鳥類ペットの代表格であるオウムとインコ。

愛らしく人懐っこい性格や頭の良さが人気ですが、オウムとインコには色々な性質の違いがあるため、飼う時には注意が必要です。

具体的に、どのような違いがあるのでしょうか。

学術的な違い

オウムとインコは、同じオウム目に属する鳥類で、オウム科とインコ科に分類されます。

オウムは世界で21種類、インコは330種類の仲間が確認されています。

学術的には骨格の形状、頸動脈の位置、羽毛の生え方の違いなどから別の種として区別されていますが、外見的に見分けることは難しいです。

外見の違い

・冠羽の有無
オウムとインコは、頭の上についた「冠羽(かんう)」と呼ばれる、兜の飾りのような羽があるかないかで見分けることができます。

尚、オカメインコやモモイロインコは頭の上に冠羽があるため、オウムとして、フクロウオウムやヨウムは冠羽がないため、インコとして扱われています。

・体のサイズ
オウムは体長30~60cm程度で、大きな種類が多いのが特徴です。

インコは体長15~40cm程度で、人の指に乗るくらいの小型のものが多いです。

大きさだけでは判別できない場合も多く、小さい種はインコ、大きい種はオウム、と区別する場合もあります。

・羽の色
オウムは基本的に全身が単色で、白や灰色など地味な色合いの羽毛を持つものが多いです。

冠羽や尾羽だけ、鮮やかな色を持つ種類もいます。

それに対してインコは赤や黄色、緑など、とても色鮮やかで美しい羽を持っています。

能力・体質の違い

オウムやインコは、人間の言葉を覚えて話したり、音や仕草を真似する能力を持っています。

インコのほうが人間の言葉を要領よく学習し、よくしゃべる種類が多いのが特徴です。

ただ見聞きした言動を反復するだけではなく、人間の言葉の意味を理解して簡単な計算なども行います。

主に言葉を覚えて話すのはオスで、メスにも話す個体はいますが、ごく稀です。

オウムはインコほど人間の言葉を覚えず、しゃべらない種類がほとんどです。

オカメインコに関しては、他のオウムよりも人間の言葉を覚える能力が高いです。

オウムには胃の中に入ってきた食べ物の消化を助ける胆汁を蓄える胆嚢がありますが、インコにはありません。

そのため、直接肝臓から胆汁を出して消化するインコのほうが、排泄の回数が多くなります。

また、インコはオウムと違って排泄物を出す場所と卵を産む場所が同じになっています。

そのため、インコとオウムでかかりやすい病気も異なってきます。

生息地や活動の違い

オウムとインコはオーストラリア原産の鳥です。

主に熱帯・温帯気候の地域に生息しますが、住んでいる地域や環境は異なります。

オウムはオーストラリアからフィリピン・インドネシアなどの東南アジア諸島にかけて生息しています。

太平洋にある一部の島には固有種も確認されています。

密林など住処にしやすい樹木がある場所に、大勢の群れを作って社会的な生活を送っています。

日中の、気温が上がった暖かい時間になると活発に活動します。

エサも群れで食べる習性があり、主食は植物の茎や果実や種、昆虫などを捕食します。

雑食のため、一部の種は小動物なども食べます。

農作物の食害が多く、農業地では害獣と判断されている地域もあります。

逆に、乱獲によって数が減りすぎて保護対象となっている地域もあります。

乾燥した地域に多く住んでいますが、水辺を好みます。

一か所に定住せず、集団で移動を繰り返しながら生活します。

インコはオーストラリア、アフリカ、アメリカ大陸など幅広い地域に分布し、人間の暮らす地域でも野生種が頻繁に見られます。

生息環境はオウムと似た場所を好みますが、群れは作らず、つがいで活動することが多いです。

密林地帯だけでなく人間の暮らす住宅街にも広く分布して生息しています。

植物の種子や果実、花のはなびらや蜜を食べる種類もいます。

飼う時の扱い方の違い

インコは初心者にも比較的飼いやすい種です。

インコは野生下でも個別の行動することが多いため、単体でも飼い主に懐きやすく、仲間がいなくてもストレスを感じにくいです。

オウムは社会性が強く、普段から群れで生活しているため、単体で飼うのが難しい種とされています。

体の大きな種が多く、狭く孤独な場所にいるとストレスをためやすいため、毎日放鳥が可能な広さの部屋や、リラックスできる飼育スペースが必要です。

また、鳴き声が大きいため、防音設備など周囲への配慮も必要になります。

オカメインコは例外で懐きやすく頭も良いため、オウムよりもインコに近い感覚で飼育することができます。

オウムとインコの特徴を観察して見分けよう

オウムとインコは外見だけでは見分け辛いペットです。

間違えて飼うと性質の違いから戸惑うことも多くあります。

頭の良い動物だからこそ、正しい方法で飼育することで、才能を伸ばしてあげられます。

きちんと種類を見分けた上で、自分に見合った種類を理解して選びましょう。