トビというと、スズメやカラスほどではないにしろ、私たちにとって比較的身近に感じられる鳥ではないでしょうか。
田舎の駅や、ちょっと旅行に行った先で、トビと出会ったり、その鳴き声を耳にしたりすることがあります。
そんなトビがどんな鳥なのか、普段はどんな生活をしているのかご紹介します。
トビの体の特徴
トビはタカ科に属する大型の鳥で、タカ科の鳥の中でもわりと大きな体を有しています。
くちばしから尾までの全長は60〜70cmくらいです。
身近な鳥と比較すると、街でよく見かけるカラスが50cmくらいなので、それよりもひと回り大きいサイズです。
両翼を目一杯広げると150~160cmほどにもなり、間近で見るとかなりインパクトがあります。
体は全体的に濃い茶色や褐色と、目立たない外観をしています。
こうしたトビの体色に似た茶褐色を「鳶色」ということがあります。
近くで見てみると、羽や羽毛の色合いによって、まだら模様になっているのがわかります。
トビはその大きな翼を上手に使って、うまく上昇気流をつかみます。
上空で翼を広げて、大きな輪を描くように旋回しているような姿をよく見かけます。
トビの分布と生態
日本で見かけるトビは留鳥と言い、基本的に一年中同じ場所で生活しています。
トビの生息地は日本だけでなく、東アジアから西ヨーロッパ、アフリカ大陸やオーストラリアに至るまで広範囲に及びます。
寒い地域に住んでいるトビは、冬になると越冬のために温かい地域に移動したりするものもいます。
生息場所は山間部から街中、海沿いと、住む場所を選びません。
主にエサとしているものは、動物の死骸やカエルやヘビ、魚などの小動物です。
海沿いや漁港などでは、カモメと一緒にトビが混ざって飛んでいるのをよく見かけます。
最近では都市部にも生息していて、生ゴミを漁っている姿も見られたりします。
エサ場の近くでは何匹ものトビが飛んでいるのを見かけますが、基本的には群れないタイプの鳥です。
しかし、夜になるとねぐらでは数十匹のトビが同じ木で群れを作って寝ていたりします。
トビは、木の上に巣を作って、春になると卵を産み子育てをしています。
トビの鳴き声
トビというと、その特徴的な鳴き声がパッと思い浮かぶのではないでしょうか。
漁港や山間で聞こえてくる「ピーヒョロロー」という音がトビの鳴き声です。
鳴き声を聞く場所や、その音の感じから、どこか鳴き声に長閑な感じがしますよね。
いろいろな場面で効果音として、トビの鳴き声が効果音として使われているシーンに出くわします。
トビはいちばん身近な猛禽類
トビは他の動物を捕食して食べる猛禽類という鳥の種類にカテゴライズされます。
猛禽類というと、他にはタカやワシなど、全体的に「強そう」とか、「勇敢な」というイメージがあります。
しかし、トビは体こそ大きいのですが、そうした畏怖されるようなイメージがあまりありませんよね。
日本では、トビが私たちにとってもっとも身近な猛禽類でしょう。
また獲物を買って食べる「肉食性」というより、カラスと同じように生ゴミを漁ったりしているので、雑食性という印象もあります。
なので、そうしたイメージにより、それほど猛禽類らしさを感じないのかもしれませんね。
トビの性格
昔から人と馴染みのある鳥として身近にいる存在ですが、トビはもともとかなり人間への警戒心が強い鳥です。
本来は、トビから人間に近づいてくるようなことはないと言われています。
食性を見てみても、生きた動物を狙うことはそれほど多くなく、「森の掃除人」との別名があるほどです。
なので、他の猛禽類のような攻撃性は持っていないと考えられています。
トビと人間との関わり
昔からのことわざのひとつに「鳶に油揚げをさらわれる」というものがあります。
先に述べたように、鳶はもともと人間に対して強い警戒心を持っています。
しかし、最近では人間に慣れたトビが近づいてきたり、人の食べ物を狙って飛びかかって奪ったりすることがよくあります。
近年ではそうしたケースが増えており、海沿いの観光地などでは問題となっています。
建築現場などで、高いところでの作業を専門にする職人を「鳶職」と言いますよね。
鳶職の方が使う、トビのくちばしに似た先端に鉤のついた道具を「鳶口」と呼んでいます。
この鳶口を使う人というところが、鳶職という呼び方の語源になっているんだそうです。
トビの特徴を知ろう
「鳶が鷹を産む」ということわざがあるように、トビは昔から馴染みはありつつも、ちょっと下に見られることの多い感じがします。
他の猛禽類に比べると、数が多く、希少性を感じられないというのももちろんあるでしょう。
他にも、食性や生態を調べてみると、野生っぽさやワイルドさよりも、カラスのようなしたたかさを感じさせますよね。
しかし、手に持っていたお弁当をトビにさらわれてしまったり、小型の犬をトビが連れ去ったりするようなこともあるそうです。
それほど攻撃的ではないとしても、その大きい体や翼にはそれなりに威圧感があります。
そうしたとことには、やはり近くにいる鳥であっても、猛禽類らしさを見て取ることができますよね。