犬と一言に言っても、いろいろな分類の仕方があることはご存知でしょうか。
原産国や体の大きさ、遺伝的な素質など、着目するポイントによって様々なグループに分けることができます。
今回は、そのなかでも犬の使役による分類のひとつである、嗅覚ハウンドに属する犬たちについてご紹介します。
嗅覚ハウンドとは
嗅覚ハウンドは、別名セントハウンドとも呼ばれることがあります。
ハウンドとは英語で犬、セントはscentと綴り、匂いや香りという意味があります。
犬の分類のひとつであり、優れた嗅覚で獲物を追いかける狩猟犬のグループです。
似た分類に優れた視覚を持つ狩猟犬のことをサイトハウンドと呼んでいます。
嗅覚の嗅の字に「犬」が含まれるように、犬は昔から優れた嗅覚を持つとされています。
そのなかでも優れた能力を持ち、狩猟に適するように交配されてきた歴史を持っています。
日常的に馴染みのある犬も多く、愛着が持てるグループではないでしょうか。
長い垂れ耳を持つ犬種が多いのも、このジャンルの特徴のひとつです。
ダックスフント
ダックスフントの人気というのは世界で共通しており、日本でも最もポピュラーな犬のひとつですよね。
可愛らしい容姿から若い人や女性からの人気も圧倒的で、ペットショップの人気者です。
かつての狩猟犬としてのイメージはそれほど強くなく、意外に思う人も多いかもしれません。
原産国はドイツであり、19世紀頃までは立派な猟犬として飼育されていました。
嗅覚ハウンドとしては、その名前がよく活躍を表しています。
ドイツ語でダックスはアナグマ、フントは英語で犬を意味するhoundと同義です。
独特の胴長・短足の外見と、愛嬌のあるルックスですが、その細長い体ははアナグマ探索に役立っていたんですね。
体の大きさのわりに吠え声が大きいというのも、猟犬の名残とも言えます。
ビーグル
ビーグルも非常にポピュラーな犬で、私たちにとって馴染み深い犬のひとつです。
小柄な体ながら、しっかりとした顎やがっちりした足の犬というイメージも強いですよね。
こうした体の作りは、狩猟犬らしい体格が現在も引き継がれていると言ってもよいでしょう。
よく通る呻き声で「森のトランッペッター」という愛称を持っています。
狩猟犬としては、パックという群れを組み、うさぎ狩りを得意としていました。
コンパクトな体はとてもタフで、何時間も獲物を追う体力を持っています。
現在では気立ての良さや扱いやすい性格から、ペットとしても根強い人気があります。
また、とても優れた嗅覚は、空港などでの検疫探知犬として、なお活躍し続けています。
ダルメシアン
101匹犬のモデルとしてあまりにも有名なダルメシアンも嗅覚ハウンドの仲間です。
その白い毛並みに散らばった黒の斑点模様は、一目でダルメシアンだとわかりますよね。
原産はクロアチアのダルメシア地方です。
古くから飼育の記録があり、とてもポピュラーな犬種ですが、詳しい出生に関しては依然として不明な点もあるミステリアスな面もある犬です。
映画の影響で、ダルメシアンは可愛らしい犬というイメージがあります。
しかし、犬としては、極めてタフでパワフルな犬なのでびっくりするかもしれません。
かつては馬車犬として、馬車に伴走していたことから、その体力とスピードのすごさは想像できるでしょう。
現在でも、その頭の良さから、盲導犬としても活躍している働き者です。
ブラッドハウンド
ブラッドハウンドは、嗅覚ハウンドのなかで最も力強く、威風堂々とした風貌を備えています。
名前にある「ブラッド」は「純潔」を意味するbloodedから由来するもので、古くからその血統が受け継がれています。
日本では少し聞き慣れない犬種ではありますが、1,000年以上の歴史が残っている犬でもあります。
嗅覚の良さはすべての犬種のなかでもトップレベルで、非常に高い能力を示します。
魔法の嗅覚とも言われるその嗅覚は、動物だけでなく、犯人や囚人の探索にも一役買っていました。
現在でも、警察犬として多くの国で採用されている実績があります。
「がっちりとした」という言葉が似合う体格で、黙々と集中する性格も屈強なアスリートを思わせます。
長時間の追跡も苦にならない体力があり、性格もあってか、飼い主を困らせるほど散歩の時間が長くなる傾向があります。
バセットハウンド
バセットハウンドは、昔鹿狩りをしていた猟犬を祖先に持つ嗅覚ハウンドです。
丈が短いことを意味するフランス語の「パセー」を英語読みしたのが、名前にある「バセット」です。
その名前の通り、胴長短足の体型が目を引く体型をしています。
またブラッドハウンドの血を引いており、少し垂れた皮膚や重みのある顔つきも特徴的です。
運動能力は非常にバランスが取れており、とてもタフでスタミナがある犬です。
かつては、うさぎやキツネなどの小動物の狩りで活躍していました。
様々な映画などで登場したり、モデルになるなど、独特な容姿は多くの人に愛されています。
とても落ち着きのある犬ですが、頑固な性格でもあり、どことなくお父さんのような面影を見てしまいます。
嗅覚ハウンドの種類を知ろう
嗅覚ハウンドには、珍しい犬も含めるともっとたくさんの犬が属しています。
現在では、特に日本において、狩猟犬として犬を飼育することも少ないかと思います。
しかし、私たちに馴染みの深い犬たちも、かつてはこんな風に狩りのパートナーとして活躍していました。
その優れた能力や、頭の良さというのは、現在も人間のパートナー犬として活躍していることから見て取れるでしょう。
こうしてまとめてみると、意外な発見もあるのではないでしょうか。