アクアリウム好きなら魚と共生する貝類が、水槽の掃除屋であるのは大抵知っているでしょう。
しかし近年、この貝達の美しい殻や色が注目され始めています。
今回はそんな水槽の名脇役、貝類についてのまとめ記事です。
ラムズホーンの生態、特徴
ラムズホーンとは別名、インドヒラマキガイと呼ばれる巻貝の仲間です。
野生ではインドや東南アジアに主に生息しています。
基本は淡水生ですが、汽水(海水と淡水が混ざる水)にも住んでいることもあります。
主に流れが緩やかで、水草などが生えている場所を好み、水生植物や付着藻、落ち葉、デタトリス(微生物の死骸)などを食べています。
寿命については小型で数か月、中型、大型で約2~3年です。
これらの種類は有肺類と呼ばれ、一番身近な生き物ではカタツムリがこの仲間です。
殻が薄く、蓋が付いていないのが特徴です。
ヒラマキガイは有肺という種類の名前通り、水生生物にもかかわらず、肺を持ち、水面に呼吸孔を出してときどき息をします。
しかし肺で呼吸するだけではなく、水中で皮膚呼吸することもできるというなんとも不思議な生物です。
ラムズホーンという名前の由来はラム(羊)のホーン(角)のような形をしていることから名づけられました。
通常ラムズホーンの殻は茶色っぽい色をしています。
殻だけでなく体まで赤い色をした、色彩の突然変異体であるレッドラムズホーンや、ピンクラムズ、ブルーラムズホーンなども品種改良で生まれました。
ラムズホーンが飼われる目的は、苔や汚れを食べてもらうための水槽の掃除役などが多いようです。
また最近では、その美しい形や色に魅せられる愛好家もいます。
ラムズホーンの飼育
ラムズホーンの飼育は基本、淡水で行います。
水質は弱酸性から弱アルカリまでと、かなり広い範囲に対応できます。
水温についても低温から高温まで非常に適応力があります。
厳しい日本の冬も生き延びられる生命力の強い貝類です。
しかしヒーターなどに貝が近づきすぎて焼死することはあるようなので、心配な場合はヒーターカバーをつけましょう。
水槽の大きさは、一緒に飼育している熱帯魚の種類に合わせればよいでしょう。
エサは熱帯魚の食べ残しや苔を食べますので、特に意識してあげる必要はありません。
飼育下ではメダカなどとの相性が良く、糞や苔、汚れ、死骸などを食べ、水槽内の水質や環境をクリーンに保ってくれます。
ちなみにラムズホーンが元気な生きた魚を襲うということは、まずありません。
魚の産んだ卵さえも食べられないほどです。
逆に中型の魚などと一緒に飼育すると貝のほうが食べられてしまうことはあります。
ラムズホーンを繁殖したりする場合は、混泳する魚の種類が巻貝を捕食するのかどうか、よく熱帯魚ショップの店員さんに聞いておきましょう。
ラムズホーンの繁殖
ラムズホーンはオスとメスの区別がない雌雄同体です。
ですからオス、メスを気にすることなく、二匹水槽に入れておけば繁殖することができます。
繁殖自体も難しくなく、コツというものもありません。
しいて言うならば水質を弱アルカリにする方が増えやすいようです。
卵はゼリー状をしており、水槽の表面、水草などに産み付けます。
幼体についても他の魚に食べられるなどの心配はあるものの、気がついたら小さな貝にまで成長していたなどというほど手間はかかりません。
ラムズホーンの場合、繁殖する難易度が問題ではなくむしろ、水槽内で大繁殖するほうが注意しなければいけない点です。
ラムズホーンが爆発的に増えてしまう理由としては、エサの与えすぎによる栄養過多、水質悪化など。
何らかの原因で水槽内の環境バランスが崩れていることに起因しています。
それでも増えてしまったという場合は、少しかわいそうではありますが、ラムズホーンを捕食する魚を一緒に飼いましょう。
例えば、トーマーシー(熱帯魚)や、アベニパファー(淡水フグ)などです。
これらの魚達は、増えすぎたラムズホーンをあっという間に食べてしまいます。
また、ゲンジボタルなどの幼虫を育てる際のエサとして飼育されたりもするようです。
ちなみにラムズホーンは、厳しい気候、どんな環境でも対応できる生き物です。
そのため、増えすぎたからといって河川などに放すのは絶対に止めてください。
生態系の破壊につながります。
また、余談ではありますが、幼体の成長などの過程においては、カルシウムを与えたりすることで、より美しい貝殻をしたラムズホーンに成長するようです。
ラムズホーンのことを知ろう
ラムズホーンは、普段、熱帯魚等の影に隠れて目立ちませんが、形も色も美しく、大変魅力のある巻貝です。
赤、ピンク、ブルーなど、様々なラムズホーンを水槽で飼育してみると、宝石のように色鮮やかでしょう。
ただし、とても繁殖しやすい貝なので、爆発的に増やしてしまい、対応しきれなくなることには気をつけましょう。