飼い主と寝る犬

家で飼っている犬が毎晩布団にもぐってきて、一緒に寝たがることがあります。

これは飼い主とつかず離れずの距離を保ちたいという犬の心理が大きく関係しています。

また、動物の本能で、暗い場所にいることを避けることや、飼い主のそばで安心したいという心理も関係しています。

こうした犬の心理を理解することで、ペットとより深い関係を結ぶことができ、もっと愛情が湧いてくるようになります。

犬も小さな心を持っていて、人とおなじように楽しさや喜びを感じています。

心を理解することは、家族の一員として、愛情を持つきっかけになります。

安心したいため

犬が一緒に寝たがるのは、寂しがっているときです。

飼い主のことを母親と思っているので、寝るときはできるだけそばにいて、同じ空間ですごしたいという心理があるようです。

寝ているときは、飼い主も動かない状態ですので、犬はその様子を心配しているともいえます。

寝ていればかまってもらえないため、そばにいて、できるだけ愛情を受けようとしているのです。

犬と人の関係は特別なものがあります。

飼い主が帰ってきて、犬の頭をなでてあげたりすると、犬からは「安心する」という脳波が出るそうです。

これは、人と犬との間にだけある特別な現象で、他の動物(例えばオオカミなどの犬と同じ種類)には見られないとのこと。

それだけ特別なつながりを持った関係ですので、飼い主がいなくなったり、寝ていて動かない状態というのは、犬にとって不安の要因になります。

一緒に寝たがる理由とは、子供が母親と一緒に寝たがるのと同じ理由。

安心を得るためです。

体を温めるため

冬場などは特に、一緒に寝たがる心理が強くなるといいます。

これは、飼い主のそばで安心するためのほか、体を温めるためです。

犬は体毛でおおわれていますが、夏場はとうぜん暑くなり、冬は寒くなります。

夜は冷え込みが厳しいので、犬も一緒に寝て布団に入り、体を温めようとするのです。

犬はお腹や肉球部分は肌が露出しています。

夏場はここから汗を出し、体温を調節します。

ところが冬は、床にお腹をつけて寝ると、冷えすぎて体温が下がり、風邪をひきやすくなります。

一緒に寝るのは布団にお腹や肉球をつけて、体温の低下を防ぐためともいえます。

子犬のころからの習慣

これは、安心するためと似ています。

子犬の頃から、一緒に寝る習慣がついていると、毎日の行動として同じことを繰り返す。

散歩に行く時間になると吠えたり、誰かが家に来ると吠えるという、習慣がその理由です。

心理というよりは、条件反射といってもいいでしょう。

飼い主が寝室に行き、部屋が暗くなると、眠りについたと判断して、習慣的に犬も同じ行動をする。

さらに、子犬の頃からやっていることで、いつも飼い主と一緒にいたい、という心理状態も習慣化するようです。

犬も人間と同じように、ひとりぼっちになると、不安で怖いという心理が働きます。

この心理が習慣化してしまうと、おびえて人に近づかなくなったりするといいます。

一緒に寝るということは、飼い主が動かなくても、一番長く一緒にいれるので、安心して習慣になっていくようです。

ストレスを解消するため

一緒に寝るというのは、たいていは広い寝室やベッドの上などでしょう。

犬も心を持っていて、小さなゲージの中にひとりでいると、不安になります。

狭い場所に長時間いるとストレスがかかり、精神的な病気につながることもあるのです。

そのため、飼い主がいる広い部屋で、自由に動きながら眠れるということは犬にとって幸せなことになります。

小さいゲージ、狭い場所から逃げたい、という心理が働き、一緒に寝たがるようになるのです。

また、広い寝室にいて、自由に動けるというのは、散歩にでかけるときなどにも影響します。

普段動けないでいると、散歩をしてもあまり歩かなくなってしまったり、長時間の動きに耐えられなくなります。

広い場所で一緒に寝たがるのは、体にも心にもストレスがなくなることにつながります。

暗い場所を避けるため

飼い主と一緒に寝ていれば、暗い場所でも安心することができます。

多くの場合、飼い主も最初から真っ暗にせず、テレビをつけたり、小さな電気をつけてから眠りにつきます。

犬は、突然暗くなって周りが見えなくなるという状況を避けるために、飼い主のあとについて寝室にいくようです。

また、寝室にえさや水などが置いてある場合。

夜中でも、飼い主のそばで食事をしたり水分をとったりすることで安心できます。

暗い場所で食事をするというのは、動物の本能で、外敵に襲われるという怖さがあるのです。

そのため、暗い場所を避けて、食事をすることも目的のひとつになります。

暗い場所は、犬にとっても無防備になるので、少しでも光がある場所、または飼い主がいて安心できる場所を選ぶ。

一緒に寝たがるのにはこういった理由があります。

犬が一緒になる理由は安心するためが多い

犬が人と一緒に寝たがる理由の多くは、安心するためという場合です。

飼い主と一緒にいることで、広い場所を確保でき、ストレスを減らす。

習慣化することで、安心する。

暗い場所をさけることで外敵から身を守る。

すべて、心を落ち着かせて、安心できる環境だからです。

飼い主と犬の関係は、母親と子供の関係と一緒。

少しでも長く、多くの時間をすごしたいという気持ちから、眠るときまで同じ場所を選んでいるようです。