家の近所や公園で、体がボロボロにもなりながら、たくましく生きている猫を見たことはありませんか?

人間の勝手で捨てられた猫は野良猫となり、誰の力も借りずにひっそりと毎日を生きているのです。

現在、飼い猫の平均寿命は15年前後と言われるほど、猫の寿命も伸びているのに対し、捨て猫の平均寿命は10年未満です。

もっと幼いうちに命を失ってしまう猫もいます。その違いには理由があります。

捨て猫・野良猫同士のケンカ

縄張り意識が強い猫は、外で生活をしていても、自分の縄張りを決めて守りながら生活をしています。

たまたま近くを通った、新参者に対しては特に警戒をし、すぐに威嚇をして出ていけと鳴きます。

臆病な猫は、怯えながら逃げることもありますが、同じ野良猫として生きてきたプライドのある猫は、張り合った結果、ケンカになります。

猫のケンカを見たことがあるでしょうか?普段丸まってゴロゴロ寝ている猫とは思えないほど、激しいケンカをします。

鋭い爪で体を引っかいたり、耳をかじられたり、体がボロボロになります。

飼い猫だったら、飼い主さんが病院へ連れて行くことができますが、野良猫は自分で舐めるしかできません。

結果、傷口が化膿して治療できずにそのまま命を落としてしまう事もあります。

捨て猫はエサが不足する

飼い主さんから、美味しくて栄養のたっぷり入ったご飯をもらっている飼い猫に対して、捨て猫は自分でエサを探して食べていかないといけません。

元々、猫は狩猟動物なので捕まえることは得意ですが、突然捨て猫になった猫は自分で狩りをすることができません。

生まれた時から野良猫として生きている猫も、練習して上手になっていくのです。

ゴミ捨て場を漁っては食べれるものを探して、毎日生きていますが栄養不足にも陥ります。

腐ったものや食べてはいけないものを食べてしまって、中毒をおこし命を落とす猫も少なくありません。

安全に生き延びるには、野良猫にエサをあげている人間を見つけて、ご飯にありつくしかないのです。

捨て猫に過酷な天候

晴れても雨の日でも、ずっと外で生活をしている捨て猫たち。

暑い時は日陰を探し、寒い時は暖かい場所を求めてうろつきます。

最近、異常気象と言われていますが、寒暖差も激しく、自然災害も多くなっている現在では、猫たちにも過酷な環境です。

集中豪雨で避難できずに巻き込まれたり、猛暑の日に水分をとれずに倒れたり、特に子猫となれば体力もないので、健康状態が左右されやすくなります。

もし家の軒下で雨宿りをしている猫を見かけても、追い払わないでください。

雨がやんで太陽が出でてきたら、暖かい場所を求めて出ていきます。

交通事故

車や自転車を利用する人で、猫が突然飛び出してきて、驚いた経験はないでしょうか。

猫に信号や交通ルールはわかりません。

たまたま何かを追いかけていたり、ただ道路を横切りたかっただけなのですが、気が付いた時にはもう遅いのです。

猫は後戻りというのが出来ないのです。

道路を横切ろうとしていて、途中で車に気が付いても、猫は後戻りができなません。

そのまま突っ切ろうとして間に合わないか、その場で固まってしまい、衝突してしまいます。

猫の体格と車の大きさは見ての通りです。

衝突してしまえば、ほぼ助からない猫がほとんどです。

実際に、外で亡くなる猫の死因として考えられる原因の1位が事故です。

ウイルスや病気

捨て猫のほとんどはワクチンを接種していません。

なので、猫同士でのウイルス感染率は非常に高いです。

猫風邪と呼ばれるウイルスも、同じ食事やくしゃみで簡単に感染します。

病院へ連れて行ってもらう事も出来ずに、どんどん広がっていき体力を消耗させて亡くなってしまいます。

家で飼っている猫に、ワクチン接種をしていないという方がいたら、すぐにワクチン接種をすることをオススメします。

飼い主さんがウイルスを持っている猫に触れて、飼い猫に触れたら簡単に感染してしまうので注意しましょう。

人間からの虐待

とても悲しいですが、いつの時代も弱いものイジメをする人間がいます。

ニュースでも見たことがあると思いますが、公園で猫が悲惨な状態で発見されたりする事件が、珍しい事ではなくなっています。

人懐っこい猫ほど犠牲になります。

怖いのは、捨て猫だけでもなく、外を散歩している飼い猫だって、対象になってしまうことです。

わざと毒入りのエサを食べさせられた事件もありました。

捨て猫は生きていくのが難しい

日本には、「猫島」と呼ばれる、猫と住民が上手に共存している島もあります。

そこでは猫がのんびりと外で暮らしていて、観光スポットにもなっていますね。

しかし、現実にはまだまだ不幸な人生を送る猫も多いのです。

猫が増えて飼えないから、といって捨てて良いわけがありません。

どんどん増殖して、罪もなく亡くなってしまう猫を増やさないためにも、きちんと避妊、去勢手術をする、など私たちも出来る事から始めましょう。