数ある犬種の中で、エアデールテリア、ワイヤーフォックステリア、ウェスティなどのテリア、シュナウザー、ワイヤーダックスなどは、本来、プードルなどのふわふわな被毛とは違い、ワイヤーヘアーという針金のような硬く強い被毛を持った犬種です。

そんな、犬種特有の毛質が魅力の一つでもあります。

その美しいワイヤーヘアーを維持するためにはペットカットではなく、プラッキングという特殊なトリミング方法が必要になります。

ただ、プラッキングには様々なメリットやデメリットがあり、愛犬のトリミングにはペットカットとどちらを選択するべきかと迷われる飼い主さんも多くいらっしゃいます。

プラッキングとは?

はさみ、バリカンは使用せず、プラッキングナイフという道具を用いて、毛を抜いてトリミングする方法をプラッキングと呼びます。

一般的にはあまり有名でないため、プラッキングという名前を初めて聞いたという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

エアデールテリア、ワイヤーフォックステリア、ウェスティなどのテリア、シュナウザー、ワイヤーダックスなどは、自力で換毛しにくい犬種のため、人の手で毛を抜くことにより換毛してあげることが必要です。

先述の通り、犬種本来の美しいワイヤーヘアーを維持するために行います。

ドッグショーに出陳する犬には必ずプラッキングを行わなければいけません。

ペットカットとは?

はさみ、バリカンを使用してトリミングする方法をペットカットと呼びます。

ドッグショーを目的としたカットではなく、見た目を楽しむことや、お家でのお手入れのしやすさなどを優先した、ペットとして飼われている犬のための一般的なカットです。

プラッキングのメリット

毛を抜くことで被毛が硬く強くなります。

同時に被毛の色も濃くなり、模様がはっきりします。

犬種本来の美しいワイヤーヘアーを維持することができます。

皮膚を刺激することで新陳代謝が良くなり皮膚が強くなります。

プラッキングをすることで皮膚疾患が治ったという例もあります。

温度差にも強くなります。

プラッキングのデメリット

毛を抜くため、犬もやはり痛みは感じます。

回数を重ねるごとに慣れる犬もいますが、毛を抜いた部分の皮膚は赤くなり血がにじむこともあります。

途中でペットカットに変えてしまったり、期間が空いてしまうと意味がなくなるため、定期的なトリミングの継続が必要になります。

最低でも1ヶ月に1度は必ずトリミングに連れて行かなければいけません。

ペットカットに比べて一度のトリミングにかなり時間がかかります。

また、料金もペットカットに比べて2倍ほど高くなります。

特別な技術のため、実際は一度も経験がないというトリマーも多く、頼めるお店が限られています。

ペットカットのメリット

手軽さが一番の魅力です。

一般的なカットのためお店も限られません。

飼い主さんの好みや生活スタイルに合わせて、毛の長さやデザインを自由に楽しみことができます。

カットスタイルによってはお家でのケアも簡単ため、トリミングの間隔も1~2ヶ月に一度で問題ありません。

時間もかからないため、犬への負担もあまりありません。

ペットカットのデメリット

犬種本来の毛質とは異なり、被毛が柔らかくなります。

退色が早くなり、被毛の色や模様が薄くなります。

皮膚への刺激がないため、皮膚疾患が出やすくなります。

特にワイヤーフォックステリアの場合は被毛が全体的に白色に近くなっていくので、最終的には模様がほとんど消えてしまい、わからなくなることもあります。

触り心地の比較

愛犬の毛並みは触り心地も重要という飼い主さんも多いのではないでしょうか?

プラッキングとペットカットでは、仕上がりの触り心地が全く違います。

プラッキングの場合、触り心地はザラザラ、ゴワゴワした感じになります。

ペットカットの場合、触り心地はふわふわした感じになります。

「こんなはずじゃなかった」ということにならないよう、トリミング方法を選択する前に、一度トリミング後の愛犬の雰囲気を想像してみてください。

シニアになれば全てペットカットに

シニア犬にとって長時間のトリミングは大変大きな負担になります。

プラッキングを続けている犬も、7歳を過ぎたら体調や様子をよくチェックして身体に負担がかかっているようであれば、健康状態に合わせて短時間で済むペットカットに変更を検討しましょう。

ペットとしてならペットカットで十分

ドッグショーへの出陳を考えられているのならプラッキングは必須になりますが、ペットとして飼うのならペットカットで十分です。

実際、ほとんどの飼い主さんがペットカットを選択されています。

大切なパートナーである愛犬と一緒に、各犬種特有のカットスタイルを初め、色々なデザインカットを楽しんでみてはいかがでしょうか。