子供に大人気のヤドカリは、海に遊びに行ったら必ずと言っていいほど見かける磯の代名詞的な生き物です。
しかしヤドカリと一口に言っても、非常に様々な種類のものがあります。
代表的なヤドカリの種類をご紹介します。
オカヤドカリ
ヤドカリと言えば、タイドプールや海の浅い場所に住んでいるイメージが強いですが、陸地に住むヤドカリもいます。
その代表的なのがこの「オカヤドカリ」です。
その名の通り海岸近くの陸地に生息するヤドカリで、貝殻の中に水を蓄えることによって陸上生活を可能にしていると言います。
海生のヤドカリに比べて脚や爪が頑丈なので、木に登ることも出来ます。
オカヤドカリは沖縄などの熱帯地方に生息している種類ですので、冬場に気温が15度を下回る環境では生きていく事が出来ませんから、飼育を考えるのであれば少なくとも15度以上の気温は保つ必要があります。
またオカヤドカリは成体こそ陸地で生活しますが、幼少期は水の中で過ごさなければならない時期がありますので、繁殖を考えている方は注意する必要があります。
オカヤドカリは国の天然記念物に指定されている為、もし見かけても決して連れて帰るようなことはせず、きちんとペットショップなどで購入するようにしましょう。
ヤシガニ
ヤシガニはオカヤドカリの仲間で、陸上に生息する甲殻類の中で最も大きいと言われています。
体長は30~40㎝で、脚を広げると1m以上にも及ぶ個体もいます。
その長い脚を用いて器用にヤシの木に登り、ヤシの実を落として食べることからヤシガニと呼ばれる様になったと言います。
しかし実際にはヤシガニは木に登ることはあっても、ヤシの実を落とすことはしないそうです。
ヤシの実を切り裂く事が出来る強靭なハサミを持っていて、ヤシの実を食べることから誤解されただけのようです。
ヤシガニは小さなうちはペットとして飼育することも可能ですが、大きくなると、その強靭なハサミで飼育ケージを壊して脱走してしまうことが多く、ハサミに挟まれてしまうと大怪我を負ってしまうので注意が必要です。
ホンヤドカリ
ホンヤドカリは最も一般的な海生のヤドカリで、北海道から九州まで、日本全土に生息しています。
タイドプールなどで見られるのは大抵がこのホンヤドカリです。
甲長は10㎜前後とヤドカリの中では小型で、岩礁地帯に多く生息しますが、砂浜にはあまり見られません。
体色が緑色で、右側のハサミが大きく発達しているのが特徴です。
ホンヤドカリは潮の引いたタイドプールに生息している為、体が丈夫で飼育は比較的簡単です。
特別な飼育機材なども用いなくとも長生きさせることが可能ですので、磯遊びで良く子供が持ち帰ることが多く、ヤドカリ飼育の入門種のような存在とも言えるでしょう。
オニヤドカリ
オニヤドカリは水深10~50m程の場所に生息する、甲長5㎝程の大型のヤドカリです。
岩礁地帯に生息するヤドカリの代表的な種類で、夏場になるとサザエの貝殻などに入れられたものが売られていることがあります。
漁師網などによくかかる事が多く、奄美大島より南ではサンゴ礁でも見られます。
ハサミや脚に剛毛が非常に多く、その姿が鬼のようだという理由から「オニヤドカリ」と呼ばれるようになったと言います。
オニヤドカリは海の深い場所に住むヤドカリですので、飼育する際は海水魚を飼育するのと同じように、水位の高い水槽で飼育した方が良いでしょう。
飼育難易度も高くなく、体も大きくて見応えがあるため、子供に人気のある種類のようです。
イソヨコバサミ
イソヨコバサミはホンヤドカリと並んで本州ではよく見られる、代表的な海生ヤドカリです。
ホンヤドカリが日本全土で見られるに対し、イソヨコバサミは南日本に多く見られます。
ホンヤドカリ同様に緑味がかった体色をしていますが、イソヨコバサミは日本の海生ヤドカリの中では比較的大型で、甲長15㎜程になります。
またホンヤドカリとは違い、水から上がって岩場にいることもある事から判別が付きます。
イソヨコバサミは亜熱帯から熱帯を中心に生息している為、寒さには弱い傾向にあります。
また警戒心も非常に強いので、一度殻に籠ると中々出てこないことが多いです。
そのため飼育するのだとしたら、隠れ場所を用意するか、あまり弄らないようにしてあげた方が良いでしょう。
豊富なヤドカリの代表的な種類を知ろう
ヤドカリは基本的に海生のものが多く、陸生のヤドカリはあまり多くはありません。
陸海両方のヤドカリの中でも代表的なものを上記では紹介しましたが、それ以外にもヤドカリの種類は数多くいます。
中には非常に色鮮やかなものや、美しい種類のものもいて、そういった種類のものはアクアリウムの世界でも人気があります。
またヤドカリは体に合った巻貝であればどんな貝殻にでも入りますので、良く磨かれた美しい貝殻に入れれば水槽内を華やかにすることも出来ます。
子供のころには恐らく誰しもが飼育したことのあるヤドカリですが、これを機にまた飼育を始めてみてはいかがでしょうか。