小鳥と暮らしたことのある人なら鳥類が一般に思われているよりもずっと頭がいい、ということはよくわかるかと思います。

ただ、小鳥は捕食される側になることが多いために犬や猫に比べてとても用心深い性質が強く表れます。

鳥と接したことのない人が、人間や犬や猫に対するのと同じような方法で仲よくなろうとしても、「この人は怖い人だ」という間違ったメッセージに採られてしまうこともあります。

そのために可愛がろうとしているのにパニックを起こして逃げ回る鳥を見て、「やっぱり鳥は犬や猫に比べて慣れにくい」というイメージの原因にもなっています。

せっかく仲良くしたいと思っているのに、嫌われたら悲しいですよね。

小鳥と仲良くなるにはそれなりの方法があります。

最初にやってみること

手乗りでないインコの場合、いきなりケージの中に手を入れたりして無理やり手に乗せようとすると怖がって大暴れすることになります。

中型以上なら噛みつかれたりすると大けがの元にもなります。

まずはケージ越しにインコに「この人は怖くない」ということを学習してもらえるようにしましょう。

掃除・エサや水の入れ替えなどのときには優しく声をかけながら行います。

「手が怖い」インコの場合は、手がケージの中にある時間を短縮するために手早く作業できるように準備してから作業に取り掛かってください。

インコのケージはリビングなど飼い主の姿が見えやすいところに設置します。

お世話以外はそばで本を読んだりして「自分の顔」をインコに覚えてもらうことに集中します。

おはよう、お休み、今日は天気がいいね、などの声掛けもマメにします。

少し慣れてきたらやってみること

声をかけるとじっと顔を見たりするようになってきたら、手からエサやおやつをあげてみます。

最初は粟穂など「ものすごく手に接近しなくても届く」くらいのものから始めましょう。

おやつなどを手にして近づくとイソイソと寄ってくるくらいになったら、指先にのせたドライフルーツなどが受け取れるように練習します。

小さいものを手渡すときにはインコがしっかりとクチバシでつかむ前に指を放してしまってうまく渡せない、ということがあります。

インコのクチバシを怖がらずに・手に持ったおやつなどがインコにしっかりと見えるようにして渡しましょう。

指の腹に乗せられるようなものは、インコのほうで上手につまんだり・なめたりしやすいです。

インコの真似をすること

インコの鳴き声やしぐさをよく観察しましょう。

チッチッチ、と舌を鳴らす・口笛を軽く吹くなど人間側が鳥のマネをすることもやってみてください。

クチバシをもぐもぐしていたら、人間側も口をもぐもぐさせてみせてください。

インコは群れで暮らす習性のために「群れの仲間」と同じことをすることを好みます。

仲間がエサを食べれば自分も食べる・くつろいでいるときは自分もくつろぐ、といった具合です。

みんな一緒、が大好きなためにインコのしている仕草と同じ行動を飼い主がすることで、「仲間なんだ」ということがわかってもらいやすくなります。

例えば、おやつにリンゴをあげるとします。

ケージの横に座ってまず自分が食べると食いしん坊なインコなら興味津々で寄ってくるでしょう。

そのときにあらかじめインコサイズに切ったものを「分けてあげるよ」というイメージで渡します。

インコは自分のエサを誰かに「分け与える」という習性はありません。

でも「一緒に美味しい物」を食べる、ということは仲良くなるためのきっかけにはなりやすいのです。

インコの言葉を調べてみること

「インコの言葉」といっても人間の言葉のようなものではありません。

インコは鳴き声や仕草で自分達の感情を表現します。

ですから、その「表現方法」を知っておくことでインコの気持ちを推し量ることができます。

1.インコが近づいてきて頭を下げるようなポーズをするときは「頭や頬を撫でてほしい」と甘えているときです。
2.インコの目がフラッシュしているとき(黒目が小さくなったり大きくなったりするとき)は何かに激しく興味があるときです。
3.翼を軽く持ち上げてワサワサと振ってみせる、のは遊んでほしい・おやつが欲しいなどのおねだりのポーズです。

これらの仕草・表情は代表的なものなので、飼育書でも解説があります。

もちろんこのほかにも色々な仕草・表情があります。

せっかくインコと暮らすのなら、ぜひ1冊は手元に置いて読んでみましょう。

インコの言葉の知識があると、インコ側からの要求に的確に反応することができます。

そうすると「この人は話がわかる」ということで信頼されて仲良くなりやすいのです。

驚かせたり無理強いしたりしないこと

鳥と仲良くなるためには「人間が鳥のペースに合わせる」ということが一番重要になります。

結果を早く出したいから、と焦ってインコから「いやだ・怖い」のサインが出ていることを無視して突き進んでは仲良くなれることはありません。

また、インコが怖がったもの(マニキュアをした爪・アクセサリー類など)はしばらくあきらめるくらいの気配りをしてあげてください。

インコが何を怖がるか、は人間にはわかりません。

キレイなネイルアートも、もしかしたら天敵の蛇の模様に見えているのかもしれないのです。

頭上から・背後からの接近はインコに限らず鳥がとても嫌がることです。

仲良し度がアップしてインコから「撫でて」と要求されるときでも必ず自分の指がインコから見える位置にあるようにしましょう。

せっかく仲良くなったのに、怖がらせてしまったことでスタート地点どころかマイナスの関係になることもあります。

インコのそばにいて自分が移動したりするときにも、しばらくはインコが驚かないようにそっと動いてあげましょう。

インコと仲良くなる方法を知ろう

インコと仲良くなるには愛情に基づいた根気が必要です。

決して結果を焦ったり無理やりいうことを聞かせようとしてはいけません。

先住の鳥がいる場合は、その鳥の行動がお手本になることもあります。

この場合、先住鳥が文鳥であるとかカナリアであるとか種類は関係ありません。

「他の鳥がこの人と仲良くしている」という姿を見ることで「仲良くできる人なんだ」ということを理解してもらいやすくなります。

鳥類は自分が生活する環境にいる「他の人・鳥・動物」のことをとてもよく観察しています。

だから先住の鳥の行動は良いお手本になります。

インコと仲良くなるには片思いの相手に振り向いてもらうくらいのイメージがちょうどいいでしょう。

本当の片思いの場合と違い、インコの気持ちを考えて愛情をもって行動することで必ずいい結果が期待できるのが嬉しいところです。