犬の健康は排泄物によく現れます。

ゆるい、水っぽい、色がいつもと違う糞であれば、何かしらの病気のサインであることがほとんどです。

では尿の場合はどうなのでしょうか。

赤い尿が出る

犬の尿に赤い尿が混ざっている場合は、いくつかの病気が考えられます。

まず、血尿が混ざり、尿の回数が増えたが量が少ない、出ないけれども排泄姿勢を何回もするなどの症状がある場合は、尿路結石か前立腺の異常、膀胱炎が考えられます。

尿道結石や膀胱結石、腎臓結石になると、尿石という石が尿路を塞ぎ、尿が出なくなり苦しんでしまうのですぐに病院へ連れていく必要があります。

尿が原因の病気は、糖尿病や腎不全などの命に関わる重い病気が原因である可能性があるので、血尿を採取し病院で診断してもらいましょう。

また、タマネギ中毒になると赤い尿が出ます。

タマネギやニンニク、ニラを与えると血液中の赤血球が破壊され、貧血や嘔吐の症状が出るので決して与えてはいけません。

濃い黄色の尿が出る

尿が濃い黄色になり、目や皮膚も黄色くなっている場合は、肝臓に関する病気である可能性があります。

黄色くなる原因は、ビリルビンという物質が関係しています。

ビリルビンは肝臓で作られ、通常は胆のうに溜まっていますが、肝臓の障害などが起きることで、血液中のビリルビンが増え、黄色い尿が排出されます。

原因はいくつかあり、まずウイルス感染や薬などの影響で肝細胞が炎症を起こすことで発症する肝炎が挙げられます。

肝炎の場合、最初元気や食欲がなくなりますが、症状が進行していくにつれて黄色の尿や皮膚などが黄色くなり、痙攣などの症状が起こります。

肝炎は定期的な検診で予防でき、食事療法で治療していきます。

次に肝硬変。

症状は肝炎同様、元気と食欲がない、黄色い尿があり、血便が出ることがあります。

肝硬変になってしまうと完治することは難しく、糖分やビタミン豊富な食事療法で進行を抑えることが主になります。

黒っぽい尿が出る

尿が黒っぽく、呼吸が荒い、下痢や嘔吐がある場合は、前立腺炎、腫瘍、フィラリア症の可能性があります。

前立腺炎は、前立腺に細菌が感染することで炎症が起きた状態です。

尿が出にくい、発熱、嘔吐、食欲不振、元気がない、下腹部の痛みなどの症状が現れます。

原因は、前立腺への細菌感染と、他の病気での治療によって起きることがあります。

去勢をすることで炎症が起こらなくなるため、繁殖をするつもりがないのであれば去勢をすることをオススメします。

フィラリア症は最近では予防薬の普及で減ってきていますが、発症している犬がゼロではありません。

感染ルートは、既に感染している犬の血液を蚊が吸い、その蚊が他の犬に刺すことで感染します。

感染してもすぐに症状が現れず、何年もかけて臓器を蝕んでから気づくことがほとんどです。

毎年のフィラリア予防の薬で対策できます。

尿の色が薄い

尿が薄い場合は、糖尿病や尿崩症(にょうほうしょう)の可能性があります。

糖尿病は、水を大量に飲む、食べる量が増える、体重が減少する、尿の量と回数が増える、腹部が膨れるといった症状が現れます。

原因は、早食いや加齢などが挙げられます。

早食いが習慣化すると食事の度にインスリンが放出されるようになり、細胞のインスリンに対する反応が鈍くなってしまい、血糖を取り込みにくくなってきます。

その状態が続くことで、血液中の糖度が高いままになってしまい、糖尿病になってしまいます。

また、年齢と共に基礎代謝が低下していくため、6歳以上の犬に多く見られます。

次に尿崩症です。

糖尿病と同じく尿の量が増え、水をたくさん飲むようになります。

その原因は、脳の損傷や腫瘍によってホルモンの調整がうまくできないことや、腎臓に異常が起こることで尿の調整ができなくなることです。

治療はホルモン剤の定期的投与と充分な水分補給です。

尿がキラキラ光る

尿内にリン酸塩が混ざっているとキラキラ光り、乾いた状態であるとよりわかりやすいです。

これは膀胱炎や尿路結石の可能性があります。

膀胱炎の症状は、元気がない、食欲不振、発熱、水をたくさん飲む、尿の回数が増え濃くなる、血尿、尿のニオイが強くなるなどがあります。

原因は、細菌感染やストレス、結石、冷えが挙げられ、尿に含まれる細菌によって特定されます。

治療法は、抗生物質の投与を行いますが、長期化する場合は他の病気が考えられるので、再度検査をすることになります。

尿路結石は、尿の通り道に石ができてしまう病気です。

大きい石になると尿路を塞いでしまうため、腎臓に悪影響が出てきます。

さらに悪化すると、腎臓が働かなくなる尿毒症という死に至ることもある危険な病気になってしまうことがあります。

トイレが間に合わない、頻尿、トイレの度に痛みを訴える症状があります。

予防として、程よい運動と水分をたくさん摂ると良いでしょう。

尿の状態で犬の健康チェックを

犬は病気になってもそれを伝える術がありません。

犬は我慢強いと言われている通り、鳴いて知らせることもありません。

そんな犬たちの健康は排泄物で確認することが大切です。

小さなサインも見落とさずに、いつもと違うと感じたら早めに病院へ行きましょう。