昨今、世界大会の作品などがテレビでも紹介されるようになり、アクアリウムを趣味として楽しまれる方が増えています。
しかし、そんなアクアリウムファンにとって最大の壁となるのが、油膜の出現。
そこで今回は、水槽に油膜が出現してしまう原因と対策について、ご紹介します。
油膜の正体と原因とは?
アクアリウムを楽しんでいると、必ずと言って良いほど避けては通れない存在となるのが、油膜。
油膜が水槽に出現してしまうと、水槽の景観が一気に悪くなってしまいます。
雨上がりの道路に滲みている油のように、カラフルなものではなく、白っぽい色をしているのが特徴です。
実はこの油膜、残エサや糞、生き物の表皮から剥がれたタンパク質が主な部分を占めています。
また、水草をトリミングすることで油膜が発生することもあります。
つまり、水槽内の有機物が、油膜が発生する原因となっています。
そして、これらの有機物は水面で酸化し、さらにアンモニウムなどに変化することで水質を汚染してしまうのです。
よく、水槽の油膜をキレイに取り除いてもすぐに油膜が再発生してしまうという方がいます。
そういった方は、そもそも水槽内の水質が汚染されてしまっている状態であることがほとんど。
根本的な改善をしない限り、友好的な対策とは言えないのです。
エアレーションで油膜は改善できる
こうした油膜を手っ取り早く改善、対策するには、エアレーションをかけてしまうことが最も効果的です。
実はあまり知られていないのですが、エアレーションによって発生する泡は、表面にある物質を水底へ落とす効果があるためです。
エアレーションによって発生した泡は表面で少しだけ留まりますが、その時に表面の物質が泡の表面を滑るように下へ流れます。
この働きによって、表面に溜まった油膜は水底へと流れるのです。
アクアリウムではなく生き物メインの水槽で、あまり油膜が張らないことがイメージされる方もいるかと思います。
そこには、エアレーションの働きがあったという訳です。
しかし、この時に注意が必要なのが、水草メインのアクアリウムであるということ。
エアレーションを過度に働かせてしまうと、水の中に溶けているCO2が空中に発散されてしまいます。
つまり、水草が光合成するために必要な物質がなくなり、水草の環境として悪いものになってしまうのです。
夜間だけエアレーションを活用し、昼間は止めることである程度の油膜を防ぐことはできますが、完璧な対策とは言えません。
栄養の消費が大きい水草を入れる
もう一つの対策としてあるのが、多くの栄養素を消費する水草を入れること。
水草は、当然ながら二酸化炭素だけがあれば生きていけるわけではありません。
水の中の栄養分を多少なり吸収し、成長しています。
残エサや糞なども、水草にとっては大事な栄養素。
栄養素の消費が大きな水草を入れることで、余計な有機物が水面で酸化することを、ある程度のレベルで防ぐことができるのです。
しかし、この時にも注意が必要となります。
消費量の大きな水草を入れ過ぎてしまうと、今度は水の中の養分が足らなくなってしまい、水草にとって良くない環境となってしまいます。
有機物の発生と消費に関しては、制度の高いバランスが求めれるのです。
また、消費量の高い水草は、自身の中にも高い養分を保持しています。
たくさん成長して伸びてきたからとトリミングをしてしまうと、切った断面から保持していた養分が漏れ出し、油膜が発生する原因ともなってしまうのです。
こちらも、トリミングという防げない行為によって油膜が発生してしまうため、完璧な対策とは言えません。
複合的な対策で、小まめに手入れをすることが一番
ここまで、完璧とは言えない二つの対策をご紹介してきました。
しかし、完璧な対策は、今現在では確立されていないのが現状です。
結局、植物を初め生き物である以上、有機物を排出しながら生きている存在。
油膜もある意味で「生きている証拠」である以上、完璧な対策などないのかもしれません。
皆さんが部屋の掃除をし続けながら生活されるように、アクアリウムにおいても小まめに油膜をすくって掃除したり、夜間のエアレーションや水草のバランスを整えるなどできる限りの対策を行うことで、手を掛けながら楽しむことが一番です。
このとき、一つの対策だけにこだわっていると、その効果も表れにくいもの。
先に紹介した複数の対策を組み合わせて行うことで、より効果の高い対策を取ることができるのです。
水槽の油膜の原因を知って対処しよう
アクアリウムを楽しまれる方にとって、頭を悩ませる存在である油膜。
しかし、これも水槽が生きている証拠と割り切って、手を掛けることも楽しむこと。
そうすることで、より愛着の強い、自分だけのアクアリウムを作り出すことができます。
面倒だけれども、楽しくて美しいアクアリウムを、ぜひ、皆さんも楽しんでくださいね。