いかけて食べるということになるので、興奮してコブの色が美しくなりますし、運動量があがるために体の厚さも増します。
色々なエサを交互に与えていくといいでしょう。
フラワーホーンはどのくらい生きる?
フラワーホーンは人工的につくられた魚である上に、日本に入ってきたのが2001年と最近です。
このため、まだはっきりとした寿命は確認されていませんが、大切に育てれば10年以上生きることが確認されています。
ただし、フラワーホーンは消化不良を起こしやすい魚で、これが原因で死んでしまうこともありますので、エサのあげ方には気を配らなくてはなりません。
一度にたくさんのエサをあげると消化不良を起こしてしまいますので、少量をあげてお腹が膨れたのを確認したら時間をおきましょう。
これは、稚魚であっても成魚であっても同じです。
販売されているのはメスが多い。このため交配は難しい
よく見かける色の美しいフラワーホーンは「オス」。
メスはオスのように美しい色が出ませんので、どうしても観賞用には向きません。
そのため、ショップで販売されているほとんどのフラワーホーンはオスです。
メスを扱っているショップがどうしても少ないので、「交配させて子供を産ませたい」となると非常に難しいのです。
ただ、もしフラワーホーンのメスが手に入った場合は、いきなり同じ水槽の中に入れるのではなく、仕切りをつくって別々に生活させること。
魚同士であっても相性があり、どのオス・メスでも交配にたどり着くとは限りません。
まずは両者の相性をみて、大丈夫そうなら仕切りを取りましょう。
フラワーホーンの価格はどのくらい?
フラワーホーンの価格はかなりばらつきがあります。
なぜなら、フラワーホーンの個体にはかなり差があるから。
フラワーホーンを選ぶ時の基準になるのが、
〇目が赤くなっているかどうか
〇斑点がバランスよく美しく出ているかどうか
〇コブがきちんと出ている
〇フラワーホーンの体に赤みが広がっている
〇全体的に、体が四角っぽい
というもの。
フラワーホーンを実際にみると分かりますが、個体によっては赤みがまったくないものもありますし、コブの出方が美しくないものもあります。
すべてを兼ね備えた美しい個体だと、価格は10万円を越えることも。
既に幼魚の時点でこれらの特徴ははっきりしていますので、幼魚から完璧に育てるのも難しいです。
ただ、これらすべてを兼ね備えたものが自分の好みと一致するとは限りませんので、まずは自分の目で個体を確認されてみることをオススメします。
フラワーホーンは人になついてくれる魚
フラワーホーンは、飼っているうちに飼い主の顔を覚えてくれる魚です。
魚が顔を覚えてくれるなんて意外な気もしますが、一緒に暮らしているとなんとなく顔を覚えてくれるのが解るので、愛着も湧いてきます。
完璧な個体だと価格が高いので躊躇しますが、人懐こい一面もある可愛い魚なので、どんな個体であっても一緒に暮らすのが楽しくなるはずです。